小ネタ

おやすみ

2020/11/23 19:42
散文
こんな感情は要らなかったんだ。本当だよ?
でもね、きみに与えられた感情ならなんでも良かった。
痛いでも、苦しいでも、哀しいでも、嬉しいでも。
なんでも良かったんだよ。

「でもね、僕。忘れていたんだ」

きみには寿命があって、僕にはそんなもの無くて。
永遠を生きる僕と人間のきみでは違い過ぎたね。

「こんな感情、要らなかった」

きみに与えられたすべてが愛おしかった。
それでもきみに与えられたこの『空虚さ』だけは要らなかった。
ぽっかりと空いたこの穴を、埋められるのはきみだけだっていうのに。
皮肉だね?きみは綺麗な顔をしながら静かな穴の中で眠っている。

「もう一度……」

願っても、きみが還ってくるわけでもなし。
僕の心にある穴だけが、きみが確かにこの世界に居た証になっている。
ならば僕は生き続けよう。
きみが与えてくれたこの穴を抱えて、きみを想って。きみだけを愛して。
そうしていつかまた会える日まで。

「おやすみ、いとしいひと」

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