小ネタ

いとしいとしとさけんだこころ

2018/04/23 20:03
続かない筈だったその後
SS3『いとしいとしとわめくはこころ』



「蛇、へび」

「……なんですか」

「ああ、蛇。そこに居たんだね」

「私は貴方の側に縛り付けられていますからね」

「ふふ、そうだね」

老いてもう見えない目で蛇を感じる。
蛇は変わらず、きっと美しい。
優しい神様だから僕の側にずっと居させてしまった。
ごめんね、なんて言わないよ。
僕は僕の願いの為なら、何だってするのだから。

「ねぇ、蛇。僕は死ぬのかい?」

「ええ、半刻もすればきっと」

「なら、『いつかの僕』に託そうか」

「はい?」

「こっちの話」

眠たい眼をぱちくりとさせながら、僕はゆるやかに言葉を発した。
きっといつか、僕達の間に出来た子のどれかが僕の魂を継ぎ、蛇を永遠にモノにするのだろう。
何代経ても構わない。
きっと蛇の心を手に入れる。


ねぇ、蛇。


「あいしていたよ」


ただ、お前を愛していただけだったんだよ。

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