一周年リクエスト企画(過去サイト)
>>『天宮りゆ』様より
◆◇◆
今日も今日とて家事に精を出すシンデレラ。
義姉と義母が家事苦手だからしょうがない、というか片付ける端から破壊していくレベルだからしょうがないむしろ手を出さないで下さい。と土下座する勢いで(実際はかなり上から目線だったが)お願いしてから、シンデレラは毎日専業主婦となんら変わらない日常を送っている。
この生活に不満はない。
家事は楽しいしお得なセール品をゲット出来た時のやり切った感は堪らない。
まあ、不満があるとするならアレだ。
「シンデレラ!あなたの王子が会いに来ましたよぉぉぉ」
「いらっしゃい。お帰りのお出口は貴方が入ってきたその扉です。二度とお越しにならないで下さい。ではさようなら」
「ああ待って!ちょ、ホント待って下さいっ!いったい!王子挟んでる!玄関のドアに王子挟んでるから!」
「はあ。だから?」
それがどうかしたのかと言わんばかりの顔を王子に向けるシンデレラ。
シンデレラのお陰で目覚めてはいけない何かに目覚めてしまった王子は、玄関のドアに挟まれながらシンデレラの見下すような表情に興奮してかなり見せてはいけない顔になっている。
「ああ……!相も変わらず貴女は私を喜ばせる天才です!さすが私が見初めた私のフィアンセ……!」
「いつ誰があなたのフィアンセになりましたか?精々知人程度でしょう」
というかそこに居られるとそろそろ邪魔なんで、潔く城に帰って下さい。つーか帰れ。帰って働け税金泥棒。
かなり辛辣なことを言っているシンデレラに流石の王子も心が折れ……る筈もなく。
ハァハァと息を荒くさせる。
益々見せてはいけない顔になっている事は言うまでもないだろう。
シンデレラはうわぁ、と小声、ではなく。普通に呟いて王子を汚いものでも見るかのような視線を向ける。
益々息を荒げる王子という負の連鎖が起きますよね。分かります。
王子が玄関のドアに挟まり、痛がりながらもハァハァと息を荒げ、それを見下すシンデレラと言う一般家庭の玄関先でアンタ達何のプレイしてんの?と問われそうな現象を繰り広げている。
普通は近所の人達によって通報されても可笑しくなさそうな光景なのだが、哀しいかな。住民がこの異空間に慣れてしまった。
それと共に「この国、大丈夫か?」と感じる人も居たとか居たとか。
「シンデレラ!ああ、私のシンデレラ。そろそろ意地悪ばかりしていないで私の求愛を受け止めて下さい!私は貴女以外の女性に対してこんなにも胸が熱くなる事はありません。そしてこれからも無いでしょう!!」
珍しく真剣な顔で王子の口からまともな事を聞き、一瞬王子を挟んでいたドアの力を緩める。
その隙に王子は滑り込むように家の中に入ると、しまったというよう顔をするシンデレラの手をガシッと掴んだ。
「私は本気です」
「……王子」
不覚にも王子の真剣な表情に真摯な言葉を聞いてときめいてしまったシンデレラ。
その顔は長い時間ドアに挟まれていたせいで赤い痕が付いていたが、そんなことがどうでも良くなるくらいには、王子は格好良かった。
だがしかし、やはりというかなんというか。
この王子は、どうしたって王子なのだ。
「だから毎日私を罵って蔑んで……っぐへぁ!」
「あなたは少しくらいは真面目に話が出来ないんですか」
王子の変態発言を聞いた瞬間、王子の真面目発言というキラメキ魔法から急激に醒めたシンデレラは間髪入れずにグーパンチを王子の顔に決めた。
ときめいた事を隠そうと普段の10倍くらいの力で殴るなんて流石シンデレラ。
いいぞもっとやれ!なんて外野の声が聞こえた気がしないでもない。
ゆっくりと倒れていく王子は気絶したのかピクリとも動かない。
そんな王子をいつものように従者が回収して行く。
それを見送る事もなく、シンデレラは何事も無かったかのように残りの家事を片付け始めた。
「あ、今日は夕方から魚の特売だわ」
義姉さんが魚好きだし、買ってこないと。
