0話:惨劇の祭り
その様子はまるで、困った従妹のせいで恥ずかしい思いをしたという感じ。
私には何の事なのかわからなかったんだけど…もしかしてその情報を信じて、今までそう思っていたから私に対しての接し方がアレだったの?
「僕達は一度も、そんな説明はしていなかったはずだけど?熾杜 、誰がそんな事を教えてくれたんだい?」
熾杜 の言う『使いの方』という存在と、私が生まれた事で不都合が生じたという話――同じ疑問を持ったらしい桜矢 さんが訊ねた。
少なくとも〈神の血族 〉はそんな認識を持っていない、と言葉も付け加えて。
「そうなの?でも、私の周りにいた人達もそう言っていたわ。本当なら、って」
何故知らないのか、と不思議そうな表情を浮かべた熾杜 は答える。
「だけど桜矢 さんでもわからない事あるのね。あの方も桜矢 さん達は籠の中の鳥と同じだから仕方ない、っておっしゃっていたし」
「熾杜 、その人は一体何者なんだ?」
伯父さんが言葉を重ねて訊ねるけど、彼女は決してそれに答えなかった…誰にも言わないよう口止めをされているかしら?
多分これに関しては絶対に答えないだろうな、と考えた私は『使いの方』について深く訊ねる事を諦めた。
「熾杜 。私の与り知らぬ事とはいえ、嫌な思いをさせてしまった事については謝罪するわ。でも何で教えてもらった時に、伯父さん達にその件について訊ねなかったの?」
「だって皆あんたの味方なんだもの、何を言っても『違う』としか答えてくれない。だから私は諦めたの!なのに何で今更私と仲良くしたかった、なんてよく言えるわ!本当に大事にされていたあんたには、私の気持ちなんて何ひとつわかんないでしょうね!」
望んだものをすべて持っていて、自分が本当に望んだたったひとつまで…と熾杜 が叫ぶ。
彼女が望んだ、たったひとつ――それは桜矢 さんとの未来。
叶わぬ未来を悲観して、それを持つ私に嫉妬した。
気持ちはわかる、気がする。
でも逆に、私は幼い頃から彼女に奪われてばかり…お互いがお互いに奪い奪われをされている、と考えていたんだね。
「失礼します。そろそろ、御時間が――」
おずおずと使用人のひとりがやって来て、そう声をかけてきた。
どうやら、あっという間に時間が来てしまったらしい。
「せいぜい、最期の時を楽しんだらいいわ」
私に向けてそう言った熾杜 は迎えに来た使用人と共に行ってしまった、その言葉の意味を訊ねる前に。
残された私達は何も言えないまま、彼女が去っていった方向を見ている事しかできなかった。
「熾杜 が申し訳ない、真那 ちゃん」
いち早く我に返ったらしい伯父さんが慌てて謝罪すると、熾杜 の後を追う。
多分、父親として最期を看取るつもりなのだろう……
_
私には何の事なのかわからなかったんだけど…もしかしてその情報を信じて、今までそう思っていたから私に対しての接し方がアレだったの?
「僕達は一度も、そんな説明はしていなかったはずだけど?
少なくとも〈
「そうなの?でも、私の周りにいた人達もそう言っていたわ。本当なら、って」
何故知らないのか、と不思議そうな表情を浮かべた
「だけど
「
伯父さんが言葉を重ねて訊ねるけど、彼女は決してそれに答えなかった…誰にも言わないよう口止めをされているかしら?
多分これに関しては絶対に答えないだろうな、と考えた私は『使いの方』について深く訊ねる事を諦めた。
「
「だって皆あんたの味方なんだもの、何を言っても『違う』としか答えてくれない。だから私は諦めたの!なのに何で今更私と仲良くしたかった、なんてよく言えるわ!本当に大事にされていたあんたには、私の気持ちなんて何ひとつわかんないでしょうね!」
望んだものをすべて持っていて、自分が本当に望んだたったひとつまで…と
彼女が望んだ、たったひとつ――それは
叶わぬ未来を悲観して、それを持つ私に嫉妬した。
気持ちはわかる、気がする。
でも逆に、私は幼い頃から彼女に奪われてばかり…お互いがお互いに奪い奪われをされている、と考えていたんだね。
「失礼します。そろそろ、御時間が――」
おずおずと使用人のひとりがやって来て、そう声をかけてきた。
どうやら、あっという間に時間が来てしまったらしい。
「せいぜい、最期の時を楽しんだらいいわ」
私に向けてそう言った
残された私達は何も言えないまま、彼女が去っていった方向を見ている事しかできなかった。
「
いち早く我に返ったらしい伯父さんが慌てて謝罪すると、
多分、父親として最期を看取るつもりなのだろう……
_