小ネタ
天高く指輪を放る
2021/07/31 12:13散文
憎いのはきっと、他の女のところに行くあなたではなくて。
その女が憎いわけでもなくて。
きっと私は、私が一番憎いのだろう。
「捨てられたら良かったのに」
あなたに貰った安物の指輪。
それが嵌められた左手を見ても、私は何も心動かない。
動かないように蓋をした。
「大嫌いになれたら、良かったのに」
それでも私は、あなたを嫌いにはなれなかった。
あなたを好きなまま、あなたを好きだと思う心を殺していく。
それはなんとも滑稽で、なんて馬鹿なことなのだろう。
でも、仕方ないよね。
先に惚れた方が負ける。
そんな言葉を思い浮かべながら、左手に嵌められた指輪を天高く放り投げた。
「さよなら」
今もどこかで誰かの上で腰を振っている、大好きで憎くて、愛おしいひと。
あなたを本当に嫌いになる前に、さようなら。
その女が憎いわけでもなくて。
きっと私は、私が一番憎いのだろう。
「捨てられたら良かったのに」
あなたに貰った安物の指輪。
それが嵌められた左手を見ても、私は何も心動かない。
動かないように蓋をした。
「大嫌いになれたら、良かったのに」
それでも私は、あなたを嫌いにはなれなかった。
あなたを好きなまま、あなたを好きだと思う心を殺していく。
それはなんとも滑稽で、なんて馬鹿なことなのだろう。
でも、仕方ないよね。
先に惚れた方が負ける。
そんな言葉を思い浮かべながら、左手に嵌められた指輪を天高く放り投げた。
「さよなら」
今もどこかで誰かの上で腰を振っている、大好きで憎くて、愛おしいひと。
あなたを本当に嫌いになる前に、さようなら。