SS 21~40

純粋なものほど狂気に陥りやすいんだと思う。
ほら?真っ白の中に黒を一滴垂らしたら、もう白には戻らなくて、染まるしかないじゃない?
それと同じなんだと、私は思うんだ。
だから、


「貴方が私以外を見られないのも、私以外が大切じゃないのも、私以外を愛せないのも」


ぜんぶぜんぶ、


「可笑しな事なんかじゃないわ」


むしろ、真っ当な事よ?


「だから苦しまなくていいの。例え私以外の誰かが貴方は可笑しいと言っても、私はどんな貴方でも愛しているもの」

「……ほんとうに?おかしくない?きらわない?」

「嫌わないわ。嫌いになんてなれっこない」


だから、


「好きなだけ私を愛して。気の済むまで束縛していいのよ?だって貴方にはその資格があるもの」


貴方は私の恋人だもの。
いくらだって私を好きにしていいの。
その代わり、


「私も私の望むままに貴方を愛するから」

「うん、うん!だいすきだよ、あいしてる。だから、おれいがいを、きみのしかいにいれないでね?」

「貴方がそれを望むのなら、私は死ぬまで貴方以外の人を視界に入れないわ」


心底嬉しそうに笑って、愛しそうに私を見つめる眼差しは優しい。


(可哀想な貴方。私になんか愛されて)


真っ白な中に黒を一滴。
それだけで、後は染まる一方。
私が彼にしたのも、たった一滴の黒(嫉妬)を彼の中に落としただけ。
それだけで、貴方は簡単に壊れてしまった。
私の望み通りに、私以外を愛せなくなった。
今はまだ、その状態を不信に思っているようだけれど、きっとその内。彼は疑問にすら思わなくなる。


『例え世間が可笑しいと言ったって、私は絶対に可笑しいだなんて思わない。むしろ、貴方に愛されていると思えば嬉しくて堪らない』


そんな言葉を貴方に延々と言い続けたから。
貴方は疑うこともなく、私の言葉を喜んだ。

嘘なんてひとつもない。
けれど、正しくはない、その言葉を。


(ごめんね)


貴方を愛してしまって。
こんな歪んだ方法でしか貴方を愛せなくて。
何よりも大切な筈の貴方を狂わせてしまって。


でも、もう遅いよ?
黒が入った白は、何があっても元の色には戻らないから。



まともに愛せなくてごめんなさい。
でも、愛してる。
この気持ちだけは何があっても変わらないから。
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