SS 21~40

※【お茶会まであと何分?】の続きみたいな話。




灰色に染まった町並みはいつ見ても雨ばかり。
そこらで蹲っている奴らはみんな後悔を胸に抱えてる。
そんな灰色の町並みの一角に俺の仕事先はある。


「こんちわー」

「あ。おはよう今日もヨロシクネ☆」

「相変わらず星飛んでますねー。で?今日の俺の仕事はなんすか?」

「コレの糸を今ブチリってしてるから、切れたらこの糸を結んできてクダサイ☆」

「うっす」


仕事先の上司、てかこの店の女店主が手に持った赤い糸を2本見せる。
いや、正確には3本か。千切れかけてるし。
それがなんの糸かなんて言わずもがなで。
こんな店で働いといてなんだけど、良くやるなと思う。


「ア、先に言っておくケド」

「別に結べなかったら結ばなくていいんですよね?流石に覚えましたよ」

「ナラいいです☆物覚えのイイ従業員が居てくれてシアワセものダネ私は」

「そうっすよー。敬ってくれてもいいんすよ?」

「お礼なら言ってあげるヨ☆」

「呪われそうなんでいいっすわー」

「そうですか?デハお願いしマス☆」

「んじゃ、行ってきまーす」


まだ繋がっていない赤い糸と千切れかけの糸を持って、屋根と屋根を伝いながらこの糸の持ち主の下まで走る。
俺の仕事はあくまでも出不精店主のサポートだ。
だからこの糸がどんな意図で切られたかなんて聞かないし、一応プライバシーはあるだろう。
まあ、こんなふうに運命さえも捻じ曲げて誰かを自分のものにしたい奴らの気持ちなんて、微塵も理解なんて出来やしないが。


「大体、運命じゃない糸にどれだけ結んでもよっぽど相性良くない限りすぐダメになんのにな」


最初にその旨を伝えても、取り止めた人間を見たことがない。
それでも運命を繋ぎたいのだと言う奴らばかりだ。


(そこまでして繋ぎたい運命の相手、ね)



「俺には分からねえや」



灰色に色づく町並みはいつだって雨が降っている。
道端に蹲る奴らは後悔を抱えてピクリとも動かない。
人はこの町を『後悔の町』と呼ぶ。
生きてる奴も、死んでる奴も。
みんな後悔を抱えてここに迷い込んでくるから。

その後悔の町の外れにある一件の店。
灰色ばかりのこの町で、唯一のチョコレート色を見付けたら。その店に入ってみるといい。
どんな願いでも叶うというよ?


勿論、相応の対価を払えればの話だが。


ここは『後悔の町』
後悔を持った者だけが迷い込める町。




好きな人が自分の運命の相手じゃなくて手に入らない=後悔。
というのを入れ込み忘れた。
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