1章
夢小説設定
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床に落ちた私の小さな声を、プライドはちゃんと拾ってくれた
拾ってくれなかったら、彼の鋭い触手が部屋に居る大人全員の体を貫いていただろう
あのオールマイトも反応出来なかったほど自然に、何の気配も見せずに…
それだけでプライドの強さを理解させられた大人達は、全員冷や汗を垂らして石のように固まった
《宝…こんな話の聞けない連中を生かす意味はないと思いますよ?これ以上貴女を傷付ける発言をさせる程、我々は貴女に情を抱いていない訳じゃありません》
分かってる、彼等が私を大切に思ってくれていることは
けど、誰かを傷付けてまで欲しいものなんてない
昔から欲が少ないと言われる私の短所はこんなところでも健在だった
『……もう、いい』
「ッ宝少女…!!」
『かんしでも、いい…から。もう、やめて……』
私が一言、そう言っただけで部屋の空気はガラリと変わる
オールマイトは悲しみに打ちひしがれ、大人達はホッと安堵の息を吐く
オールマイトを悲しませるのは心苦しいが、それでもこれが、私にとっての最善の選択だ
《宝…良いのですか?この連中が貴女に何を強いようとしているのか》
『いい、いいの…。だから、おこらないで…』
《……それが貴女の意思なら、我々は従います》
《おいプライド!いいのかよ!》
《他でもない宝の頼みです。従わない以外の選択肢などありません》
プライドの言葉で一番若そうな長髪の男の子が舌打ちをして消えてしまった
それに続いてオールマイトよりも巨体な男も影に消える
残ったのはプライドと私を抱える男の人、唯一の女性に丸い体型の男の人、そして眼帯を付けた軍服の男の人だけ
プライドが身体(?)を縮めて大人達を自由にすれば、そこからはもう私が口出し出来る領域じゃない
ソファに座った男の人の膝の上で私は俯く
《宝~、良かったのか?あんな奴等、俺らが消してやっても良かったんだぞ?流石に女は手ぇ出さねぇけど》
『ん、いい…。それより、なまえ…』
ずっと聞きたかったことを聞けば、全員がキョトンとした後すぐに微笑んでくれた
それが何だか嬉しいのと恥ずかしいのとでごっちゃになって、また俯いてしまった
《ふふ、可愛いわ宝。私は色欲 よ》
《俺は強欲 だ、よろしくな》
《俺ね、暴食 っていうの》
《私は憤怒 だ。因みにさっきまで居た巨大な男が怠惰 、若いのが嫉妬 だ》
『らすと…ぐりーど……ぐらとにー…らーす………すろうす…えんう゛ぃー…』
教えてもらった名前を口にすれば、皆嬉しそうに笑ってくれる
そんな笑顔を向けられると何だかくすぐったくて、でも温かい気持ちになって頬が緩むのが分かる
ワシャワシャと撫でるグリードの手を受け入れていると、正面にオールマイトが立った
その顔に笑みはなく、拳はブルブルと震えるぐらい力強く握られている
『おーる、まいと…』
「ッ…すまない、宝少女!守ると約束したのに、こんなことに……」
『おーるまいとは…わるくないです。わたしは、にんげんじゃ…ない、から……。ころされると、おもっていたから…いきれるなら、だいじょうぶ』
「―――ッ!!!」
そうだ、私は殺される訳じゃない
どんな形であれ生きていられるんだ
だったら飼い殺しでも何でもいい、今を生き抜いていけば選択肢はきっと生まれる
その時に私が選びたい道を選べばいい
あぁ、だけど…この人は悔やんでしまうのか
私がどれだけ前向きに考えても、自分のせいだと思ってしまうのか
『おーるまいと…なかないで』
「宝、少女……私は…!」
青い瞳を潤ませて一筋の涙の道を作るこの人は、きっとこれから先も色んな人の想いを背負ってしまうんだろうな
それは、とても大変なことなのに…
私はオールマイトの頬にそっと手を添えて青空色の双眼を見つめる
『まってて』
「!!」
『いつか、おーるまいとのよこに…たてるにんげんに、なるッから
…!』
決意して早々涙で感情がぐちゃぐちゃにされそうになったが、喉を引きつらせつつも言葉を続ける
『おーる、まいとッみたいな、ひーろーに、なる…からッ!だから…』
「あぁ、あぁ!待つとも!いくらでも待つさ!!君の目標として恥じぬよう、真のヒーローとして輝き続ける!」
『…やくそく』
「あぁ、約束だ!」
オールマイトの太く逞しい小指に私の未発達な細く小さい小指を添える
今は小さすぎて絡められないこの小指が絡められるようになる頃に、彼に会いに行こう
