小ネタ

消えて欲しい人

2019/03/19 20:50
散文
愛だとか恋だとか。
そんな陳腐なセリフを吐いていた同級生が、死んだ。
飛び降り自殺だった。
涙を流すクラスメイト達に、私は何も思えなかった。
こんなに私は非情だったのかと、そう思ったけれども。
実は違う。
何故ならその飛び降り自殺をした同級生は、私の傍に居るのだから。

「いや、なんで?」

「きみのおはようからおはようまでを見つめていたくなっちゃったから?」

「不謹慎な死に方!」

「僕にとっては大真面目な死に方だったんだけどなぁ」

あはは、と笑う同級生の顔は晴れやかで。
つい一昨日死んだ人間とは思えない。

――死んだ人間が幽霊になってまでストーキングしてくるんですが、これはお祓い案件ですか?

「あ、お祓いになんて行ったらそのお祓いした人を呪い殺すよ?」

「あ、退路塞がれた」

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