0話:惨劇の祭り
残された私は玄関で靴を脱いで片付けると、荷物を手に父の仕事部屋 へ向かう…もちろん、すれ違う使用人達にも帰宅の挨拶は忘れない。
父の仕事部屋 に着いた私は深呼吸してから、扉をノックすると返事が聞こえてきた。
「入りなさい」
「ただいま、お父さん」
緊張しながら扉を開けて帰宅の挨拶をすると、父は笑顔で私を抱きしめた。
「おかえり、真那加 。元気だったかい?」
「うん、お父さんも元気そうでよかった。伯父さん、ただいま帰りました」
部屋には父の他に、有葵 伯父さんもいたので帰宅の挨拶をする。
私達の様子を笑顔で見ていた伯父さんは私の帰宅を喜んでくれた後、頭を下げた。
「無事に帰ってきてくれて嬉しいよ、真那 ちゃん。それと、ごめん…本当は今回こっちに戻らなくて大丈夫なよう、志鶴 と一緒に力を尽くしていたんだけど」
「ううん、多分帰らなかったら後悔していたと思うの…だから大丈夫、平気です」
もしかしたら気を使ってくれていたのかもしれない…けど、このまま終わってはいけないとも思うし。
そう答えたら、伯父さんは申し訳なさそうにもう一度頭を下げた。
――その後しばらくの間、学校生活の話をしていると入室許可をとって入ってきたのは志鶴 兄さんだった。
「失礼します。あ、おかえり!真那 ちゃん」
「ただいま帰りました、志鶴 兄さん。お元気そうで何よりです」
私の存在に気づいた志鶴 兄さんが笑顔で挨拶してくれたので、私も笑顔で挨拶を返す。
そして、伯父さんと同じように申し訳なさげに謝罪するので大丈夫だという旨を伝えて頭を上げてもらった。
「ところで志鶴 、どうしたんだ?」
何か用事があって来たのだろう志鶴 兄さんに、伯父さんは首をかしげて訊ねる。
私が帰宅したのを聞いて来たって雰囲気ではなかったように思うし、もしかして何かあったのかもしれない。
「実はあいつ――熾杜 が柳世 さんを階段から突き落として…今は医者に診てもらっています」
「なっ、柳世 は大丈夫なのか!?」
父と伯父さんが異口同音で、叔父さんの安否を志鶴 兄さんに訊いた。
志鶴 兄さんも現場を直接目撃したわけではなく、使用人から知らされたらしい…もちろん、すぐに柳世 叔父さんの容態を確認してから長である父に報告しに来たようだ。
目撃した使用人によると――柳世 叔父さんは車庫から二階にある自室へ戻るところで、何か慌てた様子の熾杜 と出くわしたらしい。
そこで「邪魔」と言いながら階段の中段辺りで彼を前から押し倒すように突き落とし、謝るどころか「あんたがそこにいるから悪い」と言い放ち走り去ってしまったそうだ。
あまりの事態に、熾杜 の父親である伯父さんは頭を抱えて大きなため息をついていた。
もしかすると伯父さんは、自分を責めているのかもしれない…幼き日に巻き込まれてしまった事故のせいで、と。
父も私と同じ事に思い至ったのか、伯父さんの肩をたたいて首を横にふっている。
どう考えても熾杜 が全面的に悪い、というのが私と志鶴 兄さんの共通認識だ。
だけど何をそんなに慌てていたんだろう…私が帰ってきたから、というわけじゃないみたいだし。
どうしてかわからなくて、首をかしげていたら志鶴 兄さんが耳打ちしてくれた。
「…多分、久しぶりに桜矢 さんが帰ってきたからだと思うよ」
「桜矢 さんが?何処かに行っていたの?」
あれ…私が学校へ行くからと実湖 を発つ時、彼は私を見送ってくれたような?
父の
「入りなさい」
「ただいま、お父さん」
緊張しながら扉を開けて帰宅の挨拶をすると、父は笑顔で私を抱きしめた。
「おかえり、
「うん、お父さんも元気そうでよかった。伯父さん、ただいま帰りました」
部屋には父の他に、
私達の様子を笑顔で見ていた伯父さんは私の帰宅を喜んでくれた後、頭を下げた。
「無事に帰ってきてくれて嬉しいよ、
「ううん、多分帰らなかったら後悔していたと思うの…だから大丈夫、平気です」
もしかしたら気を使ってくれていたのかもしれない…けど、このまま終わってはいけないとも思うし。
そう答えたら、伯父さんは申し訳なさそうにもう一度頭を下げた。
――その後しばらくの間、学校生活の話をしていると入室許可をとって入ってきたのは
「失礼します。あ、おかえり!
「ただいま帰りました、
私の存在に気づいた
そして、伯父さんと同じように申し訳なさげに謝罪するので大丈夫だという旨を伝えて頭を上げてもらった。
「ところで
何か用事があって来たのだろう
私が帰宅したのを聞いて来たって雰囲気ではなかったように思うし、もしかして何かあったのかもしれない。
「実はあいつ――
「なっ、
父と伯父さんが異口同音で、叔父さんの安否を
目撃した使用人によると――
そこで「邪魔」と言いながら階段の中段辺りで彼を前から押し倒すように突き落とし、謝るどころか「あんたがそこにいるから悪い」と言い放ち走り去ってしまったそうだ。
あまりの事態に、
もしかすると伯父さんは、自分を責めているのかもしれない…幼き日に巻き込まれてしまった事故のせいで、と。
父も私と同じ事に思い至ったのか、伯父さんの肩をたたいて首を横にふっている。
どう考えても
だけど何をそんなに慌てていたんだろう…私が帰ってきたから、というわけじゃないみたいだし。
どうしてかわからなくて、首をかしげていたら
「…多分、久しぶりに
「
あれ…私が学校へ行くからと