SS 81~100

「今日わたしが死んだらどうする?」


そう恋人に告げたなら、怪訝な顔をしながら頭をチョップされた。


「馬鹿なこと言ってねぇでさっさとレポート片付けろ馬鹿」

「二度も馬鹿って言ったぁ」

「馬鹿なこと言ってるヤツに馬鹿って言って何が悪い」

「ただの質問なのにー」

「あのなぁ、あと5分で今日は終わるの。そんな時に今日死んだら、なんて言われても何とも思わねぇし、そもそも死ぬ前にレポート片付けろ馬鹿」

「冷たい!」

「冷たくて結構」


大体、


「俺は“もしも”でもんなこと受け入れたくねぇよ」

「? どうして?」

「どうしてって、んなもん決まってんだろ」

「だから、どうして?」

「んなもん決まってんだろ。言わせんなバァカ!」

「もー。言ってくれてもいいじゃない。……折角録音準備してたのに」

「おい」

「デレが少ないのが悪いんだよーだ」


べー、っと舌を出してそう言えば「うぜぇ」と、また頭をチョップされた。
地味に痛いのに。
頭を擦りながら恋人を見れば、恋人は大層不機嫌な顔をしながら参考書を開いてしまった。
こうなればこんなじゃれあいも一先ずお仕舞いかと内心でつまらなく思いながら、わたしも自分のレポートに向かう。
しばらくの間お互い勉強をしていると、恋人がふいに口を開いた。


「……お前に死なれたら俺の将来設計が崩れんだから、軽々しく死ぬだなんて言うんじゃねぇよ」

「え?何々?もっかい言って?」

「……っ、知るか!」

「えー、本当に聞こえなかったのに酷い」

「うるせぇ!もう勝手に死んどけ!」

「だから酷いってばー」


真っ赤になって怒る恋人に、ふふ、と笑う。
本当は、全部聞こえていたけれど。
たまには恋人の口から聞きたいと思ったから、少し意地悪をしてしまった。
本気で怒らせたい訳ではないので、この辺でからかうのを止めて、わたしは誰にともなく言った。


「大学卒業したら、また聞きたいなぁ」

「……ッ、おま、聞こえてたんじゃねぇかよ!」


怒る恋人に対してわたしは、あはは、なんて誤魔化す気もなく笑った。
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