短編置き場(ほの庭)

後悔も執着もてめぇは俺のすべてを包み込むかのように受け入れる。
だから勘違いしそうになるのだ。
てめぇは俺だけの神様なのか? と。
あまりに自分本位な思い込みに、流石のてめぇも嫌がると思ったのだ。
けれども――

「アメはキスケが好きだから、別に困ってないよ?」

まるで無垢な少女のように、にこっと笑ってそう言った。
最近のこいつは良く笑う。
それが俺の前だけではないのだと知っているからか、こいつの笑顔を見ると嬉しい半面、ドロッとした黒いものが心の中に渦巻いては酷く重くなり、鉛のように蝕んでくる。

嫌だ、と心がざわつく。

俺以外に笑顔を見せないでくれ。
俺以外に笑いかけないでくれ。
俺以外と、――話さないでくれ。

きっともう、この心は限界だった。
だからその言葉が漏れ出たのは必然と言えるのかも知れない。

「てめぇはどうしてそうも馬鹿なんだよ」

きょとんと首を傾げるてめぇの表情すらも憎くて愛しくて、どうしようもない感情が襲ってくる。
人間生活、こと他人からの感情に乏しいこいつに俺の中にあるとぐろを巻いたマムシのような感情は分からないだろう?
いつてめぇを丸呑みにしてやろうかと虎視眈々と狙うマムシは、いつか純粋無垢で清らかなこいつを蝕んでしまうことだろう。
それは避けてやりてぇな、とどこか冷静な自分が囁くのだ。

「……キスケ? どうしたの?」
「俺は、呑気なツラばかりしてるてめぇが嫌いだ」
「……なんで、そんなこと言うの?」

酷く傷ついた顔をして目を大きく見張ると、身体を強張らせるアメは胸の前で拳を握る。
その姿は俺に危害を加えたいわけではなく、きっと自分を守ろうとする本能のようなもの。
そんな防衛本能が出る程傷つけられながら、どこか冷静に話すのはアメの神たる部分ゆえか。
その神の部分にどれほど救われているか分かっている、分かっていてもどうにも腹が立ってしまったのだ。

「俺は、てめぇが嫌いだ。二度と目の前に現れて欲しくないくらいには、」

――てめぇが嫌いだ。

気づけばそう言っていた。
言葉を発した息はいつの間にか荒く、とてもじゃないが冷静な言葉ではないことは誰の目から見ても確かだろう。
けれどもこいつはきっと気づかない。どうしてこんなことを言ったのかこいつだけでは絶対に気づかない。
いつの間にかアメの視線は足元に向いていた。その肩は微かに震えている。

「そ、れは……キスケの『お願い』なの?」
「……それは」

その言葉に上手く返事が出来なかったのは、もうこいつに『お願い』をしたくなかったから。
もうこいつに願いたくない。守ってやりたいと思いながらも、対等でありたいとも願ってしまう。
俺はこの小さな神様に何度も助けられているというのに、何度も何度も助けてもらいながら、結局はこうして傷つけている。
それは人間の飽くなき欲求のせいか、それともただ単純に俺の弱さのせいか。
ただ確かなことは、今俺は確かにアメというただひとりの存在を傷つけたということ。
他でもない、自分自身の弱さのせいで。

「……キスケは、アメが嫌い?」
「……っ、ああ! 嫌いだよ」

血反吐を吐く気分で嫌いと言えば、アメはバッと顔を上げると俺を一瞥する。
その大きな瞳からは今にも涙が零れ落ちそうになっていたことに気づいて、思わず腕を伸ばしそうになった。
アメは俺の伸ばし掛けた腕から逃れるように身体を避けると、そのまま俺の作業場から走って出て行った。

「……何、やってんだろうなァ」

本当に、何をやっているのだろう。
傷つけたくない、守ってやりたい。
そう言葉ではなんとでも言えるようなことを、平然と裏切り続けて。
それでももう、これ以上傷つけたくはないということだけは確かだった。




