5話:実りの羽根
一年前の、あの日…私は、私でなくなった。
そうなる為に生まれ、育てられた私は…ただの『霧』の器だ。
【祭司の一族】の者としての務めだと、幼い頃から教えられていた――
……だけど、私は従妹の彼女が羨ましくて仕方がない。
〈神〉の血を引くあの方の寵愛を受けて……
その上、例外として御身に触れる事が許されて……
ひとつしか年齢が違うだけなのに、彼女も同じ【祭司の一族】本流に連なる者なのに何故なのか?
でも、もうそんな事はどうでもいい……
だって、あの方はもう私のものになったのだから――
他の〈神〉の血を引く方々が、どんなに私から奪おうとしても無駄よ。
私は『霧』だもの…絶対に渡さない、返さない。
それに、私からの贈り物…そろそろ、目を覚ますんじゃないかしら?
ふふふ…喜んでね?
そして、素敵な音を奏でて――
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