9話:断罪の刃
俺達が走水 の隠れているあの隠し部屋にたどり着くと、何故か扉が開いていた。
…確か、自動で扉にロックがかかる仕掛けじゃなかっただろうか?
確認してみると、何かが挟まっているらしく扉が閉まらないようになっていた。
俺と右穂 は警戒しながら恐る恐る室内の様子をうかがってみると、そこには……
「なっ…!?」
目の前に広がる光景に、思わず声をあげてしまった。
隣にいた右穂 も、俺と同じように驚いたようで静かに息を飲む音が聞こえてきた。
――俺達が驚いた理由 というのは、この部屋の状況にある。
部屋は軽く荒らされており、走水 が壁にもたれかかるように座り込んで息絶えていた。
あの時、俺達は致命傷まで与えていなかったはずだ。
動こうと思えば、動く事もできただろう…だが、一体何故?
ゆっくりと近づいて、走水 の状態を確認する。
俺と右穂 が撃った痕の他に……何故か、右太ももと頭部にも弾痕があった。
初めは俺達によって正体を暴かれての自害かと考えたんだが、それだと2発撃った意味がわからない。
そもそも、頭部も自分では撃つには難しい位置だ。
――だとすれば、一体誰が走水 を殺めたのだろうか…?
俺と右穂 は、一緒に行動していたので違うしな。
それと、七弥 でもないだろう…アイツなら一撃で仕留める、間違いなく。
だとすれば、残るは――そう考えた時、背後に人の気配がした。
俺達が振り返ると、そこにいたのは……
「し、白季 …?」
にっこりと、微笑んでいる白季 が立っていた。
…その手に、銃を握ったまま。
少し荒らされた部屋と走水 の躯という、この状況をどう説明したものか…
困惑している俺に、白季 がきょとんとした様子で声をかけてきた。
「どうしたの、倉世 ?ぁ、そうそう…走水 博士に聞いたんだけど、全部思い出したんだよね?」
「っ、それは――」
全部思い出したのか、という問いに即答できず戸惑ってしまった。
確かに、走水 と会話したおかげで思い出せたが…記憶のすべてかというと、そうではない気がした。
思い出した事といえば、俺があの街で……
「あー…そっか、走水 と話しても思い出せてないんだね。なぁーんだ、残念だよ…倉世 」
そう言って、口元に笑みを浮かべた白季 は手に持っている銃をこちらに向けた。
この緊急事態に、右穂 が白季 に銃を向けようとした…が、動けないでいるようだ。
横目で確認すると、いつの間にか部屋に入ってきていた夕馬 が右穂 の首元にナイフを当てて、後ろ手に拘束していた。
いや、いたんだろうな…俺達がこの部屋に入ってきた時には――
「あれ…その様子だと、ちょっとは思い出せているのかな?ならさ、答え合わせをしよう。僕達が採点するから、思い出した事を話してごらん…倉世 」
白季 と夕馬 に、どういった意図があるのか…俺には、まったくわからない。
だが、どうやら右穂 には2人の意図が理解できたらしく…先ほどまでしていた抵抗をやめていた。
つまり、この2人に俺が思い出した事を全て話せばいいのだろう。
それで、白季 と夕馬 を止められるのならば……
不意に、夢の中に現れた琴音 の『あなた達が犯した罪を――そして、私達の事を』という言葉を思い出した。
――俺達が犯した罪…それが何か、今でははっきりとわかる。
だが、琴音 の言う『私達の事を』が何を意味しているのかわからずにいた。
まだいくつかわからない事もあるが、今は話すしかないだろう…
深く息をついてから、俺は思い出した事を順に言葉にする。
…もう、この悲劇は終わりにしなければならない。
例え、この身が破滅へと向かう事になろうとも……それはきっと抗いがたい運命なのだろうからな。
――あの時、お前もそう言っていただろう…なぁ、七弥 ?
…確か、自動で扉にロックがかかる仕掛けじゃなかっただろうか?
確認してみると、何かが挟まっているらしく扉が閉まらないようになっていた。
俺と
「なっ…!?」
目の前に広がる光景に、思わず声をあげてしまった。
隣にいた
――俺達が驚いた
部屋は軽く荒らされており、
あの時、俺達は致命傷まで与えていなかったはずだ。
動こうと思えば、動く事もできただろう…だが、一体何故?
ゆっくりと近づいて、
俺と
初めは俺達によって正体を暴かれての自害かと考えたんだが、それだと2発撃った意味がわからない。
そもそも、頭部も自分では撃つには難しい位置だ。
――だとすれば、一体誰が
俺と
それと、
だとすれば、残るは――そう考えた時、背後に人の気配がした。
俺達が振り返ると、そこにいたのは……
「し、
にっこりと、微笑んでいる
…その手に、銃を握ったまま。
少し荒らされた部屋と
困惑している俺に、
「どうしたの、
「っ、それは――」
全部思い出したのか、という問いに即答できず戸惑ってしまった。
確かに、
思い出した事といえば、俺があの街で……
「あー…そっか、
そう言って、口元に笑みを浮かべた
この緊急事態に、
横目で確認すると、いつの間にか部屋に入ってきていた
いや、いたんだろうな…俺達がこの部屋に入ってきた時には――
「あれ…その様子だと、ちょっとは思い出せているのかな?ならさ、答え合わせをしよう。僕達が採点するから、思い出した事を話してごらん…
だが、どうやら
つまり、この2人に俺が思い出した事を全て話せばいいのだろう。
それで、
不意に、夢の中に現れた
――俺達が犯した罪…それが何か、今でははっきりとわかる。
だが、
まだいくつかわからない事もあるが、今は話すしかないだろう…
深く息をついてから、俺は思い出した事を順に言葉にする。
…もう、この悲劇は終わりにしなければならない。
例え、この身が破滅へと向かう事になろうとも……それはきっと抗いがたい運命なのだろうからな。
――あの時、お前もそう言っていただろう…なぁ、