0話:惨劇の祭り
それを訊ねると、志鶴 兄さんは言葉を続けた。
「真那 ちゃんがここを発った後、少しして桜矢 さんは悠河 さんと一緒に出掛けたんだよ。戻ってくるのは半年ぶり、になるかな」
「半年…そうだったんだ。でも、だからって――」
だからって、柳世 叔父さんを階段から突き落としていい理由にはならない。
熾杜 を説教してくる、という伯父さんと志鶴 兄さんを見送った私と父は同時にため息をついてしまった。
これも祖父と考えを同じとする者達の教育の賜物、なんだろうな。
父も熾杜 の世話役 達に事情を聞いてくる、と言うので私は久方ぶりの自室で少し休む事にした。
本当は叔父さんの容態が気になるのだけど、お医者様に診てもらっているだろう今行くのは邪魔なだけだろうし。
荷物をクローゼットの傍に置いて綺麗に整えられたベッドシーツの上に寝転んで、ふと考える――悪い意味で成長している熾杜 と本当に和解できるのか、自信がまったくない。
一歩間違えれば柳世 叔父さんは死んでいたかもしれないのに、あの子はそれを悪いと思っていないなんて……どうしてなんだろう?
ぐるぐると疑問が、頭の中を回っている。
――コンコンコン。
自室の扉をノックする音に、意識が現実に戻ってきた。
今私が自室にいるのを知っているのは父と一部の使用人達だけ、一体誰なの?
叔父さんの件もあって、少しだけ怖かったけど警戒しながら扉の前で誰何 してみる。
「…誰、ですか?」
「僕だよ、真那 ちゃん。桜矢 」
優しい声音に安堵して扉を開けると、金茶色の髪に深緑色の瞳をした青年・桜矢 さんが微笑みながら立っていた。
彼は〈神の血族 〉のおひとりで、今は実湖 の司祭を務めている方。
年齢は私のひとつ上のお兄さんで、幼い頃からいつも一緒に遊んでいたっけ。
そして、私はいつしか恋心を抱いてて…学校へ行く前に、自分の思いを告げると彼も私と同じ気持ちだと告白してくれた。
学校の寮にそのまま入ってしまって一緒に過ごせない代わりに、手紙のやりとりをたくさんしていたので
寂しくなかったけど…でも、やっぱり会えない間が長かったから少し緊張してしまう。
「おかえり、久しぶりだね。元気…という雰囲気じゃないけど、どうしたの?」
「桜矢 さん、ただいま戻りました。その、実はさっき…」
熾杜 が引き起こした事件を、拙いながらも説明すると彼は困った様子でため息をついた。
「そうか、なるほどね。だから志鶴 がああ言っていたのか…柳世 が心配だし、悠河 に先触れだしてもらうから後で一緒にお見舞いへ行こう」
「はい。柳世 叔父さん、酷い怪我じゃないといいけど…」
繋がりを持つ悠河 さんに頼んだという桜矢 さんの言葉に、私は頷き答えて部屋に招き入れる。
彼に来客用の座布団を使ってもらい、私は敷物の上に座った。
「そういえば桜矢 さん、何処かに出掛けていたの?」
半年くらい実湖 を離れていたという話を、志鶴 兄さんから聞いたのだと彼に伝える。
納得したように何度も頷いた彼は、頬をかきながら答えた。
「あー、少し別件で湊静 国に行ってたんだ。えっと、それでさ…」
顔を赤くした桜矢 さんはポケットから小さな包みをだすと、私の手に握らせるように渡してくれる。
包みを開けてみると小さな桜の花がみっつ連なった、淡いピンクのペンダントが入っていた。
「うん…その、かわいい桜のペンダントを見つけてね。えっと、それで真那 ちゃんに似合うかなって」
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「
「半年…そうだったんだ。でも、だからって――」
だからって、
これも祖父と考えを同じとする者達の教育の賜物、なんだろうな。
父も
本当は叔父さんの容態が気になるのだけど、お医者様に診てもらっているだろう今行くのは邪魔なだけだろうし。
荷物をクローゼットの傍に置いて綺麗に整えられたベッドシーツの上に寝転んで、ふと考える――悪い意味で成長している
一歩間違えれば
ぐるぐると疑問が、頭の中を回っている。
――コンコンコン。
自室の扉をノックする音に、意識が現実に戻ってきた。
今私が自室にいるのを知っているのは父と一部の使用人達だけ、一体誰なの?
叔父さんの件もあって、少しだけ怖かったけど警戒しながら扉の前で
「…誰、ですか?」
「僕だよ、
優しい声音に安堵して扉を開けると、金茶色の髪に深緑色の瞳をした青年・
彼は〈
年齢は私のひとつ上のお兄さんで、幼い頃からいつも一緒に遊んでいたっけ。
そして、私はいつしか恋心を抱いてて…学校へ行く前に、自分の思いを告げると彼も私と同じ気持ちだと告白してくれた。
学校の寮にそのまま入ってしまって一緒に過ごせない代わりに、手紙のやりとりをたくさんしていたので
寂しくなかったけど…でも、やっぱり会えない間が長かったから少し緊張してしまう。
「おかえり、久しぶりだね。元気…という雰囲気じゃないけど、どうしたの?」
「
「そうか、なるほどね。だから
「はい。
繋がりを持つ
彼に来客用の座布団を使ってもらい、私は敷物の上に座った。
「そういえば
半年くらい
納得したように何度も頷いた彼は、頬をかきながら答えた。
「あー、少し別件で
顔を赤くした
包みを開けてみると小さな桜の花がみっつ連なった、淡いピンクのペンダントが入っていた。
「うん…その、かわいい桜のペンダントを見つけてね。えっと、それで
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