小ネタ
SSよりも小さなお話を置く場所。
記事一覧
年末/冬が哭いた日
20180423(月)20:14冬が哭いた日
冬彦×陽葵
「ふーゆひこくん!」
「なんだ」
「年末も休み無しでお仕事で忙しい冬彦くんの為に、気持ちを込めて作ったお弁当を持ってきましたー!ちなみに8割は憐れみで出来ています!」
「最後の一言が要らないし、あと2割は何なんだ……」
「そうですねー……強いて言うなら優しさです!」
「嘘くさい」
「嘘ですから」
「お前と話していると頭が痛くなるな」
「もー。冬彦くんったら照れ屋さんなんだからぁ」
「誰が照れ屋だ。俺は呆れてるんだよ」
「ふふん。まあ、何だって良いですよー。とりあえずわたしの任務は冬彦くんへの労りついでに胃袋を掴めお弁当を作ることですからね!任務成功です!」
「お前に胃袋を掴まれた覚えはない」
「律儀に冬彦くんの苦労を知らずに好き勝手している婚約者さんに操を立てている冬彦くんって、見ていて逆に面白いですねー」
「何を不機嫌になっているんだ?」
「何ででしょうね?」
「訊かれても困る」
「とりあえず冬彦くんは少しだけでも休息を取ってくださいねー。死んじゃったら元も子もないですから!」
「妙にいい笑顔で不吉な発言をするな」連作幕の外イベント事
年末/白い龍に陽の華
20180423(月)20:12白い龍に陽の華
白龍×陽華
「白龍様。こちらの書類にサインをお願い致します」
「ああ」
「白龍さ……いえ。なんでもありません」
「なんだ。言いたいことがあるならハッキリ言え」
「……恐れながら申し上げますが、この仕事量をあと数時間で終わらせる気ですか」
「部下の不始末はトップである俺の不始末だ。片付けるのも当然だろう」
「失態をその命を以て償わせたとして、その命を奪う前にあの者に書類仕事をさせれば良かったのではないでしょうか」
「出来るものがやればいい。そして失態を犯した人間に大事な書類を任せるほど、俺は優しくはない」
「……白龍様はお優しいです」
「何か言ったか?」
「いえ。何も」
「そうか」
痣だらけ、傷だらけ、包帯だらけの私だけれども。
白龍様は私を傷付けても、見捨てることだけはしない。
それは私にとっていつ捨てられるか分からない恐怖でもあり。
それは私にとっての甘美なる感情でもある。
(お慕いしております。白龍様)連作幕の外イベント事
いとしいとしとさけんだこころ
20180423(月)20:03SS3『いとしいとしとわめくはこころ』
「蛇、へび」
「……なんですか」
「ああ、蛇。そこに居たんだね」
「私は貴方の側に縛り付けられていますからね」
「ふふ、そうだね」
老いてもう見えない目で蛇を感じる。
蛇は変わらず、きっと美しい。
優しい神様だから僕の側にずっと居させてしまった。
ごめんね、なんて言わないよ。
僕は僕の願いの為なら、何だってするのだから。
「ねぇ、蛇。僕は死ぬのかい?」
「ええ、半刻もすればきっと」
「なら、『いつかの僕』に託そうか」
「はい?」
「こっちの話」
眠たい眼をぱちくりとさせながら、僕はゆるやかに言葉を発した。
きっといつか、僕達の間に出来た子のどれかが僕の魂を継ぎ、蛇を永遠にモノにするのだろう。
何代経ても構わない。
きっと蛇の心を手に入れる。
ねぇ、蛇。
「あいしていたよ」
ただ、お前を愛していただけだったんだよ。続かない筈だったその後
たとえば、
20180423(月)20:00短編(現代)『たとえばなし』
たとえば、
お前の柔らかな髪だとか。
たとえば、
案外、気の強いところだとか。
たとえば、
涙もろいところとか。
たとえば、
笑った顔が結構可愛いところだとか。
そんなところ全部含めて、好きだった。
そんなこと言われても、もう遅いんだけどなぁ。
大きな腹を優しく撫でながら困ったように笑う彼女がそう言ったかのように聞こえた。
そうだな、と俺も困ったように返す。
こんな例え話はどうしようもねぇよな。
だってお前は、もうこの世界の何処にも存在してねぇんだから。
この世界に存在する筈だったその腹の命すらも、生まれる前に消えてしまったのだから。
「なあ、」
なあ。これが都合の良い夢だと知っているから言うけれども。
「もっとお前を大事にしてたら、お前とそいつと三人で、幸せになれたかな」
「どうだろうねぇ、わからないなぁ」
返事があって驚いた。
けれど、ああ、これは都合の良い夢だからかと、そう気付いたら涙が出そうになった。
泣く資格なんて俺にはないのに。
「好きだよ」
ずっと昔から、好き、だったんだよ。
もう遅すぎて伝えられない言葉だけれども。
彼女は柔らかく微笑んだけれども、何も答えてはくれなかった。続かない筈だったその後
春告げ鳥が哭いた日
20180409(月)12:25たとえばソレが必然だとして。
あたしが何れ死に逝く者だとして。
誰があたしのこの想いを止められると言うのだろうか?
