SS 141~160
「龍さん」
布団の上で寝転がっていたら、覆い被さってきた男。
細身だけれども筋肉がしっかりとついている彼は甘えるように私の首に顔を埋める。
「龍さん」
もう一度、名前を呼ぶ。
彼は名残惜しそうに私から離れるとその黒曜石のような瞳を私のまなこに映す。
ギラギラと情欲が滾ったその瞳の色に、私は腕を伸ばして、頬を両手で掴んだ。
龍さんは拒絶することもなく、顔を近付けて、優しいとは言えない口付けをし合う。
「……っん」
「は、ぁ」
舌を絡めて、溶け合うように唾液を交換し合えば、お互いの声が畳部屋に漏れた。
「どうしたの、龍さん」
「……お前さんに甘える理由なんて、無くたって良いだろ」
「龍さんになら幾らでも甘えられても良いんだけどね」
ふふ、と笑って再度口付けを強請った。
甘えたいのだと言った龍さん。
こうやって普段触れられることを得意としない私が触れることを許してやれば、喜ぶのを知っている。
「お前さんは恐ろしい女だ」
「龍さんの奥さんですから」
ワンピースを脱がされながら私はまた、ふふ、と笑った。
性急な手付きに、この人に求められる悦びを覚えた。
甲高い鳴き声を上げて。ドロドロに交じりあって。
夜から朝になる空を見つめながら、龍さんの背中に彫られた昇り龍の刺青に口付けた。
布団の上で寝転がっていたら、覆い被さってきた男。
細身だけれども筋肉がしっかりとついている彼は甘えるように私の首に顔を埋める。
「龍さん」
もう一度、名前を呼ぶ。
彼は名残惜しそうに私から離れるとその黒曜石のような瞳を私のまなこに映す。
ギラギラと情欲が滾ったその瞳の色に、私は腕を伸ばして、頬を両手で掴んだ。
龍さんは拒絶することもなく、顔を近付けて、優しいとは言えない口付けをし合う。
「……っん」
「は、ぁ」
舌を絡めて、溶け合うように唾液を交換し合えば、お互いの声が畳部屋に漏れた。
「どうしたの、龍さん」
「……お前さんに甘える理由なんて、無くたって良いだろ」
「龍さんになら幾らでも甘えられても良いんだけどね」
ふふ、と笑って再度口付けを強請った。
甘えたいのだと言った龍さん。
こうやって普段触れられることを得意としない私が触れることを許してやれば、喜ぶのを知っている。
「お前さんは恐ろしい女だ」
「龍さんの奥さんですから」
ワンピースを脱がされながら私はまた、ふふ、と笑った。
性急な手付きに、この人に求められる悦びを覚えた。
甲高い鳴き声を上げて。ドロドロに交じりあって。
夜から朝になる空を見つめながら、龍さんの背中に彫られた昇り龍の刺青に口付けた。