小ネタ
煤くれた空
2018/10/27 21:39散文
十字に組んだ木に身体を縛られる。
アタシは今日、死ぬ。
魔女裁判にかけられてしまったから仕方がないのだけれども。
何せ本物の魔女であるアタシが死ぬのだ。
普通の人間だったら耐えられないだろう。
「何か、言うことはないのか」
何かを言って欲しそうな男に、アタシは微笑んだ。
男は異端審問官で、神にその身を捧げた人間で。
今更懺悔して助かるとは思っていないし、ここでアタシと男の関係がバレれば彼にも迷惑がかかる。
群衆の中で、アタシはただ男を見て、「いいえ」と笑った。
嗚呼、火が灯された。
痛いし、苦しいけれども。
(そんな顔された方が、ずっと痛いわ)
私を異端審問にかけた張本人のくせに。
狡い男ね、とアタシは笑って空を見上げた。
煤くれたような色の空だった。
空でさえアタシを歓迎していないなら、アタシが死んだあとは何処に行くのかしらね?
なんて、呑気なことを考えて。
男のつらそうな顔から目を逸らした。
アタシは今日、死ぬ。
魔女裁判にかけられてしまったから仕方がないのだけれども。
何せ本物の魔女であるアタシが死ぬのだ。
普通の人間だったら耐えられないだろう。
「何か、言うことはないのか」
何かを言って欲しそうな男に、アタシは微笑んだ。
男は異端審問官で、神にその身を捧げた人間で。
今更懺悔して助かるとは思っていないし、ここでアタシと男の関係がバレれば彼にも迷惑がかかる。
群衆の中で、アタシはただ男を見て、「いいえ」と笑った。
嗚呼、火が灯された。
痛いし、苦しいけれども。
(そんな顔された方が、ずっと痛いわ)
私を異端審問にかけた張本人のくせに。
狡い男ね、とアタシは笑って空を見上げた。
煤くれたような色の空だった。
空でさえアタシを歓迎していないなら、アタシが死んだあとは何処に行くのかしらね?
なんて、呑気なことを考えて。
男のつらそうな顔から目を逸らした。