SS 01~20

『ずっと守ってやるからさ。側に居てくんねぇ?』

照れてそっぽを向きながら言われた言葉。
その言葉が嬉しくて嬉しくて、ぼろぼろと涙を零しながら頷いた。
暖かくて優しい大きな手のひらで頭を撫でられながら、ホッとしたように息を吐いた貴方。


守ってくれるって。
そう言ったくせに。


目が覚めて最初に入ってくるのはチカチカと光る朝日。
それを見て、「今日も晴れか」と誰にともなく小さく零す。
綺麗に清んだ青空はあまりにも晴れやかで、私の心に暗く影を落とした。

数年前。まだこの国が乱れて居た時。
私が失ったのは余りにも大きな存在だった。
戦乱が終わった瞬間に無くした気力。
生きる事に疲れ、あんなにも必死に命懸けで守ったモノの意味はその瞬間に無くなった。


貴方が居ない。
たったそれだけで私は廃人のようになってしまった。
そんな私を笑う者は居なかったけれど。

私が奪った命を愛した人が。
私を殺そうとした人達が。
今の状態の私を見たら何も言わずに帰っていく。
哀れむように蔑むように。
それを静かに見やりながら、それでも何の感情も湧くことはない。

懺悔も、後悔も、悲哀も。

何ひとつとしてない。
私の中に残ったのは、貴方に対しての変わらぬ想いだけ。


ずっとずっと貴方の為だけに生きてきたのに。
私の存在意義は貴方だけだったのに。
貴方は何も言わずに逝ってしまった。

「……そっか」

ああそうだ。
私の存在意義は貴方。
貴方が居ないこの世界は間違っている。
つまりこの世界に私は必要ないと言うことじゃない。

不意に気付いた事実に自然と口角が上がる。

貴方の為に守ったこの世界に貴方が居ないのなら。
私がこの世界に存在する意味は無い。
なら早く。早く。


――貴方に会いに行かなければ。
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