小ネタ
凉やかな冬【烏】
2018/10/11 20:23連作幕の外続かない筈だったその後
「お前様」
「なんだ、凉乃」
ちょいちょいと手招きをされて、私は首を傾げながら寝台の縁に座っている妻に近付く。
「赤が出来たよ」
「赤?」
「嗚呼、そうさね」
耳慣れない言葉に再び首を傾げれば、凉乃はにんまりと笑って言う。
「子が出来たのさね」
「……誰の、」
馬鹿な質問をしたとも思っているし、私以外にそんな相手が居て欲しくないとも思うのだが、脳内があまりの出来事に処理出来ていない。
「お前様の子だよ、ヴェル」
「……そ、うか」
そうか。私の子か。そうか……。
「何泣いてんだい。可笑しな男だねぇ」
「私にも分からないが、こんなにも嬉しいことなのだな」
「お前様なら喜んで貰えると思っていたよ」
ふっと笑った凉乃を、私は思わず抱き締めていた。
「ありがとう、凉乃」
このいとしい命を。
大事にしていくと、決めたのだ。
「なんだ、凉乃」
ちょいちょいと手招きをされて、私は首を傾げながら寝台の縁に座っている妻に近付く。
「赤が出来たよ」
「赤?」
「嗚呼、そうさね」
耳慣れない言葉に再び首を傾げれば、凉乃はにんまりと笑って言う。
「子が出来たのさね」
「……誰の、」
馬鹿な質問をしたとも思っているし、私以外にそんな相手が居て欲しくないとも思うのだが、脳内があまりの出来事に処理出来ていない。
「お前様の子だよ、ヴェル」
「……そ、うか」
そうか。私の子か。そうか……。
「何泣いてんだい。可笑しな男だねぇ」
「私にも分からないが、こんなにも嬉しいことなのだな」
「お前様なら喜んで貰えると思っていたよ」
ふっと笑った凉乃を、私は思わず抱き締めていた。
「ありがとう、凉乃」
このいとしい命を。
大事にしていくと、決めたのだ。