SS 21~40
※R16くらいの性的なことを匂わす表現があります。
※ちょっぴり血描写。
「国を滅ぼされたくなければ、俺の女になってくださりますね?」
そう言って、敵国の姫の首に剣を突き付けた。
今しがた侍女を切ったばかりでまだ血の滴るそれに、顔を白くさせている。
にも関わらず、姫の瞳には未だに生気が宿っており私に屈した様子はない。
背筋にゾクゾクとした悦楽が走る。
(益々気に入った)
一目見た時からこの姫を手に入れたいと思っていた。
なのに姫の両親が末娘だから手元に置いておきたいなどと愚かなことを言ったせいで、予定が狂った。
だが、それも良かったのかもしれない。
姫の前で姫の侍女を殺し、その場面を見せ付けて。
私が他のものをいとも容易く殺せるのだと見せ付けることが出来た。
心根優しく、芯の通った姫ならば国民を見捨てるだなんて愚かな決断はしないだろう。
「……私があなたの妻になったのなら、私の国に手を出さないと誓って下さいますか?」
ほら。
予定通り。
悔しさが滲む瞳には強い力が宿っていて。
屈してなるものかと握られた拳が伝えるよう。
(可愛いなあ)
思わず頬が緩みそうになる。
けれどまだそんな顔を見せる訳にはいかないから、表情に厳しさを滲ませる。
「姫が俺の妻になって下さるなら。叶えられるどんな約束事も引き受けますよ」
「ならば。……私は貴方の国に嫁ぎます。ですから必ず約束はお守り下さい」
「ええ。――もちろん」
今度こそ頬が緩んだ。
目の前で侍女を殺したような相手に国を人質に取られて、姫としてその男に嫁ぐと自分の口から発した気分はどうなんだろう。
本当は。姫が手に入るのならこんな国、無くなったって構わないのだが。
俺が欲しいのは姫の心と身体その両方。
先に身体を手に入れるつもりだけれど、心が俺を拒絶したなら意味がないのだ。
(それに、切り札は最後まで残しておきませんとねぇ)
姫が他所を向かないように。
死ぬまで俺だけに意識を向けるように。
国という人質をちらつかせて、姫を永遠に縛り付ける。
想像しただけで胸が熱くなった。
「幸せにしてあげます」
姫の身体を横に抱き上げ、耳元で囁く。
ぽろりと流れた涙を舌で拭えば、甘い味が口一杯に広がった。
国に帰ったらまずは子作りから始めようか。
愛を囁きながら夜が来る度に抱いて、俺の精を姫のナカに注いで、子が出来るまでそれを続ければ、姫も俺に情くらいは抱くだろう。
姫が子を構うのなんて想像するだけで殺してしまいたくなる。
けれど母親というのはどんな子でも無意識に守ろうとするものらしいから。
だから、子が生まれたらその子も人質に使える。
姫だったならある程度育ったら姫の祖国にくれてやればいい。
ニヤリとまだ見ぬ未来を想像して口角を上げる。
姫ははらはらと泣いていたけれど、きっといつか俺にも笑い掛けてくれる日がくるだろう。
(ああ、帰ったら側室を全て片付けないといけませんね。姫が居れば他なんて必要ありませんし)
姫だけに愛を捧ぐ為には他の女は邪魔になるだけだ。
だから早急に片付けてしまおう。
姫の部屋はどうしようか。
便宜上の正室が使ってしまっていたな。
キチンと全てが片付けて、前の女の痕跡全てが消え去るまで、俺の部屋で寝起きを共にするのも悪くない。所かそれはどれだけ幸せなのだろうか。
「姫、愛してます。永遠に」
答えは今は要らない。
薄っぺらな言葉なんて必要ない。
いつか本心から愛の言葉を言ってくれるその時まで。
俺は俺の方法で、姫の中に俺という存在を植え付けていくとしよう。
けれどどれだけ願っても。
姫は俺に死ぬまで愛の言葉を言うことはなかった。
それでも息絶えるその瞬間まで、姫が俺の腕の中に居たのだから。
