SS 21~40
君に付けられた傷を見るのが好きだ。
君がくれた痕だから。
君がオレにくれた愛だから。
君とオレの関係を、人は『加害者』と『被害者』なんてものに分類する。
けれどその認識は間違いだと、きっとオレ以外は知らないのだろう。
君でさえも、自分のことをオレのことを傷つけてしまう『加害者』なんて思っているのだから。
何か嫌なことがあればオレに暴力を振るい、時には刃物を使い、オレの身体を色とりどりに染める。
その癖オレを殴った後、怒りも憤りも何もかもを過ぎ去った時、我に帰った君は泣き叫ぶ。
「ごめんなさい……っ!」と「こんなことがしたいわけじゃないのっ」と。
今日もそう。
「もうお願いだから別れてっ!?アナタをこれ以上傷つけたくないの!」
そう言って泣きながら声を張り上げて、抱き締めているオレを拒絶するために胸を叩く。
この前カッターで切られたそこは、少しだけ血が滲んだけれど、気にしない。
だってこんなのちっとも痛くない。
君から与えられる傷は、全てオレにとっての宝物で。
いとしくて堪らない大切なものだから。
それにしても。
君はオレのことが全く分かってないんだね?
そんなところも可愛くて大好きなんだけどさ。
わんわんと泣く君の肩に自分の両手を添える。
ビクリと身体が跳ねて、恐る恐るオレを見上げた。
さっきまで激昂してオレを殴っていた姿とはまた違う君の表情。
君のそんな変化を知ることが出来るのがオレだけであるという事実が堪らなく嬉しい。
それと同時に心臓がズキズキと痛む。
どんな傷を与えられても、いとしさしか募らないけれど。
心を傷つけられることだけは痛くて堪らない。
君から与えられる傷で、唯一オレが嫌なこと。
君が、オレに、別れを告げること。
「オレは頑丈だから、これくらい大丈夫だよ。それにオレは君を愛しているから、だから君に何をされても君と離れることだけは絶対にしたくない」
「……っ」
小さく悲鳴を上げて、緩く首を振ってオレを拒絶する君。
それを見てまたズキズキと心臓が痛んだけれど、顔に笑みを浮かべて君を諭す。
「オレはね?どんな君でも愛してる。だから君は安心してオレを傷つけていいんだよ?嫌なことがあったり、気に食わないことがあったり、八つ当たりだって構わない。君が嫌な思いをし続けることに比べたら、なんてことないんだから」
「ね?」っと諭すように君の髪を梳いてやる。
君は瞬きをひとつして、縋り付くようにオレの胸に寄り掛かった。
「……も、いやになったら、言って、ね?」
「嫌になんかなるわけないけど、君が安心するなら約束するよ」
「 」
「うん。オレもだよ」
涙でぐちゃぐちゃな酷い顔で、オレだけに聞こえるように呟かれた言葉。
それに同意を示せば、スンと小さく鼻を鳴らす君。
オレだけを思って流した涙で作られた可愛い顔に、沢山のキスを降らせてやる。
「大好き」
だからもっともっとオレを傷付けて?
この先、例え何があったってオレを忘れることが出来ないくらい酷く。
なんならオレを殺してくれたって構わないから。
君から与えられる死なら喜んで受け入れるよ?
だからねぇ?
オレのことで、君の心も頭も一杯にして。
オレ以外の存在を排除してしまうくらいに。
オレだけを君のナカに住まわせて?
世間で君は『加害者』と呼ばれ、
オレは『被害者』と呼ばれる。
けれど真実は。
オレの愛情に囚われて、もう二度と抜け出せないくらいに縛られてしまった。
君が本当の『被害者』
君がくれた痕だから。
君がオレにくれた愛だから。
君とオレの関係を、人は『加害者』と『被害者』なんてものに分類する。
けれどその認識は間違いだと、きっとオレ以外は知らないのだろう。
君でさえも、自分のことをオレのことを傷つけてしまう『加害者』なんて思っているのだから。
何か嫌なことがあればオレに暴力を振るい、時には刃物を使い、オレの身体を色とりどりに染める。
その癖オレを殴った後、怒りも憤りも何もかもを過ぎ去った時、我に帰った君は泣き叫ぶ。
「ごめんなさい……っ!」と「こんなことがしたいわけじゃないのっ」と。
今日もそう。
「もうお願いだから別れてっ!?アナタをこれ以上傷つけたくないの!」
そう言って泣きながら声を張り上げて、抱き締めているオレを拒絶するために胸を叩く。
この前カッターで切られたそこは、少しだけ血が滲んだけれど、気にしない。
だってこんなのちっとも痛くない。
君から与えられる傷は、全てオレにとっての宝物で。
いとしくて堪らない大切なものだから。
それにしても。
君はオレのことが全く分かってないんだね?
そんなところも可愛くて大好きなんだけどさ。
わんわんと泣く君の肩に自分の両手を添える。
ビクリと身体が跳ねて、恐る恐るオレを見上げた。
さっきまで激昂してオレを殴っていた姿とはまた違う君の表情。
君のそんな変化を知ることが出来るのがオレだけであるという事実が堪らなく嬉しい。
それと同時に心臓がズキズキと痛む。
どんな傷を与えられても、いとしさしか募らないけれど。
心を傷つけられることだけは痛くて堪らない。
君から与えられる傷で、唯一オレが嫌なこと。
君が、オレに、別れを告げること。
「オレは頑丈だから、これくらい大丈夫だよ。それにオレは君を愛しているから、だから君に何をされても君と離れることだけは絶対にしたくない」
「……っ」
小さく悲鳴を上げて、緩く首を振ってオレを拒絶する君。
それを見てまたズキズキと心臓が痛んだけれど、顔に笑みを浮かべて君を諭す。
「オレはね?どんな君でも愛してる。だから君は安心してオレを傷つけていいんだよ?嫌なことがあったり、気に食わないことがあったり、八つ当たりだって構わない。君が嫌な思いをし続けることに比べたら、なんてことないんだから」
「ね?」っと諭すように君の髪を梳いてやる。
君は瞬きをひとつして、縋り付くようにオレの胸に寄り掛かった。
「……も、いやになったら、言って、ね?」
「嫌になんかなるわけないけど、君が安心するなら約束するよ」
「 」
「うん。オレもだよ」
涙でぐちゃぐちゃな酷い顔で、オレだけに聞こえるように呟かれた言葉。
それに同意を示せば、スンと小さく鼻を鳴らす君。
オレだけを思って流した涙で作られた可愛い顔に、沢山のキスを降らせてやる。
「大好き」
だからもっともっとオレを傷付けて?
この先、例え何があったってオレを忘れることが出来ないくらい酷く。
なんならオレを殺してくれたって構わないから。
君から与えられる死なら喜んで受け入れるよ?
だからねぇ?
オレのことで、君の心も頭も一杯にして。
オレ以外の存在を排除してしまうくらいに。
オレだけを君のナカに住まわせて?
世間で君は『加害者』と呼ばれ、
オレは『被害者』と呼ばれる。
けれど真実は。
オレの愛情に囚われて、もう二度と抜け出せないくらいに縛られてしまった。
君が本当の『被害者』