小ネタ

聖歌と聖火

2020/12/28 18:29
散文
こうなることが運命だと言うのなら、こんな世界僕が壊してしまいたい。

「魔女に聖歌を、魔女に聖火を」

静かに述べられたその言葉は、目の前の魔女に向けられる。
聖なる歌は彼女の身体を蝕み、聖なる火は彼女の身体を燃やしていく。

「ぅ、ぐっ」

小さな悲鳴は小鳥の囀りのようで、この場の誰もが気にも留めない。
これはショーだ。魔女狩りという名の、国民への見せしめ。
浪費家の女王が思いついた、ただの暇つぶしとでも言えるかな?
悲しい悲劇は止まらない。
きっと誰もが思っている。

――女王こそが、魔女であると。

誰もそんな言葉、言えやしないけどね。
かくいう僕も、自分の大事な奥さんを火炙りにされながらなんにも言えない、愚かな人間のひとりなんだからさ。
涙すら出ないなんて、薄情過ぎるかな?

「魔女に聖歌を、魔女に聖火を」

ああ、今日もまた女王の遊戯がはじまった。

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