小ネタ
暗闇に咲く花
2020/08/15 18:42散文
きっと世界で一番幸せなんだと思うんだ。
この時がずっと続けばいいと思うんだ。
きみが笑っていて、僕が隣に居て。
幸せだと思ったんだ。
――まやかしの幸せだと分かっていてもね?
「僕はずっと願っていたんだ。きみを手に入れるその日を。きみが目覚めるその日を」
けれども、その願いは叶わない。
彼女は眠ることを願った。僕は彼女を救えなかった。
愛した彼女だけは守りたかったのに。
せめて、彼女だけは守りたかったのに。
どうして、そんなほんの少しの願いすら神様は叶えてくれないのだろうか。
僕を好きになってくれた女の子達がいた。
僕は平等に彼女達を愛した。
そこに感情は籠らなくても。
そこに何も生まれなくても。
それで良いと思ったんだ。
でも、彼女は。彼女だけは違った。
僕はそんな彼女に惹かれた。きっとここが大きな間違いなのだろう。
「僕が、きみを愛さなければ良かったのかな?」
掠れた声が出た。情けない声だ。あまりに情けなさ過ぎて、涙すら出てこなかった。
「ねえ、起きて。こっちを見て」
僕がきみを愛した気持ちはもう消えることはない。
だって愛してしまったのだから。
それを変えることは決して出来ないのだ。
「きみが目覚める日を、ずっと待って居るよ」
その日まで、きみだけを愛し続けるから。
きみの居る暗闇が、少しでも早く明けることを願って、彼女の手を強く、強く、握った。
この時がずっと続けばいいと思うんだ。
きみが笑っていて、僕が隣に居て。
幸せだと思ったんだ。
――まやかしの幸せだと分かっていてもね?
「僕はずっと願っていたんだ。きみを手に入れるその日を。きみが目覚めるその日を」
けれども、その願いは叶わない。
彼女は眠ることを願った。僕は彼女を救えなかった。
愛した彼女だけは守りたかったのに。
せめて、彼女だけは守りたかったのに。
どうして、そんなほんの少しの願いすら神様は叶えてくれないのだろうか。
僕を好きになってくれた女の子達がいた。
僕は平等に彼女達を愛した。
そこに感情は籠らなくても。
そこに何も生まれなくても。
それで良いと思ったんだ。
でも、彼女は。彼女だけは違った。
僕はそんな彼女に惹かれた。きっとここが大きな間違いなのだろう。
「僕が、きみを愛さなければ良かったのかな?」
掠れた声が出た。情けない声だ。あまりに情けなさ過ぎて、涙すら出てこなかった。
「ねえ、起きて。こっちを見て」
僕がきみを愛した気持ちはもう消えることはない。
だって愛してしまったのだから。
それを変えることは決して出来ないのだ。
「きみが目覚める日を、ずっと待って居るよ」
その日まで、きみだけを愛し続けるから。
きみの居る暗闇が、少しでも早く明けることを願って、彼女の手を強く、強く、握った。