SS 41~60
カタカタと震える君の身体。
気にせずに、俺は君の手首を力の限り掴んだ。
掴んでいる箇所が白くなっていて、そんなことに愉悦を感じた。
「ね?今なんて言った?」
「……っい!?」
「ねえ?もう一回言ってよ」
「……っ、だ、だから!い、妹と別れて下さいと言ったんです!」
眼球に涙の膜を張った彼女は、それでも気丈に俺に向かってそう言った。
そんな彼女にクスリと笑う。もちろん手首は掴んだままだ。
「どうして?」
「ど、うしてって…!貴方がそれを言うのですか!」
「理由を言ってよ?じゃないと分からない」
「貴方って人は……っ」
怒りからか顔を赤くする彼女。
その頬を空いた片手で撫で上げると、彼女はビクリと肩を跳ねさせた。
「ね?あの子と別れなきゃいけない理由は、なに?」
そう言えば、グッと唇を噛んだ彼女は意を決するように口を開いた。
「あ、なたが!」
「俺が?」
「貴方が、あの子を好きではないから…っ。あの子を幸せにするつもりがないのなら、別れて下さいっ」
「確かに俺はあの子を好きじゃないけど、君に指図される覚えはないよね?」
「私はあの子の姉です!」
「でも、当事者じゃないでしょう?それともあの子が俺と別れたいとでも言った?」
「……そ、れは…」
彼女の反応を見て、にんまりとする。
言うわけないよね?
だって俺は、あの子に対して嫌われるような態度を一ミリだって取っていないもの。
「……どうしたら妹と別れてくれますか」
「そんなに別れさせたい?」
「あの子が幸せになれない相手と一緒に居させることは出来ないです」
「……お姉さんってほーんとあの子が大好きだよねぇ?」
ほんと、殺したいくらいだよ。
そう言えば彼女はバッと顔を上げた。
「何?もしかして君が殺されるとか思った?あはは。そんなわけないのに」
だって俺はさ、
「君がだぁいすきなの。本当に君だけが大好き。愛してる。君に愛されないなら死んだ方がマシだって思うくらい、君が好き」
「っな、んで?」
「なんで?ああ、君が好きなのになんで君の妹と付き合うのか?」
俺の言いたいことが当たっていたのか黙り込む彼女。
俺は思い出したかのように握ったままの手首を強く握り締めた。
このままへし折ったらどうなるのかな?
そんなことを思いながら。
「俺はずぅっと君に近付きたかった。でも話し掛ける勇気なんて無かったんだよね?君にだけは嫌われたくなかったからさ?接点もないのにいきなり関係なんて持てないでしょ?」
だから君の妹を利用させて貰ったんだ。
「……っ!?」
「驚いた?でも本当だよ。あの子って君と違って下品で派手で煩くて我が儘で、ほんっと君とは正反対!似てるのは素顔くらい?」
だから抱く時はいつも化粧落とさせてたんだよね?