【進化した変態王子と相変わらず主婦なシンデレラ】
◆◇◆
今日も今日とて家事に精を出すシンデレラ。
義姉と義母が家事苦手だからしょうがない、というか片付ける端から破壊していくレベルだからしょうがないむしろ手を出さないで下さい。と土下座する勢いで(実際はかなり上から目線だったが)お願いしてから、シンデレラは毎日専業主婦となんら変わらない日常を送っている。
この生活に不満はない。
家事は楽しいしお得なセール品をゲット出来た時のやり切った感は堪らない。
まあ、不満があるとするならアレだ。
「シンデレラ!あなたの王子が会いに来ましたよぉぉぉ」
「いらっしゃい。お帰りのお出口は貴方が入ってきたその扉です。二度とお越しにならないで下さい。ではさようなら」
「ああ待って!ちょ、ホント待って下さいっ!いったい!王子挟んでる!玄関のドアに王子挟んでるから!」
「はあ。だから?」
それがどうかしたのかと言わんばかりの顔を王子に向けるシンデレラ。
シンデレラのお陰で目覚めてはいけない何かに目覚めてしまった王子は、玄関のドアに挟まれながらシンデレラの見下すような表情に興奮してかなり見せてはいけない顔になっている。
「ああ……!相も変わらず貴女は私を喜ばせる天才です!さすが私が見初めた私のフィアンセ……!」
「いつ誰があなたのフィアンセになりましたか?精々知人程度でしょう」
というかそこに居られるとそろそろ邪魔なんで、潔く城に帰って下さい。つーか帰れ。帰って働け税金泥棒。
かなり辛辣なことを言っているシンデレラに流石の王子も心が折れ……る筈もなく。
ハァハァと息を荒くさせる。
益々見せてはいけない顔になっている事は言うまでもないだろう。
シンデレラはうわぁ、と小声、ではなく。普通に呟いて王子を汚いものでも見るかのような視線を向ける。
益々息を荒げる王子という負の連鎖が起きますよね。分かります。
王子が玄関のドアに挟まり、痛がりながらもハァハァと息を荒げ、それを見下すシンデレラと言う一般家庭の玄関先でアンタ達何のプレイしてんの?と問われそうな現象を繰り広げている。
普通は近所の人達によって通報されても可笑しくなさそうな光景なのだが、哀しいかな。住民がこの異空間に慣れてしまった。
それと共に「この国、大丈夫か?」と感じる人も居たとか居たとか。
「シンデレラ!ああ、私のシンデレラ。そろそろ意地悪ばかりしていないで私の求愛を受け止めて下さい!私は貴女以外の女性に対してこんなにも胸が熱くなる事はありません。そしてこれからも無いでしょう!!」
珍しく真剣な顔で王子の口からまともな事を聞き、一瞬王子を挟んでいたドアの力を緩める。
その隙に王子は滑り込むように家の中に入ると、しまったというよう顔をするシンデレラの手をガシッと掴んだ。
「私は本気です」
「……王子」
不覚にも王子の真剣な表情に真摯な言葉を聞いてときめいてしまったシンデレラ。
その顔は長い時間ドアに挟まれていたせいで赤い痕が付いていたが、そんなことがどうでも良くなるくらいには、王子は格好良かった。
だがしかし、やはりというかなんというか。
この王子は、どうしたって王子なのだ。
「だから毎日私を罵って蔑んで……っぐへぁ!」
「あなたは少しくらいは真面目に話が出来ないんですか」
王子の変態発言を聞いた瞬間、王子の真面目発言というキラメキ魔法から急激に醒めたシンデレラは間髪入れずにグーパンチを王子の顔に決めた。
ときめいた事を隠そうと普段の10倍くらいの力で殴るなんて流石シンデレラ。
いいぞもっとやれ!なんて外野の声が聞こえた気がしないでもない。
ゆっくりと倒れていく王子は気絶したのかピクリとも動かない。
そんな王子をいつものように従者が回収して行く。
それを見送る事もなく、シンデレラは何事も無かったかのように残りの家事を片付け始めた。
「あ、今日は夕方から魚の特売だわ」
義姉さんが魚好きだし、買ってこないと。
【進化した変態王子と相変わらず主婦なシンデレラ】