12話:再会の旅人
世界各地に隠された、そういった研究施設があるそうだ――正規の道である実湖 のトンネルも今日 まで見つからなかったらしい。
それであの時、実湖 の里長が教えてくれたのか……
しかし旧暦時代の建物であるというのに、どこも壊されず存在しているのには驚きだ。
ここも《闇空の柩》で管理しているのかを訊くと、朔人 は否定する。
「ここは管理してないよ…というか、十年前まで見つけられなかったし」
彼の話によると、実湖 周辺の調査を《闇空の柩》でやっている時に冬埜 と紫麻 がこの建物を見つけたらしい。
あぁ、だから彼女は「谷越えが面倒」だと言っていたのか…なら、橋は架かっていないな。
「とりあえず入ろうか、待っているだろうし」
そう言った紫麻 が入口の二枚扉を押すと簡単に開いた、という事は先に来ているという冬埜 達が開けたのだろう。
エントランスは当時のままなのか、ソファーや枯れているが植木鉢などの物は残されていた。
何処へ向かえばいいのか、先に来ているというふたりが何処で待っているのかわからない。
だが、紫麻 はわかっているようでエントランスからまっすぐ廊下を歩き…しばらくして、ある扉の前で立ち止まる。
彼女が扉に触れるとそれはせり上がり、そこには地下へ続く階段だけがあった。
地下へ下りると真っ白な壁と床が広がる空間で、俺ひとりでは絶対に迷うだろう。
何処をどう通ったのかわからないが、彼女の案内で大きな扉の前に着いた――どうやらここが、目的の場所で間違いないようだ。
扉を開けると、よくわからない装置がたくさん置かれた広い部屋だった。
室内の一番奥、何やら大きな機械の前に立つふたりの人物が見える。
ひとりは冬埜 で、もうひとりが深緑色の髪の眼鏡をかけた白衣の男で何かの資料に目を向けていた。
「あぁ、来たね。こっちの彼は医者の穐寿 」
こちらに気づいた冬埜 が片手をあげて、傍にいる男・穐寿 の紹介を簡単にする。
紹介された穐寿 は、こちらを見ると軽く頭を下げた。
一体何の機械なのか、彼らに訊ねてみると天宮 殿下の言っていた俺の手伝いが必要なもののようだ。
ふたりに到着した際に渡すよう頼まれたカードを手渡すと、冬埜 は礼を言い受け取った。
彼の話によると、これは冥 国のとある場所にあったらしく内密に持ちだす方法を十紀 に一任したらしい。
その結果がぬいぐるみに隠す、という事態になったのだろう。
冬埜 がカードを何かの装置 に差し入れると、穐寿 に小さなモニターの前に立つよう言われた。
意味がまったくわからないが、言われたとおりに立つと光が俺の全身を照らした…後で聞いたのだが、センサー的なもので俺を調べていたらしい。
そして、大きな機械が動きはじめたのか…目の前の大きな機械の扉のようなものが開き、同じくらいの大きさの水槽のようなものがでてきた。
水槽の中には、十代前半位の赤髪の少女が身体を丸め眠っているようだ。
この水槽のようなものは何処にも蓋が存在していないようだった、まるではじめから中身を取り出す予定がないような造りだ。
壊す以外、この少女を助けだす方法はないだろう……
驚く俺の隣にいる穐寿 が藤色の持ち手の刀を差しだしながら教えてくれた――この子は我々がずっと探していた琴音 です、と。
こちらに刀を差しだしているという事は、俺にこれであの水槽を壊せと言っているんだろう。
確認の為に穐寿 の方を見ると、彼は「この刀の名は藤波 です」と言い微笑んでいるので間違いないらしい。
――受け取った刀の刃を確認する、とても良い刀のようだ。
これを使い、俺は一太刀で水槽を破壊する事ができた…こんなに脆いのなら、旧暦時代のごたごたで壊れそうなものだが。
水槽内を満たしていた大量の水がこちらに流れでて、俺達は流されないよう踏ん張り留まった。
すぐに動ける場所にいたらしい穐寿 と朔人 が、水槽の中から落ちてきた少女・琴音 の小さな身体を受け止める。
穐寿 の救命処置のおかげか、琴音 は咳をしながら呼吸をしていた。
「…琴音 は天宮 様の姪で、機能の大部分が壊れてるこの変な装置は彼女の力を増幅させて利用する為のものだったんだよ」