素顔な君を俺だけに見せて?って言ったら素直に化粧落としてさ。
「いっつも君を思い浮かべてた」
「い、や」
ぶんぶんと首を振る彼女の空いた方の手首も掴む。
彼女はもがくように身体を捩った。
「ねえ?分かる?俺はこんなにも君が好きなの。君が俺の初恋で、好きなんて君に初めて持ったけど、君じゃなきゃ駄目なんだよ」
「そんなのしらな、」
「拒絶しないでよ?それ以上俺のこと拒絶するなら君の大事な妹がどうなるか分からないよ?」
「っ!?なんでもするから妹に手を出さないで!」
ああ、やっぱり妹なんだ。
むかつくなぁ。ほんっとむかつく。
君の中に一番で居られるあの女が憎い。
だけど、さ。
「……本当になんでも?」
「する!だからあの子には!」
「じゃあ俺と付き合ってよ」
「……え?」
「なんでもするって、自分で言ったでしょ?だから俺と付き合って。そうすればあの子と今すぐ別れてあげる」
大きく目を見開いて呼吸を忘れてしまったように口を半開きにする彼女にニコリと笑った。
「っそんなの、」
「何?嫌なの?」
「……っ」
暗に、断れば妹に危害を加えると伝えれば、悟い彼女には伝わったのか息を呑んだ。
「俺、本気だよ?」
「……あ、」
「君に受け入れて貰えなくて、これでも駄目だって言うのなら、俺はもう死ぬしかなくなる」
「何言って!」
「だってそうでしょ?こんなに好きだって伝えてるのに伝わらないなら、受け取って貰えないなら、俺はもう生きていけない。死んだ方がマシだ」
「…………く、るってる」
「―――知ってるよ。そんなのとっくに」
それでも君を好きなんだ。
愛しいって気持ちが止まらない。
「受け入れてよ」
お願いだから。
「……わ、私が受け入れたら。本当に、あの子と別れてくれますか?」
「君が手に入るならあんな子もう要らないよ」
「……」
彼女は少し考えるように俯いて、そうしてその薄い唇でハッキリと言った。
「なら、貴方を受け入れます」
あの子が幸せになる未来の為なら。
泣きそうな顔でそう言った彼女の、最後の一言は余計だったけれど。
俺は彼女が頷いてくれたことに満足して、ぼろぼろと涙を流しながらぎゅうっと彼女を抱き締めた。
「ごめんなさい 」
彼女が泣きながらあの子の名前を呼んで謝っていた事には気付いていたけれど。
そんなことは彼女を手に入れた俺には些細な事だった。
(さて、と。どうやってあの子を説得しようかな?ああ、そういえば前にあの子が格好いいって言ってた男が居たっけ?あいつをあの子と会わせれば、あの子は喜んでそっちに行くだろうね)
そうしたら、あの子に振られた可哀想な彼氏とその彼氏を慰めたお姉ちゃんという図式が出来るから。
きっと俺達が付き合ったって誰も文句は言えないだろう。
俺はにんまりと口端を上げながら彼女の首筋に顔を埋めて、彼女の甘くて柔らかい匂いを肺一杯に吸い込んだ。
そうして頭の中に思い浮かべた計画は予定通りに進み、彼女は名実共に俺のものになった。
気にせずに、俺は君の手首を力の限り掴んだ。
掴んでいる箇所が白くなっていて、そんなことに愉悦を感じた。
「ね?今なんて言った?」
「……っい!?」
「ねえ?もう一回言ってよ」
「……っ、だ、だから!い、妹と別れて下さいと言ったんです!」
眼球に涙の膜を張った彼女は、それでも気丈に俺に向かってそう言った。
そんな彼女にクスリと笑う。もちろん手首は掴んだままだ。
「どうして?」
「ど、うしてって…!貴方がそれを言うのですか!」
「理由を言ってよ?じゃないと分からない」
「貴方って人は……っ」
怒りからか顔を赤くする彼女。
その頬を空いた片手で撫で上げると、彼女はビクリと肩を跳ねさせた。
「ね?あの子と別れなきゃいけない理由は、なに?」
そう言えば、グッと唇を噛んだ彼女は意を決するように口を開いた。
「あ、なたが!」
「俺が?」
「貴方が、あの子を好きではないから…っ。あの子を幸せにするつもりがないのなら、別れて下さいっ」
「確かに俺はあの子を好きじゃないけど、君に指図される覚えはないよね?」
「私はあの子の姉です!」
「でも、当事者じゃないでしょう?それともあの子が俺と別れたいとでも言った?」
「……そ、れは…」
彼女の反応を見て、にんまりとする。
言うわけないよね?
だって俺は、あの子に対して嫌われるような態度を一ミリだって取っていないもの。
「……どうしたら妹と別れてくれますか」
「そんなに別れさせたい?」
「あの子が幸せになれない相手と一緒に居させることは出来ないです」
「……お姉さんってほーんとあの子が大好きだよねぇ?」
ほんと、殺したいくらいだよ。
そう言えば彼女はバッと顔を上げた。
「何?もしかして君が殺されるとか思った?あはは。そんなわけないのに」
だって俺はさ、
「君がだぁいすきなの。本当に君だけが大好き。愛してる。君に愛されないなら死んだ方がマシだって思うくらい、君が好き」
「っな、んで?」
「なんで?ああ、君が好きなのになんで君の妹と付き合うのか?」
俺の言いたいことが当たっていたのか黙り込む彼女。
俺は思い出したかのように握ったままの手首を強く握り締めた。
このままへし折ったらどうなるのかな?