「不毛だわ」
ぽつり、呟いた言葉に込められた意味。
そんなもの、あたしの隣に眠っている男は知らなくたって良いことだから。
あたしは窓の外を見上げる。
夜空に輝く月の輝きにあたしは大恩あるあの方を裏切ることになるのかと苦笑した。連作幕の外
忘れてなんてやらねぇよ
20180311(日)22:04「馬鹿みたいに愛してください」
にこりと笑ったお前は病室のベッドの上で、そう言った。
「今までも愛してやったろ」
俺は引き攣りそうな喉を振り絞って声を発する。
お前は首を振って、ただ笑いながら残酷な言葉を落とす。
「私を忘れて、他の人のこと、馬鹿みたいに愛してあげてください」
その言葉に何も言えなかった。
いっそその蒼白く痩せた頬を抓って、伸ばして、そうして目を見て。
『俺が好きなのも、愛するのも、お前だけだ』
そう言えたなら良かったのに。
こんな時に俺の悪癖であるつまらないプライドが邪魔をする。
「……そうだな。お前なんか、居なくなったら清々するかも知れないな」
「……ふふ、その勢いで忘れちゃってくださいな」
居なくなる者のことなんて、早く忘れて。
そうして幸せになってくださいな。
お前は笑うから。
その笑い方が辛い時の笑い方だったから。
俺は仕方が無いと、つまらないプライドをかなぐり捨ててお前を抱き締めた。
「仕方ねぇから、忘れないでやるよ」
「ふふ。忘れてください」
「ばーか、仕方ねぇから、愛してやるよ」
「なんですか、それ」
小さくなっていく心臓の音に耳を傾けながら、ただ、ただ。
このぬくもりが消えるまでは抱き締めていようと。
細くて骨と皮だけになってしまった身体に回した腕に力を込めた。隠した狂気
20180308(木)19:20ひどい人。
私の想いを知りながら、私のことを好きだと触れるその手で、他の人にも同じように触れるのだもの。
ねぇ?だからこれって仕方が無いことだと思わない?
右手に隠した狂気。
『狂った気持ち』なんてよく言うわ。
愛してる。
その程度ではもうないのだもの。ついったlog
節分 2018
20180203(土)05:45「鬼はー外ー鬼はー外ー」
「いった!痛いよ!?」
「鬼はー外ー」
「無表情で豆投げつけないでくれる!?確かに僕は鬼だけど!吸血鬼!鬼とは似ても似つかね…あ、いたたたた!」
「去れ、鬼」
「短く端的に消えろって言われた!僕寂しい!」
「消えろと言われたかったのか。失敬」
「何が!?ねぇ!?何が!?」
「小煩い。黙れ」
「僕はしがない血液パックで生きてる現代の吸血鬼なのに……ぐすん」
「……はぁ。面倒な」
「きみね!少しは年上を敬う心を……っ!?」
「……ん。黙ったな。良し」
「き、ききききみ!!今何をしたんだい!?」
「何?キスだが?」
「それは、親しいものや愛しいものとする事だろう!」
「黙らせる為にやった」
「もー!たらしめ!」
「そういえばファーストキスだったな」
「えっ」イベント事
灰音
20180201(木)20:12俺が好きになった子は一言で言えば「変」な子。
自分が可笑しいと思えばそう言い、正しいと思ったことは決して曲げない。
生きづらい子だなと見ていて思っていたものだ。
今ではそんな子にぞっこんなわけだが……。
「お前、何で彼女のこと好きなん?」
「何で言われてもなぁ……」
「お前が一人に絞るなんて俺には信じ難いわ」
俺の女癖の悪さを知っていた親友はジッと俺を見る。俺だって信じられなかった。一人の女の子にここまで惚れ込むだなんて。
「俺は好きな子を好きになるタイプやった、ってだけやわ」
「つまりは一目惚れなんやな」
「その通りやけど、なんや照れるなぁ」
「大の男が照れても可愛くもなんともない」
「蛍くん酷ないですか!?」
「いつも通りや」連作幕の外
天魔界事変
20180127(土)04:41『魔王』という立場にある私はその重責に耐えられるかとても不安でした。
お父様はこのような重荷を背負っていたのですね。
通りでお父様と共に過ごした記憶があまり無いわけです。
記憶にあるお父様はお母様が存命だった頃ばかり。
きっとお父様は『私』という存在を守ってくださっていたのでしょう。
私には『魔王』という肩書きは重すぎた。
そんな重責に潰されそうになった時に出逢いました。
「魔王!大好きだよ!」
「煩い蛆虫ですね」
「そんな口が悪い魔王も好きだよ!」
私を持ち得るすべてで肯定してくれる。
不本意ながらこの蛆虫に、私は救われているのです。連作幕の外
