9話:断罪の刃
何処からか聞こえてきた銃声に驚き、目を覚ましたのはピンク色のゆったりウェーブがかった髪の少女である。
彼女は織葉 の引き起こした事件後、七弥 に付き添われ母親のいるラウンジへ戻った。
しかし、ラウンジにいるであろう母親の姿は何処にもなく…不安からか、少女はパニックを起こしかけてしまった。
程なくして、母親は戻ってきたので落ち着きを取り戻したが……
何処へ行っていたのか、と心配している少女に母親は「お手洗いに…」と答えるだけであった。
だが、そう答える母親の表情はどこか硬く…何かあったのだろう事は、彼女にもわかった。
それを問おうとした少女だったが、精神的に限界だったのだろう…そのまま幼子のように、母親に抱きついたまま眠ってしまったのだ。
しかし、現在…目を覚ました彼女のそばに母親の姿は何処にもなかった。
そればかりでなく、あんなに忙しなく動き回っていた軍人達の姿も何処にも見当たらない。
もしかすると、母親はまたお手洗いに行っているのかもしれないが…
用もないだろうに、ラウンジをウロウロしていた軍人達の姿まで見えないのはさすがにおかしい。
――何か嫌な予感がする…
そう感じた少女は、何度か深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせた。
これ以上、パニックを起こしていては周りに迷惑をかけてしまうかもしれない。
落ち着いて行動しなければ……
ラウンジの外…通路は静寂に包まれていて、人の気配は何処にも感じられなかった。
あんな事件があったばかりだから仕方ないのかもしれないが、それにしてもまったく気配を感じないのはさすがにおかしい状況である。
このまま、ここで母親を待っていた方がいいだろうが…直感的に、ここに留まっていてはいけない気がした。
何か嫌な予感がしていた少女は、意を決して行動に移す事にしたのだ。
…ただ、彼女はこの飛行艇が迷路のような作りをしているのを知らない。
勘を頼りに通路に出た少女は壁に手を添えながら、ゆっくりとした足取りで歩いていく。
もちろん、できるだけ足音と気配を消して……
途中、赤く染まった白衣が何かに かけられているのに気づいた。
最初それが何かまったくわからなかった、がすぐに理解して驚きと恐怖で息を飲んだ。
自分と、そう年の変わらない…その子達の冥福を静かに祈ると、再び歩みを進める。
もしかすると、自分があの子達と同じ状況になっていたのかもしれない…と、頭をよぎった。
あの時、咄嗟に隠れたおかげで淑女の狂気に襲われなかったのだ。
ラウンジで初めて会った時、あの淑女は何処を見ているのかわからない様子だった。
それが、あんな…倒れた軍人達を執拗に刺し続けながら、その時の淑女はとても楽しそうに笑っていた――
まるで、あの時のあの人 のように……
玖苑 の街が混乱の中にあった時、あの淑女のような雰囲気をまとった許婚が襲ってきた…その時の事を、彼女は思い出していた。
殺される…そう感じた少女は、近くにあった鉄パイプで許婚の頭を強かに殴って難を逃れる事ができたのだ。
だが、その後すぐ近くの壁が倒れて許婚は下敷きになってしまったけど……
故意ではないとはいえ、人を殺めてしまった…
そう考えた少女は逃げ出し、混乱した街中で母親と再会する。
何があったのかを、胸に秘めたまま……
しばらく歩いていると、向こうから誰かの話し声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声に、少女は息を潜めて気づかれないように聞き耳を立てた。
一体、何を話しているのだろう…?
もしかすると、この状況を把握できるかもしれないし…もし敵ならば、逃げなければならない。
今いるこの場所なら、走って逃げる事も可能かもしれないと少女は考えたのだ。
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彼女は
しかし、ラウンジにいるであろう母親の姿は何処にもなく…不安からか、少女はパニックを起こしかけてしまった。
程なくして、母親は戻ってきたので落ち着きを取り戻したが……
何処へ行っていたのか、と心配している少女に母親は「お手洗いに…」と答えるだけであった。
だが、そう答える母親の表情はどこか硬く…何かあったのだろう事は、彼女にもわかった。
それを問おうとした少女だったが、精神的に限界だったのだろう…そのまま幼子のように、母親に抱きついたまま眠ってしまったのだ。
しかし、現在…目を覚ました彼女のそばに母親の姿は何処にもなかった。
そればかりでなく、あんなに忙しなく動き回っていた軍人達の姿も何処にも見当たらない。
もしかすると、母親はまたお手洗いに行っているのかもしれないが…
用もないだろうに、ラウンジをウロウロしていた軍人達の姿まで見えないのはさすがにおかしい。
――何か嫌な予感がする…
そう感じた少女は、何度か深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせた。
これ以上、パニックを起こしていては周りに迷惑をかけてしまうかもしれない。
落ち着いて行動しなければ……
ラウンジの外…通路は静寂に包まれていて、人の気配は何処にも感じられなかった。
あんな事件があったばかりだから仕方ないのかもしれないが、それにしてもまったく気配を感じないのはさすがにおかしい状況である。
このまま、ここで母親を待っていた方がいいだろうが…直感的に、ここに留まっていてはいけない気がした。
何か嫌な予感がしていた少女は、意を決して行動に移す事にしたのだ。
…ただ、彼女はこの飛行艇が迷路のような作りをしているのを知らない。
勘を頼りに通路に出た少女は壁に手を添えながら、ゆっくりとした足取りで歩いていく。
もちろん、できるだけ足音と気配を消して……
途中、赤く染まった白衣が
最初それが何かまったくわからなかった、がすぐに理解して驚きと恐怖で息を飲んだ。
自分と、そう年の変わらない…その子達の冥福を静かに祈ると、再び歩みを進める。
もしかすると、自分があの子達と同じ状況になっていたのかもしれない…と、頭をよぎった。
あの時、咄嗟に隠れたおかげで淑女の狂気に襲われなかったのだ。
ラウンジで初めて会った時、あの淑女は何処を見ているのかわからない様子だった。
それが、あんな…倒れた軍人達を執拗に刺し続けながら、その時の淑女はとても楽しそうに笑っていた――
まるで、あの時の
殺される…そう感じた少女は、近くにあった鉄パイプで許婚の頭を強かに殴って難を逃れる事ができたのだ。
だが、その後すぐ近くの壁が倒れて許婚は下敷きになってしまったけど……
故意ではないとはいえ、人を殺めてしまった…
そう考えた少女は逃げ出し、混乱した街中で母親と再会する。
何があったのかを、胸に秘めたまま……
しばらく歩いていると、向こうから誰かの話し声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声に、少女は息を潜めて気づかれないように聞き耳を立てた。
一体、何を話しているのだろう…?
もしかすると、この状況を把握できるかもしれないし…もし敵ならば、逃げなければならない。
今いるこの場所なら、走って逃げる事も可能かもしれないと少女は考えたのだ。
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