7話:死の宴への招待状
誰もいない飛行艇の、とある通路……
そこに、窓にもたれ掛かるようにして白衣の男が立っていた。
外の景色は、朝焼け色に染まった王都・夢明 にある飛行艇の港――
この港の、ところどころで黒煙が上がっているようだ。
この光景を観察しながら、男は腕時計で時間を確認すると大きくため息をついた。
「綺乃 め…メールでこの場所で待つよう指定しておいて、遅刻するとは何を考えている…?」
あの時……綺乃 から送られてきたメールには、映像ファイルの他にバツ印が付けられた飛行艇内の地図画像が1枚添付されていたのだ。
そして、本文にはこう書かれていた。
―――
親愛なる走水 博士。
我々は貴方の正体を…そして、目的を存じております。
ですが、私はそれを当局に密告したり…それをネタに、貴方を脅迫したりするつもりはございません。
我々が貴方に連絡を差し上げた理由はただひとつ、
取引したいと考えております。
その取引内容とは、ある方に貴方が新たに作った薬を渡して飛行艇内を混乱させていただきたいのです。
ある方に届けるのは、我々が用意した協力者に任せていただければいいです。
早朝、画像にあるバツ印の場所に来てください。
その後の指示は、追っていたします。
その代わり、貴方の目的である件 のものは差し上げます。
もちろん、協力してくだされば貴方の身の保証もいたします。
綺乃
―――
このメールが走水 の元に届いた時、銃を手にした白季 が部屋にやって来たのだ。
そして、白季 の許可を得て綺乃 に返信した。
―――
綺乃 …まさか、君達が私の正体を掴むとはね。
もしかすると…だけど、君お得意の方法で秘密警察のデータでも盗み見たのかもしれないが…
それよりも、その取引だが……私の身の保証は確かなのかな?
君達がやってきた事を、私も知っているのだよ?
もちろん、君の言う人物にした事や目的をね…
君達からしたら、私の正体うんぬんよりも…
知り過ぎた目撃者である私を消したいのではないかね?
走水
―――
返信後、しばらくの間メールの確認をしていなかった。
いや…白季 がいる上に薬の制作とデータ記録などの作業をしていた為、したくてもできなかったわけだが。
ひと通り作業を終えて白季 と別行動する際、走水 は記録したものを自分の持つ記憶媒体に保存しながらメールの確認をした。
そこには、綺乃 から『今現在、飛行艇内にいる軍の者…貴方の護衛をしている彼らは、我が主に仕える者達ですのでご安心ください』の一文だけが届いていた。
それを読んだ走水 はため息をついて、届いていた綺乃 からのメールすべてを削除すると『協力者』だという軍人に薬を手渡した。
おそらく、指定の人物に届けられたのだろう。
その後、用心として搭乗橋に仕掛けを施しておいた。
綺乃 が用意したという護衛の軍人達は白季 に何かされたのか、その姿は何処にもなかった。
……つまり、こちらの安全は確実に確保できない。
だから、念の為に仕掛けたのだ。
搭乗橋は完全に破壊できないが、『仕掛け』のおかげで時間稼ぎはできるだろう。
そして、現在――飛行艇内で起こった事件を確認した走水 は、綺乃 に指定された場所で待ちぼうけをくらっている状態だ。
――やはり、綺乃 にはめられたのだろうか…?
そもそも、綺乃 はこの飛行艇に乗っていないのだから…この場所に現れるはずがない。
港と飛行艇とを繋ぐ搭乗橋もあの状態だ…外から乗ってくる可能性はないだろう。
あの女の手のひらで踊らされているのか…と、そんな事を考えはじめた走水 の元に何者かがやって来た。
その人物に目を向けた走水 は、口元に怪しげな笑みを浮かべると声をかける。
「――あぁ、なんだ。やはり君だったか…」
走水 の元に現れた人物は、小さく頭を下げた。
***
そこに、窓にもたれ掛かるようにして白衣の男が立っていた。
外の景色は、朝焼け色に染まった王都・
この港の、ところどころで黒煙が上がっているようだ。
この光景を観察しながら、男は腕時計で時間を確認すると大きくため息をついた。
「
あの時……
そして、本文にはこう書かれていた。
―――
親愛なる
我々は貴方の正体を…そして、目的を存じております。
ですが、私はそれを当局に密告したり…それをネタに、貴方を脅迫したりするつもりはございません。
我々が貴方に連絡を差し上げた理由はただひとつ、
取引したいと考えております。
その取引内容とは、ある方に貴方が新たに作った薬を渡して飛行艇内を混乱させていただきたいのです。
ある方に届けるのは、我々が用意した協力者に任せていただければいいです。
早朝、画像にあるバツ印の場所に来てください。
その後の指示は、追っていたします。
その代わり、貴方の目的である
もちろん、協力してくだされば貴方の身の保証もいたします。
―――
このメールが
そして、
―――
もしかすると…だけど、君お得意の方法で秘密警察のデータでも盗み見たのかもしれないが…
それよりも、その取引だが……私の身の保証は確かなのかな?
君達がやってきた事を、私も知っているのだよ?
もちろん、君の言う人物にした事や目的をね…
君達からしたら、私の正体うんぬんよりも…
知り過ぎた目撃者である私を消したいのではないかね?
―――
返信後、しばらくの間メールの確認をしていなかった。
いや…
ひと通り作業を終えて
そこには、
それを読んだ
おそらく、指定の人物に届けられたのだろう。
その後、用心として搭乗橋に仕掛けを施しておいた。
……つまり、こちらの安全は確実に確保できない。
だから、念の為に仕掛けたのだ。
搭乗橋は完全に破壊できないが、『仕掛け』のおかげで時間稼ぎはできるだろう。
そして、現在――飛行艇内で起こった事件を確認した
――やはり、
そもそも、
港と飛行艇とを繋ぐ搭乗橋もあの状態だ…外から乗ってくる可能性はないだろう。
あの女の手のひらで踊らされているのか…と、そんな事を考えはじめた
その人物に目を向けた
「――あぁ、なんだ。やはり君だったか…」
***