0話:惨劇の祭り
「そっか、良い友人を持ったんだね。よかった、伯父さんは安心したよ」
学校で悩みを相談し合える友人ができて安心した伯父さんは、微笑みながら私の頭を優しく撫でた。
それから伯父さんの案内で、屋敷の地下にある儀式を行 う部屋の隣の控室に来た私は扉をノックして入室する。
部屋の中には桜矢 さんと悠河 さん、それと嬉しそうな様子の熾杜 がいた。
熾杜 は多分、桜矢 さんが一緒にいてくれるから嬉しいだけなんだろうけど。
「……何?お父さんと真那加 、ふたり揃って何なの?」
私達の存在に気づいた熾杜 は不機嫌そうに言う――あんた達に用はない、と。
多分あんた達を見たら気分が最悪になった、と考えているんだろうな。
「せっかく気分がよかったのに、と思ってるのかもだけど…少し私と話をしよう?」
「何で?今あんたとなんか話したくないんだけど…あぁ、もしかしてあんたが死ぬ から?」
薄々気づいてはいたけど、彼女は私を殺したいほど憎んでいる。
それが「儀式さえ終われば、私には時間がたっぷりある」という言葉に繋がっている…私を自分の代わりに殺せばいいんだ、って彼女は考えている。
あの子の言葉に、伯父さんは父親として諭すように訊ねる。
「熾杜 、それは無理だと何度も話してあるだろう?どうして、それがわからないんだ?」
「お父さんこそ、どうして掟を破ったのよ…そうしたら私が真那加 の立場で、真那加 が私の立場だったのに!」
それは違う、例え伯父さんが長になっていたとしても私が熾杜 の立場になる事はない。
だって贄となるのだとしたら柳世 叔父さんか、将来生まれてくるだろう叔父さんの子なのだから。
その説明を、柳世 叔父さんが何度かしている所を見かけたし。
だけど、頑なにそれを受け入れようとしない――というか、もしかしたら誰かがその都度この子に嘘を教えていたのかもしれないけど。
「はぁ、柳世 が危惧していた事が現実になっていたんだな…」
かろうじて私が聞き取れるくらい小さな声で、ため息をついた伯父さんは呟いた。
……叔父さんは、一体何を危惧していたのだろう?
私は深呼吸し、熾杜 と向き合ってから自分の気持ちを伝える。
「あのね、熾杜 …私はあなたの気持ちを今まで考えようとしなかった。だけどね、家族として仲良くしたいとずっと思っていたの」
熾杜 は望んでいないかもしれないけど、私は他の従兄妹達と同じように仲良く過ごしたいと願っていた。
他愛ない事で笑い合い、時には怒ったり悲しんだり――そんな日常を共に過ごしたかっただけ。
「あんた、ふざけているの?私と仲良くしたかった?どうして今更?」
きょとんとした表情のまま熾杜 が訊ねる、まるで意味がわからないというように。
「私は、あんたに生まれてきてほしくなかった。運命は変わっていたかもしれないもの…あんたが生まれてきたから、千森 に贄が生まれなかったんだものね。使いの方 からもそう教えてもらったわ」
「使いの方 ?」
私達は異口同音で、熾杜 の言葉を復唱していた。
使いの方?という存在が誰を指すのか、本当にわからなかったから…そもそも熾杜 って、ふたつある集落の司祭や神官以外は基本会えないはずだよね?
そんな疑問を持つ私達を余所に、熾杜 はひとり真剣な様子で言葉を続ける。
「交互に捧げられるはずだったのに、真那加 が生まれた事で歯車が狂ってしまったのだと嘆いておられたわ。本当に申し訳なくて、私…謝罪をする事しかできなかったもの」
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学校で悩みを相談し合える友人ができて安心した伯父さんは、微笑みながら私の頭を優しく撫でた。
それから伯父さんの案内で、屋敷の地下にある儀式を
部屋の中には
「……何?お父さんと
私達の存在に気づいた
多分あんた達を見たら気分が最悪になった、と考えているんだろうな。
「せっかく気分がよかったのに、と思ってるのかもだけど…少し私と話をしよう?」
「何で?今あんたとなんか話したくないんだけど…あぁ、もしかして
薄々気づいてはいたけど、彼女は私を殺したいほど憎んでいる。
それが「儀式さえ終われば、私には時間がたっぷりある」という言葉に繋がっている…私を自分の代わりに殺せばいいんだ、って彼女は考えている。
あの子の言葉に、伯父さんは父親として諭すように訊ねる。
「
「お父さんこそ、どうして掟を破ったのよ…そうしたら私が
それは違う、例え伯父さんが長になっていたとしても私が
だって贄となるのだとしたら
その説明を、
だけど、頑なにそれを受け入れようとしない――というか、もしかしたら誰かがその都度この子に嘘を教えていたのかもしれないけど。
「はぁ、
かろうじて私が聞き取れるくらい小さな声で、ため息をついた伯父さんは呟いた。
……叔父さんは、一体何を危惧していたのだろう?
私は深呼吸し、
「あのね、
他愛ない事で笑い合い、時には怒ったり悲しんだり――そんな日常を共に過ごしたかっただけ。
「あんた、ふざけているの?私と仲良くしたかった?どうして今更?」
きょとんとした表情のまま
「私は、あんたに生まれてきてほしくなかった。運命は変わっていたかもしれないもの…あんたが生まれてきたから、
「
私達は異口同音で、
使いの方?という存在が誰を指すのか、本当にわからなかったから…そもそも
そんな疑問を持つ私達を余所に、
「交互に捧げられるはずだったのに、
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