小ネタ

雷鳴から太陽へ/灰青の音色

2023/01/10 22:38
散文連作幕の外
雨音に紛れる雷鳴。
その音が私を苛むのは、いつからか。
あの日のまま私は何も変わらない。
あの日にすべての音を置いて来てしまったから。
だから私は前に進めないで居る。
そんな言い訳をしながら、生きていくのだと思っていた。
 
ある日、眩いばかりの光が私の目を焼いた。
そうすると視界はいつからか見え方が変わってきたのだ。

不思議な気持ちになった。
それはある意味、生まれ変わったとような気分だったから。

「あなたが私を変えてしまったのね」

眩い光に声を掛けた。
雷雲の中に居た私を明るい日差しが届く場所に連れて来た人。
その人はきょとりとした顔をしながらこちらを見て首を傾げる。

「どういうこと?」

本当に不思議そうな顔をするものだから。
それがとてもおかしくて私は少しだけ笑ってしまった。

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