****





嫌い、キライ、きらい。

――キスケに嫌いって言われた。

何度も何度も脳裏で繰り返されるのは、キスケに言われた「嫌い」というたった三文字。
キスケはずっとアメのことが嫌いだったんだ。ずっと、ずっと嫌いだったんだ。
苦しい、胸が苦しい。走ったからだろうか? 肩で息をしながら急ぎ足に自分の庭へ帰ってくればその苦しいは少しだけ落ち着いた。

「うっ、うぅ~……っ」

けれども唇を噛み締めながらどう耐えようとしても、片目から流れる涙は止まらない。
キスケはアメが嫌い。アメのことが好きじゃない。
その事実は誰のどんな言葉や態度よりもつらかった。
ぼろぼろと止めどなく零れ続ける涙は、地面に沈んでは吸い込まれるように消えていく。
呼吸は浅く、口からハクハクと何度も浅い息をする。
何度も何度も吐いては吸ってを繰り返す。
いつの間にかハッ、ハッと荒い息に変わっていた。
なんだか頭がぼやけて息が上手く出来なくて苦しくてつらい。
そんな感情が頭の中を支配して、それでも泣くことをやめることが出来ないでいた。
ぼうっと地面を見つめながら荒い息を吐き出しては吸ってを繰り返し続けていれば、自分の身体に影が出来た。

「……?」
「ちょっと、大丈夫ですかァ?」

ゆっくりと顔をそちらに向ければ、そこにはコンノが立っていた。
こくりと顔を縦に揺らせば、コンノは仕方がなさそうに跪くと「ゆっくり息しなさい」と普段の態度とは違う、気遣いを見せる姿に驚く。

「聞こえてるんです? ゆっくり息をしなさい。じゃないとアメさん、いつまでも過呼吸が止まりませんよォ?」
「……こ、きゅ?」
「はいはい、その話はあとで。今はゆっくり息を吸って吐いてを繰り返すことです」

いつもは「このスーツ高いんですよォ? 泥に塗れる? 気が知れませんねェ」なんて言うくせに、地面に跪いているせいでコンノのスーツのズボンは土で汚れている。
コンノはそんなことを気にするなとばかりに落ち着けようと必死になってくれた。
少しすれば荒い息も収まってくる。涙はまだぼろぼろと零れてくるし、今にも大きな声で泣き出してしまいたくなるが、コンノの前でそんなことをするのは気が引けた。

「――それで? どうしてこんなことになってるんです?」
「それ、は……、キスケに……っ、」

思い出した瞬間、また涙が溢れてくる。
コンノは納得したとばかりに頷いて「あの男はまァた面倒なことを……」とか、「それにしても間の悪いことに」とか小さく呟いては虚空に言葉を消していく。
アメの何がいけなかったんだろう? キスケはどうしてアメのこと嫌いだなんて言ったんだろう?
そう考えては、何度も何度もグルグルと思考が回って頭の中が熱くなってくる。

「アメさん、この機会に言ってあげたらいいと思いますヨ」
「……何を?」
「自分が傷つくことを恐れてキスケさんがそういう態度を取り続けるなら、アメさんだってそうすればいいんです」
「……?」

言葉の意味が分からず首を傾げる。
コンノはにやりと口端を吊り上げ、静かに言った。

「アメさんも、キスケさんに会ったら『嫌い』って、そう言ってやればいいんですヨ」
「キスケのこと嫌いじゃないのに!?」

あまりのことに驚いて声を上げれば、コンノは「でもアナタは言われたんですよねェ?」と続けて言われる。

「なら、仕返ししてやればいいんですヨ」
「で、でも……」
「でももだってもじゃないんですよォ。アナタは確かにキスケさんのせいで傷つけられた。その事実はあるんですからァ」

