小ネタ
SSよりも小さなお話を置く場所。
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春告げ鳥が哭いた日
20180409(月)12:25コメントする ( 0 )たとえばソレが必然だとして。
あたしが何れ死に逝く者だとして。
誰があたしのこの想いを止められると言うのだろうか?
「不毛だわ」
ぽつり、呟いた言葉に込められた意味。
そんなもの、あたしの隣に眠っている男は知らなくたって良いことだから。
あたしは窓の外を見上げる。
夜空に輝く月の輝きにあたしは大恩あるあの方を裏切ることになるのかと苦笑した。連作幕の外
忘れてなんてやらねぇよ
20180311(日)22:04コメントする ( 0 )「馬鹿みたいに愛してください」
にこりと笑ったお前は病室のベッドの上で、そう言った。
「今までも愛してやったろ」
俺は引き攣りそうな喉を振り絞って声を発する。
お前は首を振って、ただ笑いながら残酷な言葉を落とす。
「私を忘れて、他の人のこと、馬鹿みたいに愛してあげてください」
その言葉に何も言えなかった。
いっそその蒼白く痩せた頬を抓って、伸ばして、そうして目を見て。
『俺が好きなのも、愛するのも、お前だけだ』
そう言えたなら良かったのに。
こんな時に俺の悪癖であるつまらないプライドが邪魔をする。
「……そうだな。お前なんか、居なくなったら清々するかも知れないな」
「……ふふ、その勢いで忘れちゃってくださいな」
居なくなる者のことなんて、早く忘れて。
そうして幸せになってくださいな。
お前は笑うから。
その笑い方が辛い時の笑い方だったから。
俺は仕方が無いと、つまらないプライドをかなぐり捨ててお前を抱き締めた。
「仕方ねぇから、忘れないでやるよ」
「ふふ。忘れてください」
「ばーか、仕方ねぇから、愛してやるよ」
「なんですか、それ」
小さくなっていく心臓の音に耳を傾けながら、ただ、ただ。
このぬくもりが消えるまでは抱き締めていようと。
細くて骨と皮だけになってしまった身体に回した腕に力を込めた。隠した狂気
20180308(木)19:20コメントする ( 0 )ひどい人。
私の想いを知りながら、私のことを好きだと触れるその手で、他の人にも同じように触れるのだもの。
ねぇ?だからこれって仕方が無いことだと思わない?
右手に隠した狂気。
『狂った気持ち』なんてよく言うわ。
愛してる。
その程度ではもうないのだもの。ついったlog
節分 2018
20180203(土)05:45コメントする ( 0 )「鬼はー外ー鬼はー外ー」
「いった!痛いよ!?」
「鬼はー外ー」
「無表情で豆投げつけないでくれる!?確かに僕は鬼だけど!吸血鬼!鬼とは似ても似つかね…あ、いたたたた!」
「去れ、鬼」
「短く端的に消えろって言われた!僕寂しい!」
「消えろと言われたかったのか。失敬」
「何が!?ねぇ!?何が!?」
「小煩い。黙れ」
「僕はしがない血液パックで生きてる現代の吸血鬼なのに……ぐすん」
「……はぁ。面倒な」
「きみね!少しは年上を敬う心を……っ!?」
「……ん。黙ったな。良し」
「き、ききききみ!!今何をしたんだい!?」
「何?キスだが?」
「それは、親しいものや愛しいものとする事だろう!」
「黙らせる為にやった」
「もー!たらしめ!」
「そういえばファーストキスだったな」
「えっ」イベント事
灰音
20180201(木)20:12コメントする ( 0 )俺が好きになった子は一言で言えば「変」な子。
自分が可笑しいと思えばそう言い、正しいと思ったことは決して曲げない。
生きづらい子だなと見ていて思っていたものだ。
今ではそんな子にぞっこんなわけだが……。
「お前、何で彼女のこと好きなん?」
「何で言われてもなぁ……」
「お前が一人に絞るなんて俺には信じ難いわ」
俺の女癖の悪さを知っていた親友はジッと俺を見る。俺だって信じられなかった。一人の女の子にここまで惚れ込むだなんて。
