3話:幼い邪悪[前編]
「――とりあえず、村に戻りましょうか。それと…今夜はもう遅いので、よろしければ私の家にお泊りください」
名のわからぬ者達の墓に花を供えたヴァリスは、セネトとクリストフに声をかけた。
ヴァリスの申し出に、クリストフは頭を下げて礼を述べる。
「ありがとうございます、ヴァリス殿…では、お言葉に甘えさせていただきます」
実際のところ、夜も遅く…その上、体力と魔力を消耗してしまっているので休息なしの帰路はきつい。
村に一泊…といっても元来、外部の人間を入れたがらないフレネ村に宿のような泊まれる施設は存在しない。
無理矢理にでも村長宅に泊まってやろうと考えていたクリストフだったが、ない事ばかり並べて協会に苦情を入れられては適わない。
密かに、野宿になるだろうと覚悟していたのでヴァリスの申し出は本当に助かったのだ。
「では…お願いできますか?」
「はい、わかりました…ご用意いたします。しかし、夢のようです…憧れのクリストフ様がいらっしゃってくださるとは――それと同時に、あの有名な"トラブルメーカー"も来てくださるとは」
嬉しそうにクリストフを見たヴァリスが何故か、残念そうにセネトの方を横目で見た。
それに気付いたセネトは、ヴァリスを指差して叫ぶ。
「だー!ちょっと待て、その"トラブルメーカー"ってのは…もしかして、おれの事か!?何故、どーしてお前までっ!しかも、今になってか!?」
協会本部内で"トラブルメーカー"と呼ばれる事は多々あるのだが、それを初めに言ったのはセネトのよく知っている人物である兄なのだ。
だが、それはあくまで身内の話だ…しかし、気づけばフローラント内に広まってしまっていた。
他国の方にまで広まっているとは、さすがのセネトも考えていなかったのである。
「いえ、私は数年前まで…その、エレディアの本家にいまして。その関係で本部の方に籍を置いておりましたので…」
苦笑混じりに答えたヴァリスは、セネトに目を向けると言葉を続けた。
「なので、お噂はかねがね…そして、先ほど納得できました。その理由 を――」
「そんな噂を信じるなっ!というか、納得するな…すぐ忘れろ!まさか、広めるようなマネは…」
怒りの余りヴァリスに威嚇するセネトであったが、当のヴァリスは面白そうに言う。
「私は何も…しかし、他の者が広めているのは確かです。さすがに、身内は売れませんから…」
「ちっ、身内って事はエレディアの奴らか。今度、奴らのところに乗り込んでやろうか…」
文句を言う為にセネトはエレディア家へ突撃しようと決意する、が…後日、違う形で犯人が判明するのを今の彼は知る由もなかった。
なんとなく、犯人に心当たりがあるのか…クリストフは頭をおさえて愚痴る。
「止めてほしいですよ、僕は。後で苦情を受けるのは、こっちなんですから…」
その時は同僚であり、セネトの師であるディトラウトを巻き込んでやろう…とクリストフは密かに決意したようだ。
***
名のわからぬ者達の墓に花を供えたヴァリスは、セネトとクリストフに声をかけた。
ヴァリスの申し出に、クリストフは頭を下げて礼を述べる。
「ありがとうございます、ヴァリス殿…では、お言葉に甘えさせていただきます」
実際のところ、夜も遅く…その上、体力と魔力を消耗してしまっているので休息なしの帰路はきつい。
村に一泊…といっても元来、外部の人間を入れたがらないフレネ村に宿のような泊まれる施設は存在しない。
無理矢理にでも村長宅に泊まってやろうと考えていたクリストフだったが、ない事ばかり並べて協会に苦情を入れられては適わない。
密かに、野宿になるだろうと覚悟していたのでヴァリスの申し出は本当に助かったのだ。
「では…お願いできますか?」
「はい、わかりました…ご用意いたします。しかし、夢のようです…憧れのクリストフ様がいらっしゃってくださるとは――それと同時に、あの有名な"トラブルメーカー"も来てくださるとは」
嬉しそうにクリストフを見たヴァリスが何故か、残念そうにセネトの方を横目で見た。
それに気付いたセネトは、ヴァリスを指差して叫ぶ。
「だー!ちょっと待て、その"トラブルメーカー"ってのは…もしかして、おれの事か!?何故、どーしてお前までっ!しかも、今になってか!?」
協会本部内で"トラブルメーカー"と呼ばれる事は多々あるのだが、それを初めに言ったのはセネトのよく知っている人物である兄なのだ。
だが、それはあくまで身内の話だ…しかし、気づけばフローラント内に広まってしまっていた。
他国の方にまで広まっているとは、さすがのセネトも考えていなかったのである。
「いえ、私は数年前まで…その、エレディアの本家にいまして。その関係で本部の方に籍を置いておりましたので…」
苦笑混じりに答えたヴァリスは、セネトに目を向けると言葉を続けた。
「なので、お噂はかねがね…そして、先ほど納得できました。その
「そんな噂を信じるなっ!というか、納得するな…すぐ忘れろ!まさか、広めるようなマネは…」
怒りの余りヴァリスに威嚇するセネトであったが、当のヴァリスは面白そうに言う。
「私は何も…しかし、他の者が広めているのは確かです。さすがに、身内は売れませんから…」
「ちっ、身内って事はエレディアの奴らか。今度、奴らのところに乗り込んでやろうか…」
文句を言う為にセネトはエレディア家へ突撃しようと決意する、が…後日、違う形で犯人が判明するのを今の彼は知る由もなかった。
なんとなく、犯人に心当たりがあるのか…クリストフは頭をおさえて愚痴る。
「止めてほしいですよ、僕は。後で苦情を受けるのは、こっちなんですから…」
その時は同僚であり、セネトの師であるディトラウトを巻き込んでやろう…とクリストフは密かに決意したようだ。
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