11話:いくべき未来

翌日――霧に惑わされた犠牲者達と一緒にふたりの葬儀も千森ちもりの集会所でおこなわれ、鎮魂の祈りを集落の人達と共に捧げた。



あの日も雲ひとつない晴れた空だった……そう、一年前の朝のような清々しく蒼い空が広がっている。



私達はその日、大切なものをふたつ失いました。


ひとつは、生まれ育った故郷を――

もうひとつは、大切な人を――



たくさんの罪を背負ってしまったけど、でも新たに得たものもある。

いろいろと失ってしまったけど、今はその出来事の記憶も大切にしたいと思っている。



彼が大好きだった笑顔を忘れないように、日々生きていきたい。

いつか、大好きな人にもう一度会えたら…私は笑顔で出迎えて、お礼を伝えたい。




私はこれからも生きていく――
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