小ネタ

散文

2019/07/17 18:16
散文
白磁のような白い肌。美しく流れる黒髪。閉ざされたままの緑の瞳。
きっともう、彼女は二度と目を覚まさないのだろう。
どうして、こうなってしまったんだろうね?
そう訊きたくて、でも出来なかったのは。
僕の弱さからか。
吐息すら聞こえない彼女の心臓の上に耳を宛てる。
鼓動はない。それでもどうにか聞こうと耳を宛てる。
弱弱しくても良かった。
生きていて欲しかった。
世界はそんなことすら許してはくれないのだ。
ぼろりと零れた涙は、彼女の冷たい身体に流れ落ちた。

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