twst夢小説
「若様は素晴らしい御方なんだぞ!!!!!!」
「うるさいうるさいうるさい!! セベクの馬鹿! もう知らない!」
彼、セベク・ジグボルトとのお付き合い、つまりは恋人になってから三ヶ月目。
ついにやってしまった。
最初の頃は許せた。セベクが尊敬して敬愛してやまない『若様』とやらの話しかしなくても。
セベクが楽しそうに話しているのが嬉しくて、許せた。
けれども段々と私の心の許容量はいっぱいいっぱいになってしまい、ついに今日という日を迎えてしまったのだ。
先に言っておくが、私はセベクのことをこの世界の誰よりも愛している。
つまりは『若様』のことしか話さないセベクに対して怒ったというよりも、『若様』とやらに妬いたのである。
「セベクはいつもそう! 若様、若様って! いい加減うんざり!」
ああ、本心じゃない言葉がすらすら出てくる。こんな未来になることくらい予測はついていたと言うのに。
私のセベクへの愛はこの程度だったのか? と疑いたくもなる。
いや、めっちゃ愛してるけど。なんなら人間辞められるレべルでセベクという存在は尊いものだけど。
驚いた顏をしたセベクはただ静かにその若葉のような睫毛を何度も瞬かせる。
私は内心本気で「やっちまったなー!」という顏をしながら、セベクの反応を見ていた。
――訪れた静寂を先に破ったのは、セベクだった。
「……まさか、ユウは若様のことが嫌いなのか?」
「……『若様』とやらに興味はないけど、セベクが話すならなんでもいいとは思ってる」
「なら、」
「でも、さすがに恋人と居るのに他のひとの話をし続けるのは如何なモノかとも思う」
「……っう」
「ねえセベク? 私と居るの、そんなにつまらない?」
「そんなことはない!!!!!!」
返って来た反論に、少しだけ胸のしこりが取れたような気がした。まあ、愛しのセベクが相手だからね。
本来なら秒で許すってもんなのだろうけれども。
「じゃあ、私と居るの楽しい?」
「あ、当たり前だ……!」
「途端に声が小さいんだけど……」
「仕方がないだろう!!!! 僕は、普通の人間との付き合い方を知らない」
「……?」
「リリア様やシルバーは当たり前のように過ごしていらっしゃるが、僕には上手く出来なかった」
「うん、え? うん?」
リリアもシルバーも上手く生活しているかと問われると、とても返答に困る気がするが幸いにもセベクは答えを求めていなかったので、次の言葉を待とうと決めた。
「だから、そんな僕に恋人ができたとして! ……情けない話、話題がない!!」
「それって……胸を張っていうこと!?」
「う、うるさい……っ!」
セベクの耳は真っ赤で、とても可愛らしい。
つまりだってそれって――
「私と少しでも話す為に、たくさん喋ってくれてたんだね」
「変な顔をするな、お前は」
「そりゃあ、まあ。マイスイートなダーリンからそんなこと言われたらニマニマもするってもんでしょ」
「僕は真剣に話していたつもりだが?」
「ねえ、セベク」
「なんだ」
「私のこと、好き?」
「当たり前だ」
そう言って真面目な顔をするから、私は今日もセベクのことが好きになる。
「セベク、ごめんね。怒って」
「いい。ただ、若様には敬意を払うように」
「もー、早速『若様』の話?」
「当たり前だ。ユウとこれからずっと共に暮らしていくんだから」
「え、」
それなのに、まったくお前と来たら。なんていうものだから私は開いた口が塞がらない。
セベクにとっての未来のその隣には私が居るのか。
そう思っただけで胸が熱くなった。
自然と、当たり前のように言ってくれるから。
「セベク……!」
「な、なんだ。まだ何かあるのか?」
「大好き……!」
そう言って、抱き着いた。セベクはワタワタと慌てていたけれども、それには構わずに。
セベクの隣に立てるように。恥ずかしくないくらいの素敵な女性になっていられるように。
セベクが当たり前のように言ってくれた未来を現実のものとする為に。
頑張ろうと心に決めた。
「ところでセベク、いい匂いするね」
「ふふん、そうだろうとも。若様がくださった香水をつけてきているからな!!!!!」
「……やっぱり『若様』のこと嫌いかも」
「何故だ!?」
「ねえ、セベク。今度お揃いの香水買いに行こう」
「構わないが、いきなりどうしたんだ」
「んー、まあ、一言でいうなら……対抗心、かな」
「?」
セベクは頭にクエスチョンマークを浮かべていたけれども、私はにっこりとその疑問を笑顔でねじ伏せた。
後日この話をツノ太郎にしたら、「悪気はなかった……」と謝られた。
