黒バス【名前有り固定夢主】
この気持ちが恋になるだなんて思わなかった。
それは確かに本音だ。
ああ、まったくもってどうしてこうなった? という感じだが。
俺はアイツに恋をするとは思わなかったのだ。
何せ俺は女が苦手で、近寄られれば顔が真っ赤になって固まってしまい会話もまともに出来やしない。
そんな男をどうしてアイツは選んだのだろうか?
「笠松幸男さん! あなたが中学を卒業するまでは絶対に影ながら応援するって決めてたんです! でも、もう我慢しなくていいんですね!? やったぁ!」
突然声を掛けてきたかと思えば、そんな発言をしてきた初対面の女はひとりではしゃいでいた。
今なら思うが、どうして本当に初っ端から明らかストーカーしてました! と発言した女を好きになったのだろうか? いや、マジで。
きっと、今の関係性ならば小一時間正座させて「初対面でそんなこと言ってくんじゃねぇ!」なんて強く言えるが何せあの頃の自分は今よりも幼く、また女にも耐性が更になかった。
「幸男さん! 聞こえてます!? 幸男さん!」と呼ばれながら、なんで名前を知っているんだ? だの、お前は誰だ? だの、その堂々としたストーカー発言は何なんだ? とか。色々聞きたかったが。
混乱に次ぐ混乱で何も言えず。
結果、海常高校に入学したその日。
俺は赤司紅緒という女に付き纏われる羽目になったのである。
今思い返しても色々と酷いな。今の関係性だったら蹴りの一発でも黄瀬に入れるみたいに入れていたかも知れない。
まあ、もっとも。紅緒じゃなくても女に手も足も出す気はもちろんないが。
……あの時、不審者だと避けていたらどうなっていたのだろうかと考えないこともない。
きっと紅緒は避けないだろう。そういう女だ。
一本芯が通っていて何がなんでも自分を通して見せる、強い意志のあるそういう女だから、きっと俺は恋に落ちたのだろう。
そもそも避ける暇を与えなかったのだ、紅緒は。
アイツは俺が本当に嫌がる前に引き、そうでない時はグイグイと押してきた。
そうでなければ恋愛体制ゼロの俺が恋に落ちるわけがないのだ。
しかも初対面から不審者MAXだった女に。
「紅緒、お前逃げられると思うなよ」
「へ? わたしが幸男さんから逃げるんですか?」
うーんと紅緒は考える素振りをして。
「天動説と地動説がひっくり返るくらいの確率なら、あるかも知れないですけど……」
うーんとまた紅緒は考え出す。
まったくないと、そう言われるのは不思議と心の欲求を満たすようで。
なんだかなぁ。逃げられないのはきっと、
「俺の方、か……」
「珍しい。幸男さんが変ですねぇ」
「お前のこと考えてたら変になったのかもな」
「……そ、れは……かなり、嬉しいですねぇ」
髪色よりも赤く染まったその顔を見られるのが俺だけだというのは、やはり心の欲求を満たすものだな。
困った、こんなにも恋に落ちる予定ではなかったのに。
でも、仕方がない。落ちてしまったのだから、仕方がない。
仕方がないついでに一生かけて俺の人生狂わせた責任を取らせてやる。
今はまだ、自分が幼いから言えないけれども。
いつかその言葉を伝えるから。
どうかそれに応えて欲しい。
何せ名前を呼ぶだけで心が弾むくらいには俺も大概おかしいのだから。
「――紅緒」
ああ、ほら。いとしい。
それは確かに本音だ。
ああ、まったくもってどうしてこうなった? という感じだが。
俺はアイツに恋をするとは思わなかったのだ。
何せ俺は女が苦手で、近寄られれば顔が真っ赤になって固まってしまい会話もまともに出来やしない。
そんな男をどうしてアイツは選んだのだろうか?
「笠松幸男さん! あなたが中学を卒業するまでは絶対に影ながら応援するって決めてたんです! でも、もう我慢しなくていいんですね!? やったぁ!」
突然声を掛けてきたかと思えば、そんな発言をしてきた初対面の女はひとりではしゃいでいた。
今なら思うが、どうして本当に初っ端から明らかストーカーしてました! と発言した女を好きになったのだろうか? いや、マジで。
きっと、今の関係性ならば小一時間正座させて「初対面でそんなこと言ってくんじゃねぇ!」なんて強く言えるが何せあの頃の自分は今よりも幼く、また女にも耐性が更になかった。
「幸男さん! 聞こえてます!? 幸男さん!」と呼ばれながら、なんで名前を知っているんだ? だの、お前は誰だ? だの、その堂々としたストーカー発言は何なんだ? とか。色々聞きたかったが。
混乱に次ぐ混乱で何も言えず。
結果、海常高校に入学したその日。
俺は赤司紅緒という女に付き纏われる羽目になったのである。
今思い返しても色々と酷いな。今の関係性だったら蹴りの一発でも黄瀬に入れるみたいに入れていたかも知れない。
まあ、もっとも。紅緒じゃなくても女に手も足も出す気はもちろんないが。
……あの時、不審者だと避けていたらどうなっていたのだろうかと考えないこともない。
きっと紅緒は避けないだろう。そういう女だ。
一本芯が通っていて何がなんでも自分を通して見せる、強い意志のあるそういう女だから、きっと俺は恋に落ちたのだろう。
そもそも避ける暇を与えなかったのだ、紅緒は。
アイツは俺が本当に嫌がる前に引き、そうでない時はグイグイと押してきた。
そうでなければ恋愛体制ゼロの俺が恋に落ちるわけがないのだ。
しかも初対面から不審者MAXだった女に。
「紅緒、お前逃げられると思うなよ」
「へ? わたしが幸男さんから逃げるんですか?」
うーんと紅緒は考える素振りをして。
「天動説と地動説がひっくり返るくらいの確率なら、あるかも知れないですけど……」
うーんとまた紅緒は考え出す。
まったくないと、そう言われるのは不思議と心の欲求を満たすようで。
なんだかなぁ。逃げられないのはきっと、
「俺の方、か……」
「珍しい。幸男さんが変ですねぇ」
「お前のこと考えてたら変になったのかもな」
「……そ、れは……かなり、嬉しいですねぇ」
髪色よりも赤く染まったその顔を見られるのが俺だけだというのは、やはり心の欲求を満たすものだな。
困った、こんなにも恋に落ちる予定ではなかったのに。
でも、仕方がない。落ちてしまったのだから、仕方がない。
仕方がないついでに一生かけて俺の人生狂わせた責任を取らせてやる。
今はまだ、自分が幼いから言えないけれども。
いつかその言葉を伝えるから。
どうかそれに応えて欲しい。
何せ名前を呼ぶだけで心が弾むくらいには俺も大概おかしいのだから。
「――紅緒」
ああ、ほら。いとしい。