※会話文




「君が好きだよ？僕と付き合わない」

「とりあえずストーカー行為を行う方は恋愛対象ではありません。お引き取りください。永遠に」

「どうして？ストーカーくらい良いじゃない」

「くらい、と仰れるのは当事者以外ですよ？まあ、貴方も当事者と言えば当事者ですが、加害者の方ですよね」

「ちょっと君を好きすぎた結果暴走しただけなんだよ？」

「はあ。だから何ですか？」

「こんなに好きにさせた君にも原因があると思わない？」

「いえ。全くこれっぽっちも思いませんが」

「そんな靡かない君も最高に好きだけど、いい加減頷いてくれても良いと思うなぁ」

「逆に聞きますけど、貴方ストーカー行為を行う相手を好きになれますか？」

「うーん。君が僕のことを寝ても覚めてもおはようからおやすみ所か夢の中ですら想っていてくれているなんて最高に素敵なことだと思うなぁ」

「凄いですね。今私の中で貴方に対する警戒レベルがどんどん上がっていっています。正直ドン引きです。改めて貴方って手遅れ方なんですね」

「そんな……照れるな」

「照れる要素が何処かにありましたか？というかですね。貴方は一度頭を冷やされた方が宜しいのではありませんか？」

「え？どういう意味？」

「私みたいな凡庸な人間の何処にそこまで惚れる要素があったのか分かりませんが、貴方、顔だけは特上なんですから引く手あまたでしょう。いい加減馬鹿なことを言っていないで他に目を向けてください切実に」

「馬鹿なことじゃないし、何で本気にしてくれないの？」

「言動を思い返してくだされば自ずと答えは出てくるかと思いますが」

「君が好きで好きで堪らない僕の言動の何処が可笑しいの？普通のことでしょ？」

「貴方は一度『普通』の意味を辞書で引いた方が良いですよ」

「僕的にはどうして君がそんなに嫌がってるのか分からないな」

「それが分からない限りは、私は貴方に靡かないと思いますよ」

「分かったら分かったで君は僕に見向きもしないのに？」

「何だ。分かってるじゃありませんか」

「伊達に君のことを24時間見守ってないからね」

「ならどうしてストーカーを止めるという選択肢を視野に入れてくれないのか」

「あはは。そんなの決まってるでしょ？」



「君の中で埋もれる存在にはなりたくないからだよ」



「……正攻法で来てくださいよ」

「正攻法だったら君は僕を好きになってくれたの？」

「普通に有り得ませんね。私は私と同じく平凡な方が好きですから」

「なら僕の言動は正解だ。少なくとも君の中で僕ほど鮮烈な存在は居ないだろう？」

「だからと言ってストーカーは困ります」

「じゃあ早く僕のこと好きになってよ。そうしたら考えてあげる」

「……それ、実質止めないって言ってるようなものですよね？」

「どうかな？君が僕のことを好きになったら教えてあげる」

「絶対に嫌です」

「じゃあ僕も、君をストーキングするのを止めてあげない」