SS 81~100
彼女とのデートの日。
珍しくもたまたま俺が早く来て、たまたま暇を持て余していて。
それは15分前には必ず待ち合わせ場所にやって来る彼女が、その日は珍しく彼女が時間通りに現れなくて。
いつもは待たせる側の俺にしてみれば暇の一言に尽きた。
だから、たまたま。
そう。たまたま声を掛けてきた女が居て。
何を目的としているのか明らかに分かる誘い方に萎えたし、そもそも彼女との約束があるのに他の女と居る意味も分からなかった。
だけど、たまたま女が俺の好みの女で。
誘い方には萎えたけれど、まあ、一回こっきりの相手だしと一瞬でも思ってしまったのが運の尽き。
女の腰なんかを抱いたりして、誰を待っていたのかすら忘れて。
俺は自宅に女を連れ込んで、まあ、イタシテしまったと云うわけなんだが。
このどうしようもないくらい自業自得な自分の行動に、1つ言ってもいいのなら。
俺は全力で叫びたい。
4時間前に戻りてぇ!!
と。
「はは、懺悔はそれで終わりかな?クズ男」
「ごめんなさい許して下さい悪気はなかったんです」
「悪気があったら尚悪いわ」
「……返す言葉もありません…」
ううっと泣きそうになるのを堪えながら、目の前で仁王立ちになる彼女を見やる。
泣きそうとか男のクセにって思った人!
修羅か鬼神でも背負ってるんじゃないかってくらい怒りオーラを露にしている彼女を目の前にしたら、怖すぎて誰だって泣きたくなると思います!
まあ全部俺が悪いんだけどね!?
「……はあ、まあ、いいわ」
はあ、と溜め息を吐いた彼女は、先程まで背負っていた修羅と鬼神を消し去ってしょうがないとでも言うかのように俺を見下ろした。
え?も、もしかして許してくれる流れ?
「アンタが浮気するなんて今に始まった事じゃないし、アンタの浮気はもういっそ感服するくらい病気染みてるし、たった。たった4時間?極寒の中待たされたくらいで怒るのも私の器が小さいからかも知れないしね?まあ、アンタが後5分待ち合わせ場所に居てくれたなら、今日の4時間はアンタとのデートに費やされてたんだろうけど?今更?そんなこと言ったってしょうがないよね?だって電車が遅れていつもより遅くなっちゃった訳だし?ダッシュで待ち合わせ場所に行ったらアンタが居なくてもしょうがないよね?だってアンタはそういう男だし。私はそういうアンタでも付き合ってる訳だし?ここで許さないとだよねぇ?例え私が極寒の中で4時間死ぬ思いをしている間にアンタが4時間楽しんだたとしても」
許してくれる訳がないですよね全然余裕で分かってました。本当にごめんなさい。
ふふふ、と虚ろな眼差しをしながらノンストップで言い切った彼女にただただ謝ることしか出来ない。
彼女が俺より早く来るのは彼女が少しでも俺より遅れてくるとすぐに浮気をしてしまう俺のせいだし。
彼女が今日、極寒の中4時間も待っていたのも俺のせい。
今日は最低気温を更新して雪が降るってアナウンサーさんが言ってたのに、改めて彼女の寛大な心に敬服する。
俺の彼女が男前過ぎていっそ抱かれたい。
好きすぎてやばいくらいなのにこれ以上俺を惚れさせてどうするつもりなの。
「聞いてるのかな?」
「ッハイ!聞いてます!」
現実逃避しかけた思考を引き戻して、俺は居住まいを正すと改めて彼女に向き直った。
(あああああやっべぇぇめっちゃ怒ってるよ!むしろ怒らない訳ないよね!)
でもこんな時にアレだけど、浮気してキレてくれるってことはまだ俺のことが好きだって証だろうからめっちゃ嬉しい!クセになるやべぇ。
あ、だから浮気してるんだっけか。
どうしようもねぇな俺。
こんな俺に付き合ってくれてる彼女マジ天使!結婚してくれ!
「んなふざけた理由だろうとは思ってたけど、誰がアンタとなんか結婚するか。アンタの葬式にならノリノリで出てやるけどさぁ」
「ノリノリなんて単語が棗ちゃんから出るとは!なにそれ超見たい!ノリノリな棗ちゃん超見たい!」
「…………ハア。アンタと話してるとすっごい疲れる…」
「それは、ありがとう?」
「ミジンコ程も褒めてない」
とうとう頭を抱えてしまった彼女は、はあ、と再度ため息を吐くと俺をじろりと睨み上げる。
「次こんなことがあるようなら即刻別れるからそのつもりで」
「はい!肝に銘じます!」
次って事は今回は許してくれるってことでいいんだよね?
棗ちゃん優しい!大好き!