ツノ太郎が謝ることは何もないのに、おかしなツノ太郎だなぁ。
「うるさいうるさいうるさい!! セベクの馬鹿! もう知らない!」
彼、セベク・ジグボルトとのお付き合い、つまりは恋人になってから三ヶ月目。
ついにやってしまった。
最初の頃は許せた。セベクが尊敬して敬愛してやまない『若様』とやらの話しかしなくても。
セベクが楽しそうに話しているのが嬉しくて、許せた。
けれども段々と私の心の許容量はいっぱいいっぱいになってしまい、ついに今日という日を迎えてしまったのだ。
先に言っておくが、私はセベクのことをこの世界の誰よりも愛している。
つまりは『若様』のことしか話さないセベクに対して怒ったというよりも、『若様』とやらに妬いたのである。
「セベクはいつもそう! 若様、若様って! いい加減うんざり!」
ああ、本心じゃない言葉がすらすら出てくる。こんな未来になることくらい予測はついていたと言うのに。
私のセベクへの愛はこの程度だったのか? と疑いたくもなる。
いや、めっちゃ愛してるけど。なんなら人間辞められるレべルでセベクという存在は尊いものだけど。
驚いた顏をしたセベクはただ静かにその若葉のような睫毛を何度も瞬かせる。
私は内心本気で「やっちまったなー!」という顏をしながら、セベクの反応を見ていた。
――訪れた静寂を先に破ったのは、セベクだった。
「……まさか、ユウは若様のことが嫌いなのか?」
「……『若様』とやらに興味はないけど、セベクが話すならなんでもいいとは思ってる」
「なら、」
「でも、さすがに恋人と居るのに他のひとの話をし続けるのは如何なモノかとも思う」
「……っう」
「ねえセベク? 私と居るの、そんなにつまらない?」
「そんなことはない!!!!!!」
返って来た反論に、少しだけ胸のしこりが取れたような気がした。まあ、愛しのセベクが相手だからね。
本来なら秒で許すってもんなのだろうけれども。
「じゃあ、私と居るの楽しい?」
「あ、当たり前だ……!」
「途端に声が小さいんだけど……」
「仕方がないだろう!!!! 僕は、普通の人間との付き合い方を知らない」
「……?」
「リリア様やシルバーは当たり前のように過ごしていらっしゃるが、僕には上手く出来なかった」
「うん、え? うん?」
リリアもシルバーも上手く生活しているかと問われると、とても返答に困る気がするが幸いにもセベクは答えを求めていなかったので、次の言葉を待とうと決めた。
「だから、そんな僕に恋人ができたとして! ……情けない話、話題がない!!」
「それって……胸を張っていうこと!?」
「う、うるさい……っ!」
セベクの耳は真っ赤で、とても可愛らしい。
つまりだってそれって――
「私と少しでも話す為に、たくさん喋ってくれてたんだね」
「変な顔をするな、お前は」
「そりゃあ、まあ。マイスイートなダーリンからそんなこと言われたらニマニマもするってもんでしょ」
「僕は真剣に話していたつもりだが?」
「ねえ、セベク」
「なんだ」
「私のこと、好き?」
「当たり前だ」
そう言って真面目な顔をするから、私は今日もセベクのことが好きになる。
「セベク、ごめんね。怒って」
「いい。ただ、若様には敬意を払うように」
「もー、早速『若様』の話?」
「当たり前だ。ユウとこれからずっと共に暮らしていくんだから」
「え、」
それなのに、まったくお前と来たら。なんていうものだから私は開いた口が塞がらない。
セベクにとっての未来のその隣には私が居るのか。
そう思っただけで胸が熱くなった。
自然と、当たり前のように言ってくれるから。
「セベク……!」
「な、なんだ。まだ何かあるのか?」
「大好き……!」
そう言って、抱き着いた。セベクはワタワタと慌てていたけれども、それには構わずに。
セベクの隣に立てるように。恥ずかしくないくらいの素敵な女性になっていられるように。
セベクが当たり前のように言ってくれた未来を現実のものとする為に。
頑張ろうと心に決めた。
「ところでセベク、いい匂いするね」
「ふふん、そうだろうとも。若様がくださった香水をつけてきているからな!!!!!」
「……やっぱり『若様』のこと嫌いかも」
「何故だ!?」
「ねえ、セベク。今度お揃いの香水買いに行こう」
「構わないが、いきなりどうしたんだ」
「んー、まあ、一言でいうなら……対抗心、かな」
「?」
セベクは頭にクエスチョンマークを浮かべていたけれども、私はにっこりとその疑問を笑顔でねじ伏せた。
後日この話をツノ太郎にしたら、「悪気はなかった……」と謝られた。
ツノ太郎が謝ることは何もないのに、おかしなツノ太郎だなぁ。