1話:目覚めの悪夢
「――で、七弥 …そちらの状況は、どうなんだい?」
モニター向こうの相手は、七弥 に訊ねる。
心なしか、その声は嗤っているようだな…と、定期報告の為にブリッジに来ていた七弥 は思っていた。
「…玖苑 の方は、すべて済みました。後は…事後処理が済み次第、復興に着手する手筈になっております」
七弥 は手短に報告をすませる。
七弥 の話した内容からすると、おそらくモニター向こうにいる相手は上層部の人間なのだろう……
「…そうか。その件に関しては七弥 …キミ達に任せるよ。そういえば――目撃者だという、あの2人 は見つかったのかい?」
「……いいえ」
上官に訊ねられた七弥 は、小さく答える。
「…まだ見つかっていません」
「…早く見つけて、連れてくるんだよ?そうだ、七弥 ――」
頭を下げている七弥 に、微笑みながら上官は言葉を続けた。
「ひとつ聞くけど、何故その〈隠者の船〉を動かしたんだい?こちらは、許可した覚えがないのだけど?」
「…………」
少し俯いたまま、七弥 は答える。
「…復興支援に必要な物資や人員など、運搬に使っただけです。今は、その帰りですが……」
七弥 は半分真実で、半分嘘をつく。
だが、上官である相手にはすべて見透かされているようだった。
「――…隠してもダメだよ、七弥 。玖苑 の生き残りを乗せているんだろう?」
「…………」
その言葉に、七弥 は何も答えず黙っている。
七弥 の…そんな様子を見た相手は、小さく笑うと優しく言った。
「ははは、七弥 …キミはわかりやすいね。まぁ、そこが良いところでもあるのかな?生き残りの人々は、キミが責任を持ってきちんと送るんだよ?」
七弥 の返事を聞く前に、モニターは切られた。
「……ふぅ」
疲れで脱力した七弥 は深く息をつくと、椅子に腰を沈める。
「…見透かされていた、か――」
小さく呟いた七弥 が、遠くを見つめながら考え込んだ。
(…俺の知らないところで、誰かがご丁寧に報告したのか。考えたくないが、ここに内通者でも入り込んでいるのだろうか……?)
そう考えて、再び小さく息をついた。
「……どちらにしろ、用心した方がいいな…」
七弥 はひとり呟くと、立ち上がりブリッジを後にした。
***
――モニターがいくつか設置された、どこかの部屋……
そこにある2つの人影――椅子に腰かけた人物と、その後ろに控える男はモニターのひとつを眺めているようだ。
「…七弥 は相変わらず、好き勝手 に動いているようですね」
静かに控えている男が、椅子に腰かけた人物に声をかけた。
「ははは…まぁ、良いじゃないか。七弥 も色々とやりたいんだろうね」
椅子に腰かけた人物は楽しそうに答えると、後ろに控える男に向けて囁くように訊ねる。
「七弥 はああ言っていたけど、『彼ら』が探している例の2人 …本当に見つかっていないのかい?」
「…まだ詳しい情報はこちらに上がっておりませんので何とも言えませんが、おそらくは――」
後ろに控える男は、囁くように報告した。
それを聞いて考え込んだ椅子に腰かけた人物は、ひとり呟くように口を開く。
「ふむ…まぁ、〈隠者の船〉が着けばわかる事だしね。楽しみだ……」
「はい」
椅子に腰かけた人物の言葉に、控えている男は深く頷いた。
モニター向こうの相手は、
心なしか、その声は嗤っているようだな…と、定期報告の為にブリッジに来ていた
「…
「…そうか。その件に関しては
「……いいえ」
上官に訊ねられた
「…まだ見つかっていません」
「…早く見つけて、連れてくるんだよ?そうだ、
頭を下げている
「ひとつ聞くけど、何故その〈隠者の船〉を動かしたんだい?こちらは、許可した覚えがないのだけど?」
「…………」
少し俯いたまま、
「…復興支援に必要な物資や人員など、運搬に使っただけです。今は、その帰りですが……」
だが、上官である相手にはすべて見透かされているようだった。
「――…隠してもダメだよ、
「…………」
その言葉に、
「ははは、
「……ふぅ」
疲れで脱力した
「…見透かされていた、か――」
小さく呟いた
(…俺の知らないところで、誰かがご丁寧に報告したのか。考えたくないが、ここに内通者でも入り込んでいるのだろうか……?)
そう考えて、再び小さく息をついた。
「……どちらにしろ、用心した方がいいな…」
***
――モニターがいくつか設置された、どこかの部屋……
そこにある2つの人影――椅子に腰かけた人物と、その後ろに控える男はモニターのひとつを眺めているようだ。
「…
静かに控えている男が、椅子に腰かけた人物に声をかけた。
「ははは…まぁ、良いじゃないか。
椅子に腰かけた人物は楽しそうに答えると、後ろに控える男に向けて囁くように訊ねる。
「
「…まだ詳しい情報はこちらに上がっておりませんので何とも言えませんが、おそらくは――」
後ろに控える男は、囁くように報告した。
それを聞いて考え込んだ椅子に腰かけた人物は、ひとり呟くように口を開く。
「ふむ…まぁ、〈隠者の船〉が着けばわかる事だしね。楽しみだ……」
「はい」
椅子に腰かけた人物の言葉に、控えている男は深く頷いた。