0話裏:ほの暗き目覚めの時
だから被験者ふたりは生き残ったのか、と納得した
「凄いですね、あのレポートを読んだだけで『
「…先輩、どこまで
涙の痕が残る顔を上げた
「沢山頑張った後輩を褒めてあげようかと…あと、貴方が弟のように思えましたからつい撫でました。それよりも、ご子息の解放は他でもない父親である貴方がしなければならない」
「…わかっています、あの子には長い間辛い思いをさせましたから。
立ち上がった
「いいですよ。また昔のように、飲み物に盛ってあげましょうか?そして、貴方の家族の話を聞かせてください」
「…盛らなくて大丈夫です。逆に、もう聞きたくないと言わせてやりますから…で、先輩の話を聞かせてくださいよ」
自分の事を気にしていたという
確かに何故兄が噂話をしてきたのかわからないだろうな、と考えた
「もちろん、貴方の気が済むまで。その前に、
「それは…どうして、ですか?」
声をひそめた
「貴方が見た医師もどきの仲間が、どうやら潜り込んでいるようです…だから、お互い今は何も知らなかった。そして…ご子息は病状が悪化したという事にします。子供達に何の咎がいかないように…」
完全に御咎めなしにはできないかもしれないが、下手に巻き込まれないようにする為の配慮なのだと言葉を続けた。
「わかりました、
そう言った
彼の後ろ姿を見送った
「…この咎を負うべきは、私なのかもしれない。願わくば、その怒りを鎮め彼らを赦し給え――」
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