9話:断罪の刃

新暦1092年遊月ゆうつき27日――

めい国最北部にある街、玖苑くおん


この街は、一夜にして『死の街』と化してしまった。


その始まりは、玖苑くおんにある医院だったと言われている…

しかし、そう言われた理由は後に狂気に陥る病が蔓延した為だと正式発表されたからだ。

最初の報道で『粛清された』と報じられたのは、その病によって自己を見失った人々が暴動を起こした為だという…

そして、それを扇動したのがこの国の第五妃であったという誤った情報も一緒に報じられた事で真実味を帯びてしまった。


本当は、そこで何が起こったのか…

それを誰も詳しく語る事はできなかった――生存者達でさえも、それを知る事はできず。


自国の軍によって街に炎が放たれ、全ては灰の中に……



放たれた炎に包まれた玖苑くおんの街で、ある幼馴染み2人は対峙する。
――それは感動の再会ではなく、絶望的な再会であった。




そして、俺はあいつを…




…今ならわかる。
これは抗う事のできない運命だったのだろう、と。


だが…俺は、あの時すぐ気づくべきだったんだ。


この事件の裏で、うごめくものの存在に……







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