今度は自分の意志で、自分の足で
だからそれまで、それまでだから―――
『さよなら、おーるまいと』
拾ってくれなかったら、彼の鋭い触手が部屋に居る大人全員の体を貫いていただろう
あのオールマイトも反応出来なかったほど自然に、何の気配も見せずに…
それだけでプライドの強さを理解させられた大人達は、全員冷や汗を垂らして石のように固まった
《宝…こんな話の聞けない連中を生かす意味はないと思いますよ?これ以上貴女を傷付ける発言をさせる程、我々は貴女に情を抱いていない訳じゃありません》
分かってる、彼等が私を大切に思ってくれていることは
けど、誰かを傷付けてまで欲しいものなんてない
昔から欲が少ないと言われる私の短所はこんなところでも健在だった
『……もう、いい』
「ッ宝少女…!!」
『かんしでも、いい…から。もう、やめて……』
私が一言、そう言っただけで部屋の空気はガラリと変わる
オールマイトは悲しみに打ちひしがれ、大人達はホッと安堵の息を吐く
オールマイトを悲しませるのは心苦しいが、それでもこれが、私にとっての最善の選択だ
《宝…良いのですか?この連中が貴女に何を強いようとしているのか》
『いい、いいの…。だから、おこらないで…』
《……それが貴女の意思なら、我々は従います》
《おいプライド!いいのかよ!》
《他でもない宝の頼みです。従わない以外の選択肢などありません》
プライドの言葉で一番若そうな長髪の男の子が舌打ちをして消えてしまった
それに続いてオールマイトよりも巨体な男も影に消える
残ったのはプライドと私を抱える男の人、唯一の女性に丸い体型の男の人、そして眼帯を付けた軍服の男の人だけ
プライドが身体(?)を縮めて大人達を自由にすれば、そこからはもう私が口出し出来る領域じゃない
ソファに座った男の人の膝の上で私は俯く
《宝~、良かったのか?あんな奴等、俺らが消してやっても良かったんだぞ?流石に女は手ぇ出さねぇけど》
『ん、いい…。それより、なまえ…』
ずっと聞きたかったことを聞けば、全員がキョトンとした後すぐに微笑んでくれた
それが何だか嬉しいのと恥ずかしいのとでごっちゃになって、また俯いてしまった
《ふふ、可愛いわ宝。私は
《俺は
《俺ね、
《私は
『らすと…ぐりーど……ぐらとにー…らーす………すろうす…えんう゛ぃー…』
教えてもらった名前を口にすれば、皆嬉しそうに笑ってくれる
そんな笑顔を向けられると何だかくすぐったくて、でも温かい気持ちになって頬が緩むのが分かる
ワシャワシャと撫でるグリードの手を受け入れていると、正面にオールマイトが立った
その顔に笑みはなく、拳はブルブルと震えるぐらい力強く握られている
『おーる、まいと…』
「ッ…すまない、宝少女!守ると約束したのに、こんなことに……」
『おーるまいとは…わるくないです。わたしは、にんげんじゃ…ない、から……。ころされると、おもっていたから…いきれるなら、だいじょうぶ』
「―――ッ!!!」
そうだ、私は殺される訳じゃない
どんな形であれ生きていられるんだ
だったら飼い殺しでも何でもいい、今を生き抜いていけば選択肢はきっと生まれる
その時に私が選びたい道を選べばいい
あぁ、だけど…この人は悔やんでしまうのか
私がどれだけ前向きに考えても、自分のせいだと思ってしまうのか
『おーるまいと…なかないで』
「宝、少女……私は…!」
青い瞳を潤ませて一筋の涙の道を作るこの人は、きっとこれから先も色んな人の想いを背負ってしまうんだろうな
それは、とても大変なことなのに…
私はオールマイトの頬にそっと手を添えて青空色の双眼を見つめる
『まってて』
「!!」
『いつか、おーるまいとのよこに…たてるにんげんに、なるッから
…!』
決意して早々涙で感情がぐちゃぐちゃにされそうになったが、喉を引きつらせつつも言葉を続ける
『おーる、まいとッみたいな、ひーろーに、なる…からッ!だから…』
「あぁ、あぁ!待つとも!いくらでも待つさ!!君の目標として恥じぬよう、真のヒーローとして輝き続ける!」
『…やくそく』
「あぁ、約束だ!」
オールマイトの太く逞しい小指に私の未発達な細く小さい小指を添える
今は小さすぎて絡められないこの小指が絡められるようになる頃に、彼に会いに行こう
今度は自分の意志で、自分の足で
だからそれまで、それまでだから―――
『さよなら、おーるまいと』
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