0話:終焉の街
「――わかった、すぐにそっちへ向かう」
そう答えて電話を切ると、
どうしたのか訊ねたら、
「いや、どうしたもこうしたも…
「…わかりました」
何が起こっているのかわからないが、俺は頷いて答えた。
翌11日の早朝、
少し不満げな様子の者もいたが、おおむね納得してもらえただろう。
まぁ、ひとり抜けたらその分やる事が増えてしまうので不満なのだろう…しかし、
…それよりも、だ。
この3ヶ月、
割と早い段階で来るかと思っていたが、タイミングを計っているのか…もしくは、警戒しているのか。
勝手な行動はすべきでないので、
そう考えて休憩時間、警備をしている
誰もいない空き部屋まで移動すると、どうすべきか相談する。
「そうですね…しばらく様子見が一番いいと思いますが、一応『影の者』に
警備に入っているのは
相手の目的さえわかれば、こちらも対処しやすいだろう……
話し合う俺達のいる部屋に、ノックもなしに誰かが入ってきた。
声を潜めて話し合っていたので会話内容までは聞かれていないだろうが、もしもの事もある――平然としたままそちらに目を向けると、やって来たのは
今し方、噂していた人物の登場に俺達は警戒を強めた。
「…おや、邪魔をしてしまったかな?」
肩をすくめて
もしかすると、
俺に用があるにしても先生方や
「何か御用でしょうか、
警戒したまま答えられない俺の代わりに、
苦笑する
「たいした用では、ないのだけどね…お前と少し話をすべきかな、と考えていたんだよ。お前も気になっていたのだろう?何故、自分が呼ばれたのかを――」
今まで話しかけようと思っても、誰かしらが傍にいたのでなかなか声をかけられなかったのだと彼は続ける。
考えてみれば、確かに誰かしらが俺の傍…主に、
「確かに、気にはなっていた…何故、軍に入った俺に協力を求めてきたのかを」
そもそも、俺は学舎を卒業後一年と少ししか研究職に就いていなかった。
あの事件の後、休職半年を経て軍に入ったので
短い期間でも接点がないので、あのレポートを読んだだけで俺だと判断した
俺が感じている疑問に気づいたのだろう、
「あぁ…私が何故お前を知っているのか、わからないのだろう?簡単だよ、私は学生時代のお前のレポートを何度か見たからね」
書き手によって文字や文章構成に癖がでるからわかったのだ、と笑った。
例のレポートは、細心の注意を払って古代文字で書いたが…やはり、どこかしらに癖が出てしまったのだろう。
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