そういうコンノの目は……若干だが据わっていて。どうにも今までのセリフにコンノの中にある私情が込められているように見えた。

「仕返し……」

しかしその言葉は少しばかり魅力的に見えた。
一度だけ、一度だけキスケに仕返しで「嫌い」って言えたら、胸の中に生まれたどろどろした黒い淀みが晴れる気がした。





*****





あれから三日。アメは俺の前に現れない。
当然だと思うし、これで良かったんだとも思っている。
アメはこの村を救ってくれた恩人で、俺達を見守ってくれていた神様だ。
その身体は妹であるコダマのものでも、中身はアメという存在を形作っている魂。
絶対に失いたくないし、絶対に傷つけたくなかったのに、どうしてあんな言葉を発してしまったのか。

「はあ……」
「大きな溜め息ですねェ、幸運が裸足で逃げ出しますヨ?」
「……てめぇ、何しにきたんだ」
「そんな睨まないでくださいヨ。今日は付き添いなんですからァ」
「付き添いだァ? 一体、誰の……」

そこでコンノの足元に隠れるようにしていたアメの姿を見つけた。
コンノの足にしがみつきながら顔を出したアメにどきりと心臓が跳ね上がる。
どうしてここに居やがるんだ? とか。どうしてコンノの傍に引っ付いてやがる! とか。
色々と言いたいことはあったが、三日ぶりのアメの姿に萎れた花が一気に咲き誇るように元気になった。

「あ、」

アメ、と声を発そうとした瞬間、アメが俺を見て口を開く。

「キスケに言いたいことがあって来たんだ」

その言葉になんだ恨み事かと内心でがっかりして、脳内で咲いた花がまた一気に萎れていく。
アメはそれだけを言うと、その後を言い難そうにコンノの足に隠れては高そうなスーツのズボンをギュッと握っている。小さな手は微かに震えていて、自分がいじめたみたいに思えた。
いや、自分がいじめてはいるんだが。という冷静な思考が過っては振り払うように頭を振った。

「アメ、アメね……キスケのこと嫌いになったから。もうここにもお仕事頼む以外では来ないから。だから安心してね?」
「……は、」

口をポカンと開けながら、アメを見やる。
コンノはアメの頭を撫でながら「良く言えましたねェ」と褒めていた。
目の前の光景に今すぐ割って入って追い払いたい気持ちは湧くが。
それより何より、どういうことだ? アメは今、俺に対してなんて言った?
頭の中で響く「きらい」の言葉は、どうポジティブに頑張って変換しても「嫌い」である。
何故なら俺がアメに言ったから。
これ以上、こいつに依存したくなかった俺の浅ましい思いから出た「嫌い」はこんなにも強く脳をなぶん殴られるような勢いだったのか。
俺はなんて言葉をこいつに言ってしまったんだろう。
今更になって後悔が襲ってくる。
たくさん考えて、たくさん悩んで。苦しくて、つらくて吐き出した「嫌い」が、こんなにも重いものだったのだと今更になって気がついた。

(俺はなんつーことをしちまったんだ)

そう思っても一度吐き出した言葉は二度と帰っては来ない。
バクバクと早鐘を打つ心臓は痛いくらいで。どうしてこんな痛い言葉を考えすぎた結果、考えなしに吐いてしまったのかと後悔する。

「だから、……キスケ? キスケ、どうしたの!?」
「あ、……メ……」
「大丈夫? なんで、泣いてるの?」
「ご、め……」

ああ、こいつがこの村に来てから今日まで、格好悪いとこしか見せてねぇな。
そんなことを思いながら、それでもどうしようもない俺は泣きながらアメの身体に縋りついた。



*****





怖かったんだ、ずっと。
いつかてめぇが居なくなる未来を夢見ることが、怖かった。






*****




いつの間にかコンノの姿はなかった。
アメと二人きりの空間で、吐きそうになりながら自分の中にある思いを吐露する。
その間アメはずっと聞き役に徹していた。
いや、こいつはいつもちゃんと言葉を聞いてくれていた。その上で利用していたのは俺だったな。