キリッと敬礼何かしながらそう宣言すると棗ちゃんは呆れたように額に手を当てて呟いていた。
「……なんで別れらんないのかなぁ」
「それは棗ちゃんが俺を好きだからだよ!」
「うっさい!アンタは少しは反省しなさい!」
「ごめんなさいっ!」
珍しくもたまたま俺が早く来て、たまたま暇を持て余していて。
それは15分前には必ず待ち合わせ場所にやって来る彼女が、その日は珍しく彼女が時間通りに現れなくて。
いつもは待たせる側の俺にしてみれば暇の一言に尽きた。
だから、たまたま。
そう。たまたま声を掛けてきた女が居て。
何を目的としているのか明らかに分かる誘い方に萎えたし、そもそも彼女との約束があるのに他の女と居る意味も分からなかった。
だけど、たまたま女が俺の好みの女で。
誘い方には萎えたけれど、まあ、一回こっきりの相手だしと一瞬でも思ってしまったのが運の尽き。
女の腰なんかを抱いたりして、誰を待っていたのかすら忘れて。
俺は自宅に女を連れ込んで、まあ、イタシテしまったと云うわけなんだが。
このどうしようもないくらい自業自得な自分の行動に、1つ言ってもいいのなら。
俺は全力で叫びたい。
4時間前に戻りてぇ!!
と。
「はは、懺悔はそれで終わりかな?クズ男」
「ごめんなさい許して下さい悪気はなかったんです」
「悪気があったら尚悪いわ」
「……返す言葉もありません…」
ううっと泣きそうになるのを堪えながら、目の前で仁王立ちになる彼女を見やる。
泣きそうとか男のクセにって思った人!
修羅か鬼神でも背負ってるんじゃないかってくらい怒りオーラを露にしている彼女を目の前にしたら、怖すぎて誰だって泣きたくなると思います!
まあ全部俺が悪いんだけどね!?
「……はあ、まあ、いいわ」
はあ、と溜め息を吐いた彼女は、先程まで背負っていた修羅と鬼神を消し去ってしょうがないとでも言うかのように俺を見下ろした。
え?も、もしかして許してくれる流れ?
「アンタが浮気するなんて今に始まった事じゃないし、アンタの浮気はもういっそ感服するくらい病気染みてるし、たった。たった4時間?極寒の中待たされたくらいで怒るのも私の器が小さいからかも知れないしね?まあ、アンタが後5分待ち合わせ場所に居てくれたなら、今日の4時間はアンタとのデートに費やされてたんだろうけど?今更?そんなこと言ったってしょうがないよね?だって電車が遅れていつもより遅くなっちゃった訳だし?ダッシュで待ち合わせ場所に行ったらアンタが居なくてもしょうがないよね?だってアンタはそういう男だし。私はそういうアンタでも付き合ってる訳だし?ここで許さないとだよねぇ?例え私が極寒の中で4時間死ぬ思いをしている間にアンタが4時間楽しんだたとしても」
許してくれる訳がないですよね全然余裕で分かってました。本当にごめんなさい。
ふふふ、と虚ろな眼差しをしながらノンストップで言い切った彼女にただただ謝ることしか出来ない。
彼女が俺より早く来るのは彼女が少しでも俺より遅れてくるとすぐに浮気をしてしまう俺のせいだし。
彼女が今日、極寒の中4時間も待っていたのも俺のせい。
今日は最低気温を更新して雪が降るってアナウンサーさんが言ってたのに、改めて彼女の寛大な心に敬服する。
俺の彼女が男前過ぎていっそ抱かれたい。
好きすぎてやばいくらいなのにこれ以上俺を惚れさせてどうするつもりなの。
「聞いてるのかな?」
「ッハイ!聞いてます!」
現実逃避しかけた思考を引き戻して、俺は居住まいを正すと改めて彼女に向き直った。
(あああああやっべぇぇめっちゃ怒ってるよ!むしろ怒らない訳ないよね!)
でもこんな時にアレだけど、浮気してキレてくれるってことはまだ俺のことが好きだって証だろうからめっちゃ嬉しい!クセになるやべぇ。
あ、だから浮気してるんだっけか。
どうしようもねぇな俺。
こんな俺に付き合ってくれてる彼女マジ天使!結婚してくれ!
「んなふざけた理由だろうとは思ってたけど、誰がアンタとなんか結婚するか。アンタの葬式にならノリノリで出てやるけどさぁ」
「ノリノリなんて単語が棗ちゃんから出るとは!なにそれ超見たい!ノリノリな棗ちゃん超見たい!」
「…………ハア。アンタと話してるとすっごい疲れる…」
「それは、ありがとう?」
「ミジンコ程も褒めてない」
とうとう頭を抱えてしまった彼女は、はあ、と再度ため息を吐くと俺をじろりと睨み上げる。
「次こんなことがあるようなら即刻別れるからそのつもりで」
「はい!肝に銘じます!」
次って事は今回は許してくれるってことでいいんだよね?
棗ちゃん優しい!大好き!
キリッと敬礼何かしながらそう宣言すると棗ちゃんは呆れたように額に手を当てて呟いていた。
「……なんで別れらんないのかなぁ」
「それは棗ちゃんが俺を好きだからだよ!」
「うっさい!アンタは少しは反省しなさい!」
「ごめんなさいっ!」