小ネタ

問うて返る言葉無し

2019/04/22 04:32
散文
「お前の傍に居られればそれで良かった」

なのに、人という生き物は強欲だな。

「俺は、お前の幸せを祝えそうにもない」

頬を伝う生温い液体の意味を考えようとして、やめた。
俺にとっての最優先事項。最大限に愛した女は、今日。他の男のものとなった。

「好きだと、そう伝えていればまだ何か違ったのか?」

問うて、返ってくる答えはない。
晴れやかな空の下。
ただただ静かに涙を流す俺を、きっとお前は一生知らないのだろう。
それで良い。それが良い。
俺にとっての幸せは、どう足掻いてもお前の幸せなのだから。

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