SS 161~

きみの声、跳ねる心音。
あたたかい気持ちになると同時に、きみが笑いかけるすべてに嫉妬している自分に気が付く。
僕はきっと、もう。
きみが居ない世界なんてのは想像できなくなっていて。
幸せで。怖い。
きみの居なくなる世界が、少しでもあることが。
その足に鎖を繋いで、その腕に手錠をかけて。
すべてから断絶すればいいのだろうか?
でも、きっと。きみはそんなことでは僕だけのものになんてならないよね。

「おっはーよ!今日も朝からイケメンだね松島!」

「それはありがと、月城」

「ところで松島」

「なぁに、月城」

可愛いふわふわした肩までの茶髪を月城は指でぐるぐるとさせながら、言う。

「あたしに対して、なんか恐ろしいこと考えてない?」

「別に?」

「その顔はぜーったい!なんかある顏だよ!イケメンだから許されてるだけで!」

「月城のイケメン好き……どうにかならないの?」

「ならない」

ハッキリと言い切った月城は「じゃあ、あたしはこれから神崎せんせーに会いに行ってくるから!」と僕の目の前から去って行く。
本当に面食いだな、月城は。
でも、僕をこの顏に産んでくれた親には感謝しなくちゃね。
少しでも月城の気を惹けているということだし。
あとは僕の、出方次第、かな?

きみにこの心の内を悟られたら。その時は。

「ふふ、楽しみだなぁ」

そう微笑んで、犬みたいに元気よく神崎先生に飛びついている月城を見て。

うん。いつか犯そう。

と、だけ思ったのは内緒だよ?
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