紫麻 曰く、この装置が少女の持つ異能を無理矢理引き出し利用する為の未完成の兵器だったそうだ。
その前にも色々と何かされていたようだが、そこは言葉を濁されてしまったのでわからない。
とりあえず、このままここにいても琴音 の身体にもよくないだろうと千森 へ戻る事となった。
道中で藤波 を穐寿 に返そうとしたのだが、彼は報酬なので持っているように言い受け取らず今も俺が持ったままだ。
千森 に戻り、そのまま神代 の屋敷へ向かうと出迎えた悠河 の案内で客室のベッドに琴音 を寝かす。
これからどうするのか、俺は冬埜 に訊ねた。
「琴音 はこのままここには置けない、かといって僕らが今いる国にも連れていけない。だから、君に預けたいんだ…もちろん《闇空の柩 》もサポートもする」
最初は断ろうと思っていたのだが考えていた以上に事態は深刻らしく、冥 国の間者が潜り込んでるだろう麟 国にも置いておけないそうだ――むしろ一ヶ所に留まっていない俺達に預けていた方が安全なのだと、彼は言う。
了承するしかなかった俺は穐寿 の言っていた、報酬の意味をこの時知った。
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それであの時、
しかし旧暦時代の建物であるというのに、どこも壊されず存在しているのには驚きだ。
ここも《闇空の柩》で管理しているのかを訊くと、
「ここは管理してないよ…というか、十年前まで見つけられなかったし」
彼の話によると、
あぁ、だから彼女は「谷越えが面倒」だと言っていたのか…なら、橋は架かっていないな。
「とりあえず入ろうか、待っているだろうし」
そう言った
エントランスは当時のままなのか、ソファーや枯れているが植木鉢などの物は残されていた。
何処へ向かえばいいのか、先に来ているというふたりが何処で待っているのかわからない。
だが、
彼女が扉に触れるとそれはせり上がり、そこには地下へ続く階段だけがあった。
地下へ下りると真っ白な壁と床が広がる空間で、俺ひとりでは絶対に迷うだろう。
何処をどう通ったのかわからないが、彼女の案内で大きな扉の前に着いた――どうやらここが、目的の場所で間違いないようだ。
扉を開けると、よくわからない装置がたくさん置かれた広い部屋だった。
室内の一番奥、何やら大きな機械の前に立つふたりの人物が見える。
ひとりは
「あぁ、来たね。こっちの彼は医者の
こちらに気づいた
紹介された
一体何の機械なのか、彼らに訊ねてみると
ふたりに到着した際に渡すよう頼まれたカードを手渡すと、
彼の話によると、これは
その結果がぬいぐるみに隠す、という事態になったのだろう。
意味がまったくわからないが、言われたとおりに立つと光が俺の全身を照らした…後で聞いたのだが、センサー的なもので俺を調べていたらしい。
そして、大きな機械が動きはじめたのか…目の前の大きな機械の扉のようなものが開き、同じくらいの大きさの水槽のようなものがでてきた。
水槽の中には、十代前半位の赤髪の少女が身体を丸め眠っているようだ。
この水槽のようなものは何処にも蓋が存在していないようだった、まるではじめから中身を取り出す予定がないような造りだ。
壊す以外、この少女を助けだす方法はないだろう……
驚く俺の隣にいる
こちらに刀を差しだしているという事は、俺にこれであの水槽を壊せと言っているんだろう。
確認の為に
――受け取った刀の刃を確認する、とても良い刀のようだ。
これを使い、俺は一太刀で水槽を破壊する事ができた…こんなに脆いのなら、旧暦時代のごたごたで壊れそうなものだが。
水槽内を満たしていた大量の水がこちらに流れでて、俺達は流されないよう踏ん張り留まった。
すぐに動ける場所にいたらしい
「…
その前にも色々と何かされていたようだが、そこは言葉を濁されてしまったのでわからない。
とりあえず、このままここにいても
道中で
これからどうするのか、俺は
「
最初は断ろうと思っていたのだが考えていた以上に事態は深刻らしく、
了承するしかなかった俺は
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