「――怖かったんだ」

適当に作業場にあぐらをかいて座りながら、そう言った。
俺の言葉の意味が分からなかったのだろう。
ちょこんと横で正座をしているアメは静かに首を傾げて俺を見上げた。

「てめぇに嫌われることが、怖かったんだ」
「じゃあ、どうしてキスケは嫌いなんて言ったの?」
「……これ以上、俺の中のてめぇへの好意を増やしたくなかった」
「なんで?」

アメはきょとんとした顔のままに言う。

「キスケはアメのこと好きなの? 嫌いなの?」

それだけ聞かせて。そう言われてグッと唇を噛む。
それを見ていたアメが「キスケ、逃げないで」と静かに言われた。
いつものアメではない。きっとこれは神としてのアメの言葉。
即ち俺は今、神と対話をしているということ。
背筋に緊張が走り、ぞくりと感情が仄暗く揺れる。

「俺は、」

これでアメに嫌いなんて発した瞬間、きっとこの神はそれを受け入れるのだろう。
神との対話は契約となり、言霊となる。
そうなればアメは二度と俺の前に現れることはなくなるだろう。
それどころかこの村から根本的に去ってしまうかも知れない。
嫌だと本能が告げる。
アメに傍に居て欲しいと何度だって言えるのに。何ひとつ伝わらずに居なくなられるのは嫌だ。

「嫌い、……な、わけじゃねぇ……」
「じゃあ、好きってこと?」
「……そ、れは、」

本心を告げるということは、なんて難しいのだろう。
たった二文字の言葉を言うのに、こんなにも苦労する。
この歳になると素直に気持ちをさらけ出すのは怖くて怖くて堪らなくて。
ジッと俺を見つめる片方のまなこは俺の言葉を急かすように見える反面、いつまでも待っているかのようにも見えた。
その相反する感情に俺はとうとう決心をして口を開いた。

「ああ、そうだよ。俺はてめぇが好きだ」
「なら、」
「でも、だからこそそれは無くさねぇといけねぇ」
「……? どうして、」

どうして、と首を傾げるアメは何も分からないという顔をする。
ああ、てめぇには分からねぇだろうよ。この俺の想いは。
とはいえ誰に理解されるつもりもない。
この感情は誰にも渡さない、俺だけのものだから。
だというのにこいつは俺の秘密を暴いた。一生秘めるつもりでいた気持ちを暴いたのだ。

「当たり前だろ? 俺はいつかてめぇを置いて逝くしかねぇんだ」

その恐怖がてめぇに分かるか?
どうしたって埋められない神と人との差を、どうして埋められるというのだろう。
もしも俺が末端でも神になれたのなら、俺はてめぇと同じ時間を生きていけたのなら。
何度夢想したことだろう。
そんなことばかり考えていたら、いつの間にか胸にはどろりとした黒い種が根付いてしまった。この種はいつか蕾になって花を咲かせることだろう。いつか――てめぇを傷付ける、悪意の花を。

「俺はもうこれ以上傷つきたくねぇし、傷つけたくもねぇ」

だから話すことはない。
そう言って座ったまま背を向ける。
俺はアメが好きだ。いや、好きという感情だけではもう片付けられない程度には仄暗い感情も含まれているが。
それでも、もうこれ以上こいつを傷つけたくはないという心も、これ以上傷つきたくもないという感情も同じくらいある。
好きだと言って結ばれるのは、いくら奇々怪々なことが起きるこの村でも早々あることではない。
それこそ神の力でも借りないと無理だろう。

「だから、俺のことはもう……気に掛けないでくれ」

気にしないでくれ。その辺の木でも草でも石でもいい。そういう存在だと思ってくれ。
そう言い放ってアメを見れば、アメはムスッと頬を膨らませていた。

「どうしてアメの気持ちを考えないで、キスケひとりで決めつけちゃうの」

アメは、キスケに傷をつけられるなら構わないって思ってる。
そりゃあ、痛いのは嫌だし苦しいのも嫌だけど……。

「でも、アメはキスケが傍に居てくれない人生の方が嫌。絶対に嫌」
「……俺は、てめぇにそこまで言ってもらえるような人間じゃ、」
「――キスケ、アメのこと見て」
「……っ」
「見て」

