小ネタ

相容れないふたり

2019/06/15 20:15
ついったlog
破裂する音の元凶が私の腹を割いた。
ゴホッと吐き出した紅い華はどうにも止まらないようだ。

「しぶとく生きるね?」

「まー、生命力はゴキちゃん並なんで」

「ふぅん?吸血鬼って不思議だね」

もう一発、とばかりに銀の弾丸を腹に撃ち込まれた。
私は弾の勢いに押され倒れ伏す。血は止まらないし、息はしにくいし、何より死ねないし、最悪な夜だ。
私は死ねない。死なない吸血鬼。

「不老不死だなんて、羨ましいことこの上ないね」

「……まあ、きみの場合はそうだろうね」

「何?嫌味?」

「変わってくれるなら、嫌味でもなんでも構わないんだけどね」

私は、はあ、と息を吐く。
ようやく潰れた心臓と肺が復活したようだ。
死ねないからといって痛みがないわけではないのに。
それは彼も知っているだろうに。

「余命いくばくもない君には、私のすべてが嫌味かな?」

「ホント、ムカつく」

そう言った君、エクソシストは私に再度銃弾を撃ち込んだ。

コメント

[ ログインして送信 ]

名前
コメント内容
削除用パスワード ※空欄可