幸せだ。もう、思い残すことなんて何もないくらいに。
※ちょっぴり血描写。
「国を滅ぼされたくなければ、俺の女になってくださりますね?」
そう言って、敵国の姫の首に剣を突き付けた。
今しがた侍女を切ったばかりでまだ血の滴るそれに、顔を白くさせている。
にも関わらず、姫の瞳には未だに生気が宿っており私に屈した様子はない。
背筋にゾクゾクとした悦楽が走る。
(益々気に入った)
一目見た時からこの姫を手に入れたいと思っていた。
なのに姫の両親が末娘だから手元に置いておきたいなどと愚かなことを言ったせいで、予定が狂った。
だが、それも良かったのかもしれない。
姫の前で姫の侍女を殺し、その場面を見せ付けて。
私が他のものをいとも容易く殺せるのだと見せ付けることが出来た。
心根優しく、芯の通った姫ならば国民を見捨てるだなんて愚かな決断はしないだろう。
「……私があなたの妻になったのなら、私の国に手を出さないと誓って下さいますか?」
ほら。
予定通り。
悔しさが滲む瞳には強い力が宿っていて。
屈してなるものかと握られた拳が伝えるよう。
(可愛いなあ)
思わず頬が緩みそうになる。
けれどまだそんな顔を見せる訳にはいかないから、表情に厳しさを滲ませる。
「姫が俺の妻になって下さるなら。叶えられるどんな約束事も引き受けますよ」
「ならば。……私は貴方の国に嫁ぎます。ですから必ず約束はお守り下さい」
「ええ。――もちろん」
今度こそ頬が緩んだ。
目の前で侍女を殺したような相手に国を人質に取られて、姫としてその男に嫁ぐと自分の口から発した気分はどうなんだろう。
本当は。姫が手に入るのならこんな国、無くなったって構わないのだが。
俺が欲しいのは姫の心と身体その両方。
先に身体を手に入れるつもりだけれど、心が俺を拒絶したなら意味がないのだ。
(それに、切り札は最後まで残しておきませんとねぇ)
姫が他所を向かないように。
死ぬまで俺だけに意識を向けるように。
国という人質をちらつかせて、姫を永遠に縛り付ける。
想像しただけで胸が熱くなった。
「幸せにしてあげます」
姫の身体を横に抱き上げ、耳元で囁く。
ぽろりと流れた涙を舌で拭えば、甘い味が口一杯に広がった。
国に帰ったらまずは子作りから始めようか。
愛を囁きながら夜が来る度に抱いて、俺の精を姫のナカに注いで、子が出来るまでそれを続ければ、姫も俺に情くらいは抱くだろう。
姫が子を構うのなんて想像するだけで殺してしまいたくなる。
けれど母親というのはどんな子でも無意識に守ろうとするものらしいから。
だから、子が生まれたらその子も人質に使える。
姫だったならある程度育ったら姫の祖国にくれてやればいい。
ニヤリとまだ見ぬ未来を想像して口角を上げる。
姫ははらはらと泣いていたけれど、きっといつか俺にも笑い掛けてくれる日がくるだろう。
(ああ、帰ったら側室を全て片付けないといけませんね。姫が居れば他なんて必要ありませんし)
姫だけに愛を捧ぐ為には他の女は邪魔になるだけだ。
だから早急に片付けてしまおう。
姫の部屋はどうしようか。
便宜上の正室が使ってしまっていたな。
キチンと全てが片付けて、前の女の痕跡全てが消え去るまで、俺の部屋で寝起きを共にするのも悪くない。所かそれはどれだけ幸せなのだろうか。
「姫、愛してます。永遠に」
答えは今は要らない。
薄っぺらな言葉なんて必要ない。
いつか本心から愛の言葉を言ってくれるその時まで。
俺は俺の方法で、姫の中に俺という存在を植え付けていくとしよう。
けれどどれだけ願っても。
姫は俺に死ぬまで愛の言葉を言うことはなかった。
それでも息絶えるその瞬間まで、姫が俺の腕の中に居たのだから。
幸せだ。もう、思い残すことなんて何もないくらいに。