強い意思を込めた顔でアメは横に座ったままに俺の服の裾を引かれる。
ゆっくりとそちらに首を向ければ、そこには強い視線で俺を見上げるアメの姿。
いつの間にこんな瞳の色をするようになっていたのだろう。
自分の知らないところでこいつが強くなっているようで、そんなことにすら狭量な自分は嫉妬した。

「キスケ、……アメのことを神様だって言ってくれるなら、キスケにもう一回だけチャンスをあげる」
「……は、」
「キスケの生涯を、アメに頂戴」
「……っ、」
「そうしたら全部、ぜんぶ許してあげる」

アメはそう言って身体を伸ばすと俺の頬を優しく包んだ。小さくて守りたくなるような手。その手は今、俺の心を守ろうと必死になってくれている。
怖いからと、それを突っぱねるのは簡単だ。差し伸べられたその手を掴むことこそが難しい。

これから一生、こいつだけに費やす人生。
あまりに甘美すぎる響きに頭がくらりとする。
きっと、この手を跳ね除けたらこいつは二度と俺に関わることをやめるだろう。
それこそさっきてめぇで言ったように、路傍の石か何かだろ思われながら過ごす羽目になる。

これからの一生をこいつに捧げる。
自身を供物とするような、そんな背徳的な行為に、心の中で渦巻いた黒くどろりとした感情が歓喜の声を上げるのが分かった。

「……いいぜ。てめぇに俺のぜんぶ、くれてやるよ」
「本当に?」
「ああ、その代わりてめぇも誓え。てめぇのぜんぶは――俺のものだと」

俺の言葉を聞いたアメは大きな瞳を丸くしたあとに、ふふ、と小さく微笑んだ。

「なんだ、そんなことで良かったんだ」
「そんなことって、てめぇなぁ?」
「あのね、キスケ」

――アメのぜんぶは、とっくにキスケのものなんだよ。

「だから安心してね?」

キスケの心が弱くなったら何度でも伝えるよ。
何度でも、何度だって。

「アメはキスケのものだって」

まるで内緒話でもするかのような言葉に、いよいよ脳がキャパオーバーを起こしたらしい。
そもそもここ数日まともにアメに会っていないのに、こんなに過剰摂取したらそうなるわな。
そう思いながら、俺は静かに目を閉じて意識を手放したのであった。





*****




「いやはや、まとまるところにまとまりましたねェ?」

様子を伺っていたけれども、心配なんて要らなかったようだ。
まァ、心配なんて更々してませんけどネ。

「しかしキスケさん、気づいてるのでしょうかァ?」

神に軽々しく「ぜんぶ差し出す」などと言うなんて。
それ即ち魂すらも輪廻の輪に乗ることは出来ず、永遠のような時間をアメさんと過ごすということに。
――己が神嫁になったという、その事実に。
……あそこはどっちが嫁か婿か分かりませんが。

「まァ、ワタシには関係ありませんけどネ」

まったく、これだから恋愛のあれやこれやは困るのですヨ。

「縁結びに使ったこと、後悔させてやるくらい搾り取ってあげましょうネ」

そうだ、そうしようと心に決めれば心は軽くスキップすらできそうな程です。しませんけどネ。
……助けたのなんて気紛れ。
この村を守り続けてきたあの神たる存在への、少なからずのワタシからの礼と云うモノ。
二度はありませんヨ。

「それはさておき、そろそろ恩でも売りにいきましょうかァ」

倒れたキスケさんの周りを右往左往しているアメさんの姿に、いくら搾り取ってあげましょうかァ、とにやりと口角を吊り上げた。
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