8話:悪夢の果てに…

――朝焼けの光が入る薄暗い部屋で、2つの人影がいくつかあるモニターを見ていた。
ひとりは椅子に腰かけた少年、もうひとりは椅子に腰かける少年に寄り添うように立つ女性のようだ。
彼らが見ているモニターのひとつには、狂ってしまった淑女が七弥ななやを倒し…そして、倉世くらせ右穂うすいに斃される場面が映しだされていた。

淑女が最期に囁いた言葉を聞いて、足を組んで背もたれに身を預けた少年は小さく笑う。

「やっと、いなくなってくれた…だけど、せめて我が目的の邪魔となるだろう連中を多く道連れにしてくれればよかったのだがね」

彼の……そんなひとり言のような言葉に、傍らに立つ女性は同意して答える。

「そうはおっしゃりますが……薬の力があったとて、女一人ではあれが精一杯かと」
「わかっているよ…まぁ、あの人にしては上出来だったと思う事にしよう」

姿勢を正した少年は苦笑しながら答えると、モニターのひとつに映しだされた淑女の躯を静かに見つめた。



――貴女には、ずっと消えてほしかった……
私の望むもの、未来を潰す存在になりうる貴女が邪魔だった。


…でも、ひとつだけ心から感謝をしているよ。
私を、この世に産んでくれた事を…ね。


そう、ただ…それだけ――



「後、私にとって邪魔になるのは……」

私に協力し、力を貸す事を拒んだ…あの者達を排除すれば――

「ふふっ…そうすれば、手に入る。この私が、母を殺してまで欲しかったものが……」










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