小ネタ

SSよりも小さなお話を置く場所。

記事一覧

  • 天魔界事変

    20180127(土)04:37
    きみを見た瞬間、これが最初で最後の恋だと思った。

    「魔王ー!」
    「喚くな蛆虫」
    「そんなこと言う魔王もめちゃくちゃ愛してる!」
    「蛆虫は脳に蛆でも湧いているのですか?絶命すれば良いのに」
    「酷いなぁ」

    凛とした佇まいだとか。
    真っ直ぐに前を見据える金の瞳とか。
    不思議なグラデーションの紫色の髪とか。
    魔王を形成するすべてが好きで。
    愛しくてたまらないのに。

    「蛆虫」
    「なぁに?」
    「甘味を奢りなさい」
    「ふふ、魔王の為なら喜んで」

    きみに触れることすら出来ない僕は、とんだ臆病者だね?
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    連作幕の外

  • 灰音

    20180123(火)14:11
    「小松くん。鬱陶しい」
    「だぁって!瑠璃葉がかわええのが悪いんやもん」
    「人のせいにしないでください」
    「……お前ら、良く毎日毎日そんなことやってて飽きねぇな」
    「飽きるわけないやん」

    リツはアホやなぁ、と大河は笑うが、アホなのはお前だ色惚け野郎。

    「好きな子と居れて、幸せやない男は居らんやろ?」
    「……分からんでんない。が、瑠璃葉が迷惑してるからやめろアホ」
    「りっちゃん……!」

    感動の表情を浮かべる瑠璃葉の頭を撫でてやれば、猫のように擦り寄ってくる。

    「あ、狡い」
    「小松くんもりっちゃんに撫でられたいの?」

    ――ちょっと、最近大河が可哀想になってきた。
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    連作幕の外

  • 2017/節分

    20180123(火)14:09
    「鬼は―そとー」

    無表情、感情の籠らない声で豆を撒く。
    バラバラ。バラバラ。
    撒かれていく豆の量は合計三袋。

    「いったい!痛いよ!」
    「やめる?」
    「もっとお願いします!」
    「私はやめたい……」


    この変態の恋人と付き合い出してから、節分はとても憂鬱だ。
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    変態詰所

  • そっちの景色は綺麗か

    20180123(火)14:07
    SS
    『明日も俺は、変わらず息をする』


    息をするだけの人生に疲れだなんて存在しない。
    そんな感情すらも、俺からは消えてしまった。
    なあ?お前と見た景色も、飯も、すべてがすべて色褪せた。
    隣に居て欲しいとか、側に行きたいとか思わねぇけど。
    ただ、そっちの景色はどんなだろうな、と。
    そう思うときは、たまにあるよ。
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    続かない筈だったその後

  • その世界は優しいか?

    20180123(火)14:06
    SS
    『世界を敵に回したって愛したかったひとがいる』



    人間が好きだった君はきっとそんなことは望んでなくて。
    俺が笑って暮らせる未来を望んでくれただろう。
    けれどやはり無理なのだ。
    守らなければならない人間を見ただけで吐き気がする。
    人間なんて滅びてしまえばいい。……俺も含めて。
    なあ、君が今居る世界は、優しいか?
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    続かない筈だったその後

  • ついったlog

    20180123(火)14:04
    恋は難しいわ。
    彼女は呟いた。
    そうだなぁと返す。
    しゃくり、しゃくり、アイスを食べる音だけが響いた。
    暑いねと不意に言われる。
    夏近いから、と言えば嫌な季節だわと眉間に皺を寄せる彼女。
    どうして嫌なの?と問えばアイスを舐めながら言われた。


    「貴方と出逢った季節だからよ」


    馴染んだ皮肉に笑った。
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    ついったlog

  • ついったlog

    20180123(火)14:04
    「君の寿命が尽きるまで生きられたら良かったのに」
    「龍である私と同じ刻を生きたいと?ヒトの分際で?」

    愚かな。と言う彼女は、けれど優しい声音で。

    「僕も君と同じになりたいな」

    それは叶わない願いではないと、けれど彼女は叶えないと。


    「愚かな」
    「人は愚かなんだよ」

    そう言えば、そうだったなと彼女は笑った。
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    ついったlog

  • ついったlog

    20180123(火)14:03
    カーテンを開けておはようと声を掛ける。
    彼女からの返事はない。
    僕はそれでも微笑んで彼女の頬にキスをした。
    彼女は綺麗な瞳を隠したまま眠り続ける。
    全てを諦めて眠ることを選んだ彼女は、今どんな夢を見ているのだろうか?
    いつか僕にもわかるかな?
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    ついったlog

  • ついったlog

    20180123(火)14:03
    「神様が手渡す服を着ると此方へ帰って来れくなるからね?」

    そう言って笑ったおばあちゃん。
    ごめんなさいおばあちゃん。

    今日私は神様の渡す服を着ます。

    「本当におばあちゃんの病気を治してくれるんですね?」
    「嗚呼、お前が私のモノになってくれるならね?」

    試すような声音に、私はこくりと頷いた。
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    ついったlog

  • ついったlog

    20180123(火)14:02
    はるちゃん。
    か細い声で名前を呼ばれた。


    「なぁに?」
    「はるちゃんは俺のこと嫌いにならないよね……?」
    「嫌いなら貴方みたいな面倒な人の側には居ないよ」

    至るところに包帯を巻いた自傷癖の酷い恋人。
    私が居なくては死んでしまう、可愛い恋人。

    「別れる何て言ったら殺しちゃうからね?」
    「はいはい」
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    ついったlog