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『俺と電子の世界で暮らさないか?』
一面が赤と黒の濃淡で出来ている景色、
ここは電子の世界のBloodRedという国。
大好きな彼に誘われて、
私は初めて電子の世界に足を踏み入れた。
いわゆる異世界移住というやつだ。
現実世界から異世界へと移住できるようになって
早ン年となり、最近とても流行っている。
「ハニーの覚悟が決まって嬉しいが……」
「大丈夫です。後悔なんてしないし……
私がセイコーチと一緒にいたいから」
「もうセイコーチじゃなくて、セイでいいよ」
繋いだ手には、彼とおそろいの指輪。
これから、この国で二人の生活が始まる――
ハズだったが……
(えっと、ここって……お城?)
連れてこられた建物を見上げ、
私はすぐに彼を見た。
「ここが、俺の生まれた家」
「ここって……お城だよね?」
「うん」
(うんって……なんで冗談言うかなぁ、
こんな時に……そんなはず……え!?)
「俺はこの国の第一王子なんだ」
「セイが第一王子!? えぇぇぇっ!」
「ん? 言ってなかったか?」
「聞いてないですよ……」
「ハニーの好きな王子様で嬉しいだろ?」
(……うぅぅ、王子様が好きだけど~、
それとこれとは別というか……汗)
「で、今から俺の家族に紹介するよ」
「家族……」
(そうだよね、お母様やお父様か……
ということは、王様と王妃様だよね。緊張するな……)
すると、重厚な門が開いたかと思った矢先、
軽快な足取りの男の子が飛び出してきた!
「にいさまぁぁぁ! おかえりなさーーーい!」
彼に瓜二つの顔だけど、
その雰囲気はまるで違う。
「ただいま、セイト」
「セイ……ト?」
「そう、俺の弟のセイトだ」
「あ……私は……」
弟さんに挨拶をしようと声をかけると、
セイトという男の子の冷たい視線が、
私をとらえた。
(この人、目が笑ってない……)
「こんにちは。君、迷子でしょ?
さすがボクの兄様は優しいなぁ!
もう、兄様の手を離してもいいよ?」
そう言って、セイトくんは
私たちの手を半ばムリヤリ引きはがす。
「おい、セイト! ハニーは俺の恋人だ」
「まったまたぁ~っ☆ この女が兄様の恋人?
ウソだよね? だって何の取り柄もなさそうだよ?」
(取り柄もなさそうって……確かにそうだけど……
あれ?何だか不穏な空気が……)
「取り柄? 好きになるのにそんなことを
考えて好きになるヤツがいるのか?」
「セイ……」
すると、彼が私の手の甲にチュッと
キスを落とした。
「弟が失礼なことを言ったな。
だが、許してくれよ。
俺の唯一の家族なんだ」
「え……」
(唯一の家族……?)
ぷぅっと膨れた頬のままの
セイトくんに私は睨まれている。
「ボク……お前が兄様の相手なんて
ぜぇぇぇったいに認めないからねッ!」
「お、おいっ! セイトッ!! ……ったく」
走り去るセイトくんの背中を見つめ、
セイコーチは大きなため息を吐く。
今、私の肩にのしかかった重しには、
前途多難と記載があるハズだ。
続く
一面が赤と黒の濃淡で出来ている景色、
ここは電子の世界のBloodRedという国。
大好きな彼に誘われて、
私は初めて電子の世界に足を踏み入れた。
いわゆる異世界移住というやつだ。
現実世界から異世界へと移住できるようになって
早ン年となり、最近とても流行っている。
「ハニーの覚悟が決まって嬉しいが……」
「大丈夫です。後悔なんてしないし……
私がセイコーチと一緒にいたいから」
「もうセイコーチじゃなくて、セイでいいよ」
繋いだ手には、彼とおそろいの指輪。
これから、この国で二人の生活が始まる――
ハズだったが……
(えっと、ここって……お城?)
連れてこられた建物を見上げ、
私はすぐに彼を見た。
「ここが、俺の生まれた家」
「ここって……お城だよね?」
「うん」
(うんって……なんで冗談言うかなぁ、
こんな時に……そんなはず……え!?)
「俺はこの国の第一王子なんだ」
「セイが第一王子!? えぇぇぇっ!」
「ん? 言ってなかったか?」
「聞いてないですよ……」
「ハニーの好きな王子様で嬉しいだろ?」
(……うぅぅ、王子様が好きだけど~、
それとこれとは別というか……汗)
「で、今から俺の家族に紹介するよ」
「家族……」
(そうだよね、お母様やお父様か……
ということは、王様と王妃様だよね。緊張するな……)
すると、重厚な門が開いたかと思った矢先、
軽快な足取りの男の子が飛び出してきた!
「にいさまぁぁぁ! おかえりなさーーーい!」
彼に瓜二つの顔だけど、
その雰囲気はまるで違う。
「ただいま、セイト」
「セイ……ト?」
「そう、俺の弟のセイトだ」
「あ……私は……」
弟さんに挨拶をしようと声をかけると、
セイトという男の子の冷たい視線が、
私をとらえた。
(この人、目が笑ってない……)
「こんにちは。君、迷子でしょ?
さすがボクの兄様は優しいなぁ!
もう、兄様の手を離してもいいよ?」
そう言って、セイトくんは
私たちの手を半ばムリヤリ引きはがす。
「おい、セイト! ハニーは俺の恋人だ」
「まったまたぁ~っ☆ この女が兄様の恋人?
ウソだよね? だって何の取り柄もなさそうだよ?」
(取り柄もなさそうって……確かにそうだけど……
あれ?何だか不穏な空気が……)
「取り柄? 好きになるのにそんなことを
考えて好きになるヤツがいるのか?」
「セイ……」
すると、彼が私の手の甲にチュッと
キスを落とした。
「弟が失礼なことを言ったな。
だが、許してくれよ。
俺の唯一の家族なんだ」
「え……」
(唯一の家族……?)
ぷぅっと膨れた頬のままの
セイトくんに私は睨まれている。
「ボク……お前が兄様の相手なんて
ぜぇぇぇったいに認めないからねッ!」
「お、おいっ! セイトッ!! ……ったく」
走り去るセイトくんの背中を見つめ、
セイコーチは大きなため息を吐く。
今、私の肩にのしかかった重しには、
前途多難と記載があるハズだ。
続く
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