SS 01~20
君の幻影ばかりを探し歩いて一体どれくらいの歳月が経ったのだろう。
時間経過が分からなくなるくらい時間を歩き続けた。
ただただ君だけを思って世界を見てきた。
歩き続けた僕の足は最早ぼろぼろで。
いつ崩れたって可笑しくはないだろう。
だけど僕は足を止める術を知らないから。
引き擦りながら歩くんだ。
いつかいつか。
君に会える日まで。
君に会えると信じて。
――……本当は気付いているんだけどね。
「君は僕を恨んで逝ったから。だから夢にすら現れてはくれないんだろう?」
君が死の間際に放った言葉。
僕はそれに縛られている。
「だけど本心でも『出会わなければ良かった』なんて君に言われたくはなかったよ」
それでも幸せだと感じるんだ。
愛されることはとうに諦めていた。
素直に腕に収まってくれただけで幸せだったから。
たとえ君がいつだって無表情で、感情なんて捨ててしまって居ても。
幸せだったんだ。
それだけは間違えようのない事実。
愛して欲しいだなんて。
流石に言えなかったよ。
君から奪うだけ奪って、縛るだけ縛って。
その上、まだ貰おうだなんて。
思うことすら烏滸がましく思えたから。
だから、居てくれるだけで良かった。
本当にそれだけが望みだったんだ。
だけど君は最後の最期で僕に復讐をした。
「どうしたら許してくれるのかな」
君は僕に『永遠に生きろ』と言った。
君を深く愛した僕が気付くまで。
君の居ない世界を永遠に生きろ、と。
未だにその言葉の意味なんて理解出来ない。
出来なければこの身は朽ちないのに。
君の元へと行けないのに。
最早生きていることすら曖昧な、そんな存在になってしまって随分と経つ。
それでもやっぱり理解出来ない。
君を忘れることすら、出来ない。
そうして目を瞑る度。
記憶の中の君はいつだって無表情を泣きそうな顔に歪めて僕を責め立てる。
『私を愛していると言うくせに、貴方は私の愛を信じてくれないのね』
君の愛を信じる?
君は僕を憎んでいるんだろう?
だから偽りだって君の愛は要らない。
虚しくてしょうがないじゃないか。
『貴方になんて出会わなければ良かった』
お願いだからそんなことを言わないで?
僕は君に会えて本当に幸せだったんだから。
『貴方は知ればいい。信じて貰えない孤独を、寂しさを。永久とすら感じる時間の中で』
寂しかったのは僕の方だよ。
確かに君が居て幸せだったけれど。
それでもやっぱり愛して欲しかったから。
『貴方に会わなければ、――に』
なぁに?なんて言ったの。
君は僕に何を伝えたかったの。
どうしてそんなに――苦しそうに泣いているの?
分からない。
君の全てを理解したいのに。
君は僕に何を伝えたくて、こんな呪い染みた身体を与えたの?
復讐だなんて言ったけれど、君がそんな気持ちでこんなことをする人だとは思っていないんだ。
君が最期に放ったその言葉を。
僕は未だに思い出せない。
それが分かれば君が伝えたかった事が分かる気がするのに。
靄が掛かるようにそれを隠す。
だから僕は未だに答えを求めて歩き続けるしかない。
君の姿を探して。
君の言葉を求めて。
ただ君だけを思い続けて。
『貴方に会わなければ、貴方を愛さなくて済んだのに』
『傷付けずに、済んだのに』
時間経過が分からなくなるくらい時間を歩き続けた。
ただただ君だけを思って世界を見てきた。
歩き続けた僕の足は最早ぼろぼろで。
いつ崩れたって可笑しくはないだろう。
だけど僕は足を止める術を知らないから。
引き擦りながら歩くんだ。
いつかいつか。
君に会える日まで。
君に会えると信じて。
――……本当は気付いているんだけどね。
「君は僕を恨んで逝ったから。だから夢にすら現れてはくれないんだろう?」
君が死の間際に放った言葉。
僕はそれに縛られている。
「だけど本心でも『出会わなければ良かった』なんて君に言われたくはなかったよ」
それでも幸せだと感じるんだ。
愛されることはとうに諦めていた。
素直に腕に収まってくれただけで幸せだったから。
たとえ君がいつだって無表情で、感情なんて捨ててしまって居ても。
幸せだったんだ。
それだけは間違えようのない事実。
愛して欲しいだなんて。
流石に言えなかったよ。
君から奪うだけ奪って、縛るだけ縛って。
その上、まだ貰おうだなんて。
思うことすら烏滸がましく思えたから。
だから、居てくれるだけで良かった。
本当にそれだけが望みだったんだ。
だけど君は最後の最期で僕に復讐をした。
「どうしたら許してくれるのかな」
君は僕に『永遠に生きろ』と言った。
君を深く愛した僕が気付くまで。
君の居ない世界を永遠に生きろ、と。
未だにその言葉の意味なんて理解出来ない。
出来なければこの身は朽ちないのに。
君の元へと行けないのに。
最早生きていることすら曖昧な、そんな存在になってしまって随分と経つ。
それでもやっぱり理解出来ない。
君を忘れることすら、出来ない。
そうして目を瞑る度。
記憶の中の君はいつだって無表情を泣きそうな顔に歪めて僕を責め立てる。
『私を愛していると言うくせに、貴方は私の愛を信じてくれないのね』
君の愛を信じる?
君は僕を憎んでいるんだろう?
だから偽りだって君の愛は要らない。
虚しくてしょうがないじゃないか。
『貴方になんて出会わなければ良かった』
お願いだからそんなことを言わないで?
僕は君に会えて本当に幸せだったんだから。
『貴方は知ればいい。信じて貰えない孤独を、寂しさを。永久とすら感じる時間の中で』
寂しかったのは僕の方だよ。
確かに君が居て幸せだったけれど。
それでもやっぱり愛して欲しかったから。
『貴方に会わなければ、――に』
なぁに?なんて言ったの。
君は僕に何を伝えたかったの。
どうしてそんなに――苦しそうに泣いているの?
分からない。
君の全てを理解したいのに。
君は僕に何を伝えたくて、こんな呪い染みた身体を与えたの?
復讐だなんて言ったけれど、君がそんな気持ちでこんなことをする人だとは思っていないんだ。
君が最期に放ったその言葉を。
僕は未だに思い出せない。
それが分かれば君が伝えたかった事が分かる気がするのに。
靄が掛かるようにそれを隠す。
だから僕は未だに答えを求めて歩き続けるしかない。
君の姿を探して。
君の言葉を求めて。
ただ君だけを思い続けて。
『貴方に会わなければ、貴方を愛さなくて済んだのに』
『傷付けずに、済んだのに』