6話:夢明の悲劇
突然の凄まじい爆音に、喫茶店で珈琲を飲んでいた黒髪の男は驚いて喫茶店から外に出てきた。
爆音のした方向に目を向けると、そこから黒煙と…何かの焦げたような匂いが風に乗ってしてくる。
そこへ、慌てた様子でひとりの軍人がやって来た。
「塑亜 博士、大変です!〈隠者の船〉から…まだ確認はとれていないのですが、あの男が搭乗橋に爆発物を――」
「っ、まずいな。あれ を…やつの置いたものが、ただの爆発物である可能性は低い…夕馬 の情報だと、間違いないだろうしな。おい、用意した『例のマスク』を全員に着用させておけ!」
黒髪の男・塑亜 は舌打ちすると、知らせに来た軍人に素早く指示を出す。
敬礼して走り去った軍人を見送りながら、喫茶店へ自分の白衣を取りに戻った。
そして、喫茶店を出る前に…すぐ店を閉めて避難するよう店主に話しかけると、店主は静かに頷いて答える。
塑亜 が外に出た直後、店の戸締りをしてそのまま避難したようだ。
「まったく…このツケは高くつくぞ。夕馬 !白季 !」
怒りを隠そうとせず呟いた塑亜 は白衣を着ると、港内の…爆発のあった現場に向けて走る。
(ちっ、あの裏切り者共め…白季 に言われた時、俺の独断で始末すべきだったな)
舌打ちした塑亜 は、ある出来事を思い出していた。
あの、赤い少女を連れた白季 に教えられたあの日の事を……
――あの日、自分の研究室で仕事をしていた塑亜 の元に赤い少女を連れた白季 がやって来たのだ。
研究室で、塑亜 の邪魔…もとい、ひと通り遊び終えた白季 はおもむろに口を開いた。
『ねぇ、塑亜 …琴音 がさ、言っているんだ。あの人達は、裏切り者だって』
あの赤い少女の持つ高い観察力を、塑亜 もよく知っていた。
そして、それを赤い少女が白季 を通して伝えてきたのだ…ある裏切り者達の存在についてを。
(やはり、すべて見通していたか…)
早めに手を打とうにも裏切り者達が狡猾に尻尾を出さない為、その証拠をなかなか掴めなかった。
秘密警察の方でも探りを入れてもらっていたのだが…やはり、決定的な証拠は掴めずにいたのだ。
それが、今回の件に繋がっているのだとすれば……
(――皮肉なものだな…まったく)
深いため息をついた塑亜 が現場にたどり着くと、そこはすでに惨劇の幕が上がっていた。
塑亜 の指示によってマスクをつけた軍人達が、狂ったような笑みを浮かべている軍人達と戦っている…
そんな現場の状況を目にして、塑亜 は密かに頭を抱えた。
(まったく、誰だ…失敗作だというのに、またすぐ『アレ』を作ったバカはっ!?)
夕馬 の話では――あの時、実験で使用したものは…あの事件で街に撒かれ、すべて失われたはずだ。
それが何故、またここで使用されたのか?
(あー…そうか、だからといって――まったく、笑えない状況にしてくれたな!)
後々、薬のサンプルは必要となるだろが……なんとなく、そのバカが誰なのか気づいた塑亜 は大きくため息をついて自分を襲おうと迫ってきた狂気の軍人達を蹴り上げた。
爆音のした方向に目を向けると、そこから黒煙と…何かの焦げたような匂いが風に乗ってしてくる。
そこへ、慌てた様子でひとりの軍人がやって来た。
「
「っ、まずいな。
黒髪の男・
敬礼して走り去った軍人を見送りながら、喫茶店へ自分の白衣を取りに戻った。
そして、喫茶店を出る前に…すぐ店を閉めて避難するよう店主に話しかけると、店主は静かに頷いて答える。
「まったく…このツケは高くつくぞ。
怒りを隠そうとせず呟いた
(ちっ、あの裏切り者共め…
舌打ちした
あの、赤い少女を連れた
――あの日、自分の研究室で仕事をしていた
研究室で、
『ねぇ、
あの赤い少女の持つ高い観察力を、
そして、それを赤い少女が
(やはり、すべて見通していたか…)
早めに手を打とうにも裏切り者達が狡猾に尻尾を出さない為、その証拠をなかなか掴めなかった。
秘密警察の方でも探りを入れてもらっていたのだが…やはり、決定的な証拠は掴めずにいたのだ。
それが、今回の件に繋がっているのだとすれば……
(――皮肉なものだな…まったく)
深いため息をついた
そんな現場の状況を目にして、
(まったく、誰だ…失敗作だというのに、またすぐ『アレ』を作ったバカはっ!?)
それが何故、またここで使用されたのか?
(あー…そうか、だからといって――まったく、笑えない状況にしてくれたな!)
後々、薬のサンプルは必要となるだろが……なんとなく、そのバカが誰なのか気づいた