「俺は好きな子を好きになるタイプやった、ってだけやわ」
「つまりは一目惚れなんやな」
「その通りやけど、なんや照れるなぁ」
「大の男が照れても可愛くもなんともない」
「蛍くん酷ないですか!?」
「いつも通りや」連作幕の外
天魔界事変
20180127(土)04:41コメントする ( 0 )『魔王』という立場にある私はその重責に耐えられるかとても不安でした。
お父様はこのような重荷を背負っていたのですね。
通りでお父様と共に過ごした記憶があまり無いわけです。
記憶にあるお父様はお母様が存命だった頃ばかり。
きっとお父様は『私』という存在を守ってくださっていたのでしょう。
私には『魔王』という肩書きは重すぎた。
そんな重責に潰されそうになった時に出逢いました。
「魔王!大好きだよ!」
「煩い蛆虫ですね」
「そんな口が悪い魔王も好きだよ!」
私を持ち得るすべてで肯定してくれる。
不本意ながらこの蛆虫に、私は救われているのです。連作幕の外
天魔界事変
20180127(土)04:39コメントする ( 0 )俺には親友とも悪友とも言えるような仲のヤツが居る。
そいつは何かにつけて「ネクタイの柄が変」だの「そのシャツは有り得ない」だの「スーツの色が馬鹿なんですか?」だの文句を言う。
けれども生来の世話焼きなのか色々言いながらも付き合ってくれる良い奴だ。
神に対しての反骨精神と言うか同族嫌悪が少々酷いが、神が信頼する天使だったと思う。
そんなそいつがこの度『堕天願い』を出した。
「まじか」
「まじです」
「……まあ、あの魔王様お前の理想そのものだったからな」
「あんなにも素敵な方がこの世にいらっしゃるとは!嗚呼…百年後が楽しみです!」
堕天願いは百年後に受理される。
色々ツッコミたいが、こいつが楽しそうなら良いかと俺は肩を竦めた。連作幕の外
天魔界事変
20180127(土)04:38コメントする ( 0 )脆い方だと思いました。
とても脆い方だと。
それでもわたくしはそんなあなた様が大好きで、存在自体が尊くて、愛おしい。
こんな感情、わたくしはあなた様に出逢って初めて抱きましたわ。
故に、わたくしはあなた様を傷付ける存在は許しません。
あなた様がご命令くださるのならばそこが地獄の果てでもついて参ります。
「わたくしは魔王様が側近の淫魔リリー。魔王様に仇なす者に断罪を行うモノ」
魔族としては下級の淫魔であるわたくしを能力で買ってくださった魔王様。
あなた様の為ならばこのリリー、死出の旅時までもをお供致します。連作幕の外
天魔界事変
20180127(土)04:37コメントする ( 0 )きみを見た瞬間、これが最初で最後の恋だと思った。
「魔王ー!」
「喚くな蛆虫」
「そんなこと言う魔王もめちゃくちゃ愛してる!」
「蛆虫は脳に蛆でも湧いているのですか?絶命すれば良いのに」
「酷いなぁ」
凛とした佇まいだとか。
真っ直ぐに前を見据える金の瞳とか。
不思議なグラデーションの紫色の髪とか。
魔王を形成するすべてが好きで。
愛しくてたまらないのに。
「蛆虫」
「なぁに?」
「甘味を奢りなさい」
「ふふ、魔王の為なら喜んで」
きみに触れることすら出来ない僕は、とんだ臆病者だね?連作幕の外
灰音
20180123(火)14:11コメントする ( 0 )「小松くん。鬱陶しい」
「だぁって!瑠璃葉がかわええのが悪いんやもん」
「人のせいにしないでください」
「……お前ら、良く毎日毎日そんなことやってて飽きねぇな」
「飽きるわけないやん」
リツはアホやなぁ、と大河は笑うが、アホなのはお前だ色惚け野郎。
「好きな子と居れて、幸せやない男は居らんやろ?」
「……分からんでんない。が、瑠璃葉が迷惑してるからやめろアホ」
「りっちゃん……!」
感動の表情を浮かべる瑠璃葉の頭を撫でてやれば、猫のように擦り寄ってくる。
「あ、狡い」
「小松くんもりっちゃんに撫でられたいの?」
――ちょっと、最近大河が可哀想になってきた。連作幕の外