そんなことを思いながら。
「俺はずぅっと君に近付きたかった。でも話し掛ける勇気なんて無かったんだよね?君にだけは嫌われたくなかったからさ?接点もないのにいきなり関係なんて持てないでしょ?」
だから君の妹を利用させて貰ったんだ。
「……っ!?」
「驚いた?でも本当だよ。あの子って君と違って下品で派手で煩くて我が儘で、ほんっと君とは正反対!似てるのは素顔くらい?」
だから抱く時はいつも化粧落とさせてたんだよね?
素顔な君を俺だけに見せて?って言ったら素直に化粧落としてさ。
「いっつも君を思い浮かべてた」
「い、や」
ぶんぶんと首を振る彼女の空いた方の手首も掴む。
彼女はもがくように身体を捩った。
「ねえ?分かる?俺はこんなにも君が好きなの。君が俺の初恋で、好きなんて君に初めて持ったけど、君じゃなきゃ駄目なんだよ」
「そんなのしらな、」
「拒絶しないでよ?それ以上俺のこと拒絶するなら君の大事な妹がどうなるか分からないよ?」
「っ!?なんでもするから妹に手を出さないで!」
ああ、やっぱり妹なんだ。
むかつくなぁ。ほんっとむかつく。
君の中に一番で居られるあの女が憎い。
だけど、さ。
「……本当になんでも?」
「する!だからあの子には!」
「じゃあ俺と付き合ってよ」
「……え?」
「なんでもするって、自分で言ったでしょ?だから俺と付き合って。そうすればあの子と今すぐ別れてあげる」
大きく目を見開いて呼吸を忘れてしまったように口を半開きにする彼女にニコリと笑った。
「っそんなの、」
「何?嫌なの?」
「……っ」
暗に、断れば妹に危害を加えると伝えれば、悟い彼女には伝わったのか息を呑んだ。
「俺、本気だよ?」
「……あ、」
「君に受け入れて貰えなくて、これでも駄目だって言うのなら、俺はもう死ぬしかなくなる」
「何言って!」
「だってそうでしょ?こんなに好きだって伝えてるのに伝わらないなら、受け取って貰えないなら、俺はもう生きていけない。死んだ方がマシだ」
「…………く、るってる」
「―――知ってるよ。そんなのとっくに」
それでも君を好きなんだ。
愛しいって気持ちが止まらない。
「受け入れてよ」
お願いだから。
「……わ、私が受け入れたら。本当に、あの子と別れてくれますか?」
「君が手に入るならあんな子もう要らないよ」
「……」
彼女は少し考えるように俯いて、そうしてその薄い唇でハッキリと言った。
「なら、貴方を受け入れます」
あの子が幸せになる未来の為なら。
泣きそうな顔でそう言った彼女の、最後の一言は余計だったけれど。
俺は彼女が頷いてくれたことに満足して、ぼろぼろと涙を流しながらぎゅうっと彼女を抱き締めた。
「ごめんなさい 」
彼女が泣きながらあの子の名前を呼んで謝っていた事には気付いていたけれど。
そんなことは彼女を手に入れた俺には些細な事だった。
(さて、と。どうやってあの子を説得しようかな?ああ、そういえば前にあの子が格好いいって言ってた男が居たっけ?あいつをあの子と会わせれば、あの子は喜んでそっちに行くだろうね)
そうしたら、あの子に振られた可哀想な彼氏とその彼氏を慰めたお姉ちゃんという図式が出来るから。
きっと俺達が付き合ったって誰も文句は言えないだろう。
俺はにんまりと口端を上げながら彼女の首筋に顔を埋めて、彼女の甘くて柔らかい匂いを肺一杯に吸い込んだ。
そうして頭の中に思い浮かべた計画は予定通りに進み、彼女は名実共に俺のものになった。