二次創作女夢主
鶴さに
2019/01/06 23:45刀剣乱舞
元は白かった衣を赤く染めあげた頃には、残敵は気配で感じられる範囲では一人も居なかった。
一息ついて、地面にへたり込む。
随分と長いこと本体たる刀を握り締めていたらしい。指が固まってしまったようだ。剥がすこともせず、その場で大の字になった。
ピキリ、と視界が歪んだのが分かる。
嗚呼、もうすぐだ。もうすぐ俺という刀は終わる。
「俺はきみに驚きをもたらせたかい」
問うて、帰ってくる返事もないと分かっていても。それでも問うたのは、これが最期だと分かっていたからか。
「なぁ、俺はきみを……」
そこまで言いかけて、やめた。虚しくなるだけだ。
きみは泣くことを知らないようなところがあるから少しばかり心配ではあるが、本丸の皆がきっときみを支えて、そうしている内に新しい分霊たる俺がやってくるのだろう。
「……他の俺、か」
ひび割れた視界が世界を埋め尽くす。
微かに見える青空に腕を伸ばして、俺は笑った。
「きみが命尽きるまで、」
――俺はきみの傍に、居たかった。
一息ついて、地面にへたり込む。
随分と長いこと本体たる刀を握り締めていたらしい。指が固まってしまったようだ。剥がすこともせず、その場で大の字になった。
ピキリ、と視界が歪んだのが分かる。
嗚呼、もうすぐだ。もうすぐ俺という刀は終わる。
「俺はきみに驚きをもたらせたかい」
問うて、帰ってくる返事もないと分かっていても。それでも問うたのは、これが最期だと分かっていたからか。
「なぁ、俺はきみを……」
そこまで言いかけて、やめた。虚しくなるだけだ。
きみは泣くことを知らないようなところがあるから少しばかり心配ではあるが、本丸の皆がきっときみを支えて、そうしている内に新しい分霊たる俺がやってくるのだろう。
「……他の俺、か」
ひび割れた視界が世界を埋め尽くす。
微かに見える青空に腕を伸ばして、俺は笑った。
「きみが命尽きるまで、」
――俺はきみの傍に、居たかった。